本棚から一冊~おすすめ図書を紹介します~
更新日:2024年11月04日
11月のおすすめ
≪やってみた!いのちを守る64の防災活動~小学生の体験レポート+専門家のアドバイス~≫関西大学初等部6年生(第11期生)著 さくら社
2018年6月18日の大阪府北部地震を体験した高槻で学ぶ子どもたちが、自分たちで調べ、考え、やってみた防災について、が本になりました。5年生の時、兵庫県の「人と防災未来センター」に行ったことをきっかけに学びを深め、2023年2月には防災イベントを開催。地域の人たちや外部団体の力も借りながら「防災グッズ」「非常食」「災害弱者」「共助」「医療」「避難・避難所」とテーマごとにプレゼンや体験などを行いました。「死者を0にすることは難しいが、限りなく0に近づけることはできるのでは」と話し合い、多くの人に届けるために本にすることに。実際にやってみた子どもたちの様子や体験レポートはとても分かりやすく、様々なチャレンジに目からウロコです。ペットボトルシャワーや新聞紙スリッパなどの防災グッズ。身近にあるもので作る防災食。避難施設まで実際に行ってみたり、「災害弱者」にも思いをはせて。専門家のアドバイスも掲載されています。「みんな」が助かることを本気で考えた6年1組2組の子どもたちの決意の言葉に、身が引き締まる思いです。たくさんの人に届きますように。
10月のおすすめ
≪あなたの言葉を≫辻村深月著 毎日新聞出版
毎日小学生新聞で連載されていた‟あなたの言葉を”が本になりました。今、「子ども」の時間を生きるひとたちに、自分の言葉を見つけていくためのお手伝いをしたいとの著者の思いが詰まっています。言葉にすることのできなかった感情を理解できるようになったのは、おとなになってから。‟その時の感情を何度も心の中で整理するうちに、それらを表現する「わたしの言葉」を見つけていくことができた”そうです。作家としての自身の経験と重ねながら自分の心を知り、あなたの時間があなたを作っていくというメッセージを、優しい言葉で伝えてくれます。「かがみの孤城」「ツナグ」など著者のほかの作品もぜひこの機会に読んでみてくださいね。
9月のおすすめ
≪アフリカでバッグの会社はじめました≫江口絵里著 さ・え・ら書房
誰かの背中を押すような本を作りたいと願ってきた著者の夢が実現しました!ある雑誌の編集者から頼まれたインタビューがきっかけで、ウガンダでバッグ工場を経営している仲本千津さんと出会います。そして生まれたのがこの本です。千津さんは「一度引き込まれると目の前の面白いことに没頭してしまう女の子」だったそう。中学時代に授業で見た「シンドラーのリスト」、高校時代は世界史で学んだ緒方貞子のドキュメンタリーに夢中になり、夢は変化しながらも「人の命を守る」という芯がぶれることはなかったそうです。大学で国際関係論を学んだことから、ソーシャルビジネス(社会起業家)の道へ。バッグ作りを通してアフリカ女性を支援するまでの彼女の挑戦を描いたドキュメンタリーです。「その人らしく輝ける女性を増やしたい」という強い思いに励まされます。
8月のおすすめ
≪ともだちのかたち≫ダニエラ・ソーサ文絵 小坂涼訳 岩崎書店
「じぶんには ともだちがいないって おもってない?」そんな問いかけから始まる絵本。ともだちって、ある時一度だけ出会った子かもしれないし、長く長く側にいるあの人かもしれません。今は遠くに離れてしまったあの子かもしれないし、じぶんにしか見えないともだちがある人もいます。ともだちになれたかもしれない人も、ともだちかも?
ともだちのかたちっていろいろです。人と比べたり、こうでなくちゃというものは何もないから、自分なりのともだちのかたちを見つけていけたらいいな…そんなこどもたちへのメッセージが、おとなの心にも届きます。
7月のおすすめ
≪私のまま、素直に生きる 人間関係に効く!暮らしのヒント39≫森田汐生著 主婦の友社
コミュニケーションや人間関係で悩む人が増えています。社会が多様化し、自分の価値観だけでは理解できない人やものごとが増えているのではないでしょうか。
ありのままの自分を何より大切にして、価値観の異なる相手とも「誠実」に「素直」に「対等」に」話し合うスキルとマインドをアサーションと言います。筆者はアサーティブジャパンの代表を務めながら、トレーナーとしても活動。本書では、伝わらないと感じる人に向けて、わかり合いたい気持ちが出発点だということ、言いづらいことの伝え方、不安や批判と向き合う方法など、分かりやすく教えてくれます。自分の本当の望みに耳を傾け、それを丁寧に言葉にするヒントが満載。‟自分のまま”胸を張って生きていけるコミュニケーションを、今から始めてみませんか。
6月のおすすめ
≪恋愛結婚の終焉≫牛窪恵著 光文社
世代・トレンド研究家の著者が提案する「結婚に恋愛は要らない」という考え方。実は私たちは‟恋愛結婚”という昭和の呪縛に捕らわれているといいます!いまや男性の半数近くが女性に「経済力」を、女性の9割以上が男性に「家事・育児能力や協力」を求める時代。著者は様々なインタビューや論文、データ、参考文献から「恋愛と結婚を結び付けて考える‟恋愛結婚”の概念には無理があるのでは?」と考えるに至ります。若者の「恋愛離れ」を受け入れ、同時にいまの若者たちが求める‟共創(Co-Creatinon)"(思いを共有するパートナーや仲間と共に、よりよい未来や社会を作り上げていこうという思考)こそが令和の時代に求められる結婚に通じるのではないかと。人類の進化やコスパ、経済格差などの視点が新鮮で興味深く読めるのでは。新時代の結婚について、著者と一緒に考えてみませんか?
5月のおすすめ
≪学ぶこと 生きること~女性として考える≫猿橋勝子著 中央公論新社
激しい差別と闘ってきた著者は、「女性科学者に明るい未来をの会」を立ち上げ「猿橋賞」を設けたことでご存知の方も多いのでは。本書は、学ぶことのすばらしさ、生い立ち、優れた女性科学者の紹介など著者の思いが詰まったエッセイ。解説には‟「死の灰」を正確に分析、放射能汚染の実態についてアメリカの誤りを正し、核兵器の危険性を世界に知らしめた地球科学者の奮闘の記”とあります!なんという人生でしょう!
三月末生まれの体の小さな女の子が様々な人と出会い、学び、科学者となっていく、簡単ではない道のりを著者の言葉でぜひ味わってみてください。
4月のおすすめ
≪はじまりの日≫ボブ・ディラン著 岩崎書店
新学期がスタートしました!
愛する息子への思いを歌ったボブ・ディランの‟Forever Young"。
その歌詞やディランの生き様からイメージを広げ、ポール・ロジャーズが絵を描き、アメリカ生まれの日本語の詩人アーサー・ビナードが‟はじまりの日”と訳した絵本です。
希望に満ちた‟はじまりの日”。若者たちの未来に、幸多かれと願わずにはいられません。
3月のおすすめ
≪おつかれ、今日の私。≫ ジェーン・スー著 マガジンハウス
ラジオのパーソナリティーやコラムニストとして活躍する著者。強気で歯切れよく、自虐も含みつつの言葉に、いつも活力をもらっていた気がします。でもこの本は、疲れた私たちにとことん寄り添ってくれます。
「さあ、次はなにを書こうと考えていたところに、時代の変化がやってきた。未知のウイルスまでやってきた。周りを見渡すと、とてもじゃないが皮肉めいた笑いを受容できる余裕など誰にもない。私にもなかった。とにかく、優しさを持って書こうと決めた。面白さなんてどうでもいい。今回は、仲の良い友達の背中をさせるように書こう。」‟あなたががんばったこと、私は知ってるよ”このメッセージを、いい香りのするアロマのように味わってみてください。
2月のおすすめ
≪百年の子≫古内一絵著 小学館
「人間の歴史は百万年。だが、こどもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない」…扉の言葉と本の分厚さに、思わず身構えてしまいそうですが、読み始めると美しい映画をみるように引き込まれました。
出版社で働く明日香と、若き日の祖母スエ。それぞれの目線で描かれた出版に携わる人々の熱い思い。戦時の空気の中で、時代に合わせて作らなければ生き残れなかった編集に関わる人々の苦悩を縦軸に、明日香・母・祖母の女三世代の生き様が横軸に描かれ、最後にはそれらが一つの織物のようにつながります。「マカン・マラン」シリーズの著者が、この作品でも懸命に生きる人たちを優しい目線で描きます。
1月のおすすめ
≪おそるおそる育休≫西 靖著 ミシマ社
情報番組‟ちちんぷいぷい”でお馴染みのMBSアナウンサーの著者が「おそるおそる」取った育休の日々が綴られています。育休を決めたのは、3人目の妊娠が分かった時。「そういえば、男も育休が取れるんじゃなかったっけ」と、ふと思いつきます。日頃の妻の奮闘ぶりに感謝しつつも嚙み合わない思いがあったり、コロナ禍ということや、新生児との生活に時間を取りたいとの思いもあったそう。
「育休の日々は毎日ハッピーの連続かというとそんなことはなくて、笑うこともあれば泣くこともあり、妻と険悪になったり口ゲンカをすることも。子どもとの時間は最高だけど、イラっとしたり自己嫌悪に陥ることも。」そんな本音が身に沁みます。けれど後輩に聞かれるとこう答えるそうです。「ええやん。育休な、たいへんやけどおもろいで。」こんな会話が、この国の津々浦々で聞かれことを願いつつ。
12月のおすすめ
≪女性の発達障害 困りごとにどう向き合うか≫司馬理英子著 講談社
おとなになって人間関係や生きづらさに気が付き悩んでいませんか?この本はそんな方の強い味方になってくれます!
実は、女性の発達障害についてはまだまだ理解されず、診断がつきにくいそう。なぜなら女性は相対的に環境への適応能力が高いため、気付かずおとなになっていく事が多いから。けれど女性は職場だけでなく、妻として母としての役割も重く、辛く苦しい状況の中で悩んでいることが多いのだそうです。
本書は、発達障害とはどういうものか、困りごとをどうしたらいいのか、自分をいたわり励ます方法までイラストや図で見やすく分かりやすく書かれています。不安な気持ちに寄り添い、自分を元気にする方法を知ることで、生きづらさをやわらげてくれる友達のような一冊です。
11月のおすすめ
≪ルイーズ・ブルジョア 糸とクモの彫刻家≫エイミー・ノヴェスキー文 イザベル・アルスノー絵 西村書店
世界的に名高い彫刻家ルイーズ・ブルジョアの人生をたどった美しい絵本です。川のほとりで育ったルイーズ。「川は あたりのなにもかもを まるで糸のように つないでいました」
タペストリーを修復する仕事をしていた一家。川のそばで手を動かす母は「かしこくて…がまんづよく ものやわらかで…まるでクモのように働き者でした」
母の死後、美術を学んだ彼女は「すべての時間をかけて」様々な作品を作ります。「縫ったり つなぎあわせたりして作品をつくるのは うしなったもの 欠けたものを 完全なかたちにもどすことでした」
「ママン」と名付けられた巨大なクモの作品は広く知られることとなりました。川のように糸のように、物語が流れていく芸術作品のような一冊です。
10月のおすすめ
≪白ゆき紅ばら≫寺地はるな著 光文社
カロリーネ・シュタールという人物が作った童話『白ゆき紅ばら』。そう呼ばれていた仲の良い二人の娘たち。原作にはなかった結末をグリム兄弟が加筆したそうです。「娘たちは王子とその弟と結ばれ幸せに暮らしました」と…
「唐突に登場した男性と結婚させて、それをハッピーエンドと言いはるなんて馬鹿にしてる」祐希の言葉が胸に刺さります。
「のばらのいえ」は困っている母と子を守るための家。そこでの仕事を手伝う6年生の祐希と、そこにやってきた同い年の紘果。二人の出会いと別れ、そしてその後を描くリアルな物語。おとなの思惑に翻弄され不条理な人生を歩む少女たちの姿は、残酷でありながらどこかに美しさを秘め、読む者の心を締め付けます。二人の幸せな結末を願いながら、物語の行方を見届けてみませんか。
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