

サンタクロースへの手紙
子育ては親育て
夫 40歳(筆者) 妻 38歳
子 8歳、4歳
夫 42歳(筆者) 妻 37歳
子 11歳、9歳、7歳、2歳
長女と次女が三女をお風呂に入れる。歌声、泣き声、
笑い声が響き渡る。にぎやかなのは安心、安全の合図。
二人の姉はもう一人の母。叱られて泣いている三女に、長女が両手を広げてギュッ。笑わ
せようと次女が変顔、長男も加わって慰める。その言葉、口調は妻と同じ。
悲しい事、辛い事は皆で割り算。長男の背中でお馬さんごっこ。乗って潰れて転がって。
涎、鼻汁、ご飯粒、舞に舞って大騒ぎ。楽しい事、嬉しい事は掛け算に。三女が着ている
服は長男からの四代目。色は薄くなれど継がれる度に想い出の輝きが増す。仕草口調は似
ているが一人ひとりの個性が光る。それぞれの未来に思いを馳せると尽きない。ふとした
行動に励まされ、勇気をもらう。子どもを育てているつもりだけれど、実は自分も育てら
れているとの言葉を実感する事4倍。苦楽共に皆で分け合って。冬の日の寝室。お互いを
「湯たんぽ」と呼び合い固まって、狭い狭いと言いながら。明日も皆で一歩前進。
心に響くあれこれエピソード
私達は共働きをしています。長女は
8
歳、次女は
4
歳。妻は
家事に加え、しっかりと子育てもしてくれています。ただ、私は
いつも帰宅が遅く、娘達の寝顔を見るのが精一杯。その日々の
中で、妻と心がすれ違うこともありました。
昨年、長女が自分に自信を失い、情緒不安定な時期がありました。私達は仕事も手につ
かず、様々手を尽くしました。結局、原因はわからないままでしたが、周りの方々にも助
けられ、長女の心は少し安定しました。その「しこり」を残したまま、昨年のクリスマスイ
ブに長女がサンタクロースへ宛てた手紙で私達は救われました。手紙には優しい字体でこ
のように書いてありました。「私の欲しいものは『幸せ』ですが、家族からもらったのでも
う何もいりません」。私達こそ娘達からいつも「幸せ」をもらっています。私にとってこの
家族は、紛れもなく世界で
1
番大切な宝物です。
ポイントは手紙の宛て先。親に見せるつもりではないので、本音が詰まって
います。長女の家族への気持ちは本物ですね。感動しました。
安田真奈さん(映画監督・脚本家)
リズムのある文章で読むだけで楽しい日常風景が目に浮かびます。子どもに励
まされ、親自身も成長できる喜びは子育ての醍醐味なのですね。(大学生女性)
審査員から
ここがいいね!
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