本棚から一冊~おすすめ図書を紹介します~

更新日:2024年03月06日

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3月のおすすめ

≪おつかれ、今日の私。≫ ジェーン・スー著 マガジンハウス

ラジオのパーソナリティーやコラムニストとして活躍する著者。強気で歯切れよく、自虐も含みつつの言葉に、いつも活力をもらっていた気がします。でもこの本は、疲れた私たちにとことん寄り添ってくれます。

「さあ、次はなにを書こうと考えていたところに、時代の変化がやってきた。未知のウイルスまでやってきた。周りを見渡すと、とてもじゃないが皮肉めいた笑いを受容できる余裕など誰にもない。私にもなかった。とにかく、優しさを持って書こうと決めた。面白さなんてどうでもいい。今回は、仲の良い友達の背中をさせるように書こう。」‟あなたががんばったこと、私は知ってるよ”このメッセージを、いい香りのするアロマのように味わってみてください。

 

2月のおすすめ

≪百年の子≫古内一絵著 小学館

「人間の歴史は百万年。だが、こどもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない」…扉の言葉と本の分厚さに、思わず身構えてしまいそうですが、読み始めると美しい映画をみるように引き込まれました。

出版社で働く明日香と、若き日の祖母スエ。それぞれの目線で描かれた出版に携わる人々の熱い思い。戦時の空気の中で、時代に合わせて作らなければ生き残れなかった編集に関わる人々の苦悩を縦軸に、明日香・母・祖母の女三世代の生き様が横軸に描かれ、最後にはそれらが一つの織物のようにつながります。「マカン・マラン」シリーズの著者が、この作品でも懸命に生きる人たちを優しい目線で描きます。

 

1月のおすすめ

≪おそるおそる育休≫西 靖著 ミシマ社

情報番組‟ちちんぷいぷい”でお馴染みのMBSアナウンサーの著者が「おそるおそる」取った育休の日々が綴られています。育休を決めたのは、3人目の妊娠が分かった時。「そういえば、男も育休が取れるんじゃなかったっけ」と、ふと思いつきます。日頃の妻の奮闘ぶりに感謝しつつも嚙み合わない思いがあったり、コロナ禍ということや、新生児との生活に時間を取りたいとの思いもあったそう。

「育休の日々は毎日ハッピーの連続かというとそんなことはなくて、笑うこともあれば泣くこともあり、妻と険悪になったり口ゲンカをすることも。子どもとの時間は最高だけど、イラっとしたり自己嫌悪に陥ることも。」そんな本音が身に沁みます。けれど後輩に聞かれるとこう答えるそうです。「ええやん。育休な、たいへんやけどおもろいで。」こんな会話が、この国の津々浦々で聞かれことを願いつつ。

 

12月のおすすめ

≪女性の発達障害 困りごとにどう向き合うか≫司馬理英子著 講談社

おとなになって人間関係や生きづらさに気が付き悩んでいませんか?この本はそんな方の強い味方になってくれます!

実は、女性の発達障害についてはまだまだ理解されず、診断がつきにくいそう。なぜなら女性は相対的に環境への適応能力が高いため、気付かずおとなになっていく事が多いから。けれど女性は職場だけでなく、妻として母としての役割も重く、辛く苦しい状況の中で悩んでいることが多いのだそうです。

本書は、発達障害とはどういうものか、困りごとをどうしたらいいのか、自分をいたわり励ます方法までイラストや図で見やすく分かりやすく書かれています。不安な気持ちに寄り添い、自分を元気にする方法を知ることで、生きづらさをやわらげてくれる友達のような一冊です。


 

11月のおすすめ

≪ルイーズ・ブルジョア 糸とクモの彫刻家≫エイミー・ノヴェスキー文 イザベル・アルスノー絵 西村書店

世界的に名高い彫刻家ルイーズ・ブルジョアの人生をたどった美しい絵本です。川のほとりで育ったルイーズ。「川は あたりのなにもかもを まるで糸のように つないでいました」

タペストリーを修復する仕事をしていた一家。川のそばで手を動かす母は「かしこくて…がまんづよく ものやわらかで…まるでクモのように働き者でした」

母の死後、美術を学んだ彼女は「すべての時間をかけて」様々な作品を作ります。「縫ったり つなぎあわせたりして作品をつくるのは うしなったもの 欠けたものを 完全なかたちにもどすことでした」

「ママン」と名付けられた巨大なクモの作品は広く知られることとなりました。川のように糸のように、物語が流れていく芸術作品のような一冊です。

 

10月のおすすめ

≪白ゆき紅ばら≫寺地はるな著 光文社

カロリーネ・シュタールという人物が作った童話『白ゆき紅ばら』。そう呼ばれていた仲の良い二人の娘たち。原作にはなかった結末をグリム兄弟が加筆したそうです。「娘たちは王子とその弟と結ばれ幸せに暮らしました」と…

 

「唐突に登場した男性と結婚させて、それをハッピーエンドと言いはるなんて馬鹿にしてる」祐希の言葉が胸に刺さります。

「のばらのいえ」は困っている母と子を守るための家。そこでの仕事を手伝う6年生の祐希と、そこにやってきた同い年の紘果。二人の出会いと別れ、そしてその後を描くリアルな物語。おとなの思惑に翻弄され不条理な人生を歩む少女たちの姿は、残酷でありながらどこかに美しさを秘め、読む者の心を締め付けます。二人の幸せな結末を願いながら、物語の行方を見届けてみませんか。

 

9月のおすすめ

《いい親よりも大切なこと こどものために‟しなくていいこと”こんなにあった!》小竹めぐみ 小笠原舞著 集英社

毎月25日開催の‟自分ひとりで本を楽しむ日”(子育てで自分の時間がもてない方へ)で、参加者の方に人気の本です!保育士の著者たちが、おとなと子どもの世界の架け橋になりたいと、子どもたちもおとなも一緒に過ごしてどちらも主役になれる「おやこ保育所」を作りました。そこでの経験、大事にしている考え方、ノウハウをまとめた本です。「いい親にならなきゃ!」と気を張ってがんばるママたちに、しなくていいことがこんなにあるんだよと教えてくれます。「子どもにすべてを教えない」「いつも笑顔じゃなくていい」「子どもを100%愛そうとしなくていい」この言葉だけでも救われるような気がしませんか。‟「しない」子育てでママも子どもも幸せに!”‟著者たちの教えてくれるたくさんの「しない」をやってみたら、肩の力を抜いて過ごせそうです。最後の3つの質問の答えを考えて、自分だけのオリジナルな子育てを楽しんでみませんか?

 

8月のおすすめ

《トンネルの森1945》角野栄子著 KADOKAWA

‟魔女の宅急便”の著者角野栄子さんが、実体験を通して書かれた作品です。昭和15年、5歳で母を亡くしたところから物語は始まります。「こんなご時世だから」とお国のために、お洒落も食べ物も我慢する主人公イコちゃん。大好きなお父さんは病気で兵役から退いたものの仕事のため東京に残り、突然やってきた新しいお母さんと生まれたばかりの弟と疎開することに。イコちゃんは、長いじめじめしたトンネルを抜けて、学校に通います。子どもの目線で、終戦までの苦しく厳しい日々を描いています。「仲よくなれば、怖くないよ」とのお父さんの言葉をお守りのように信じて暮らすイコちゃん。最後にトンネルの先に見えてくるものが、希望となって心を明るく照らします。戦後78年のこの夏、ひとりの少女の姿を知ることで、平和について考えてみませんか。

 

7月のおすすめ

≪化石のよぶ声がきこえる  天才恐竜ハンター ウェンディ・スロボーダ≫へレイン・ベッカー著 くもん出版

やっとマスクを外して、のびのびと過ごせる夏がやってきました!夏休みを迎える子どもたちにおすすめの本です。カナダで暮らすウェンディは、すてきなものを探すのが大好き!おもしろい形の石や植物や、鳥の羽根などを見つけては、写真をとったり、家に持ち帰ったり。ある日遠足で、美しい岩の柱からサンゴの化石のかけらを見つけます。化石探しに夢中になるうち、17歳のウェンディが見つけたのは、なんと恐竜のたまごの化石!やがて古生物学博物館で働くことになったウェンディは「化石のよぶ声がきこえる人」と呼ばれるようになり、大発見をすることに!‟好きを仕事にするってどういうこと?”巻末の古生物学者の対談も必見。2023年夏の課題図書からのご紹介です。課題図書の貸出は、お一人につき一冊。貸出期間1週間でお願いします。「よるのあいだに…みんなをささえるはたらく人たち」「それで、いい!」も置いています。

 

6月のおすすめ

≪「ふつうのおんなの子」のちから 子どもの本から学んだこと≫ 中村桂子著 集英社

「日常の中で接するものやことをよく見て、自分の言葉で考え、納得しながら普通に暮らす」という生き方をしてきた著者は「女の子が活躍する社会」になったら生きやすいのでは、との思いで現代の私たちに力をくれる子どもの本について語ります。

『長靴下のピッピ』の自由な生き方、『モモ』の時間感覚、『ハイジ』を取り囲むアルプスの自然など、生き生きと生きる主人公たちにとって大切なものは何かを読み解いていきます。

平安時代の‟堤中納言物語”の中の『虫めずる姫君』は、生命科学を志すことになった著者の原点。‟生きものを生きものとして見る生命誌”を始めたのは、初めて自分で新しいものを生み出した体験で、自分の中の「ふつうのおんなの子」がさせたのだといいます。「ふつうのおんなの子」はかけがえのない私。もう一度子どもの本を手に取ってみませんか。

 

5月のおすすめ

≪「私らしく」働くこと 自分らしく生きる「仕事のカタチ」のつくり方≫ 一田憲子 著 マイナビ

この本に登場する女性たちの輝くような笑顔が素敵です。「この仕事が大好き!」という思いが伝わってきます。生地専門店のオーナー、書店員、出張料理人、文筆家…。特別な人の特別なストーリーのようでいて、実は悩み迷いながらの道のりを歩く等身大の彼女たちの姿が、自分ごとのように思えてきます。

‟仕事には「しっかりしてる」「テキパキしてる」は必要ない”‟今の仕事には、きっと「もうひとつ」の方法がある”‟どんな仕事をしたいのか、初めからわかっている人なんていない”…取材した著者の切り取った言葉が、自分らしく生きたいと願う私たちにそっと寄り添ってくれます。

 

4月のおすすめ

≪あなたの教室≫ レティシア・コロンバニ 著 齋藤可津子 訳 早川書房

主人公レナは、あることをきっかけに20年続けた教師を辞め、フランスからインドへやってきます。海で溺れたレナを救った少女ホーリーが児童労働させられていることを知り、「この子たちが通える学校をつくろう」と思い立ちます。

強姦から身を守るために結成された女性団体のリーダー、ブリーティーの力も借り、いくつもの試練を経て、夢を実現していくレナとブリーティー。次々と起こる苦難の中で、深まっていく三人の絆とレナの悲しみの行方に目が離せません。

インドに今もなお残る奴隷制。その最下層の‟不可触民”の女の子たちは、教育も受けられず、結婚の自由もなく、生涯強制労働の犠牲となる運命から逃れることができません。そのあまりに過酷な事実に愕然とします。

3月のおすすめ

≪「やめる」ことを「やってみた」私らしく、のびのびと。≫ 多田千里 著 主婦の友社 

人生は選択の連続。何かを「やってみる」ことには勇気がいるけれど、実は「やめる」方が難しいのかもしれません。始める時のワクワクに反して、「やめる」という決断は積み重ねてきたことを手放す不安や自己防衛の感情が湧き、思い悩むもの。この本は「やめる」ことを「自分らしい生き方」を見直すことと捉え、仕事をやめ新しい自分を見つけた女性たちのストーリーを写真と共に見せてくれます。

PART2の「モヤモヤ期の処方箋 自分らしさをとり戻す思考のヒント18」は、イラストで描かれ分かりやすく心に響きます。「やめたからといってしあわせになれるわけでもありません。ただ、その葛藤が今後の人生の指針となってくれることに間違いはありません。」それぞれのしあわせの入り口が見つかるかもしれません。

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