本棚から一冊~おすすめ図書を紹介します~

更新日:2026年01月09日

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1月のおすすめ

« BUTTER»柚月麻子 新潮社

次々出てくる料理が何とも美味しそう。思わずレシピをメモしたくなります。けれどもそれは、愛人業を生業とし三人の男性の命を奪った、若くも美しくもない「カジマナ」がブログで公開するバターたっぷりの料理たち。女性記者の町田里佳は、殺害容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)との拘置所での面会を取り付けます。取材を重ねるうち、本能のままに生き、食べ方や行動まで指南してくる彼女に翻弄され、やがて自分自身を見失っていくのです。彼女は本当に男たちを殺したのでしょうか。獄中のカジマナに振り回されながらも、そこからたくましく自分を見つけていく主人公の姿を、ドキドキしながら体験してみてください。

 

12月のおすすめ

«わたたしたちを阻むもの 女性が抱える生きづらさの根源»対馬ルリ子著 青月社

産婦人科医である著者が女性たちに「自分の身体の声に耳をすましてほしい」と書いた本です。「女性の心身の揺れ動きは、命の希求にあふれています。だからこそ、生命力に満ちた新しい命を生み出すエネルギーである女性ホルモンを、社会全体で大事にしていきませんか」。女性たちを包み込むような、あたたかいメッセージが語られます。身体についての正しい知識を持たないでいると、不調に気づかないふりをしたり、「がんばりすぎ」を止めれず自分を苦しめてしまいます。本書では、著者の半生を振り返りながら、女性の内側(身体の仕組み)と外側(社会の構造)に目を向けています。月経、更年期だけでなく、ホルモンの揺らぎが大きい時期に増悪する「わけのわからない体調不良」についても着目。気になるワードから読んでみては。

 

11月のお知らせ

≪元気でいてね≫藤原ハル著 祥伝社

こどもを持つこと、持たないこと、持てないこと。それぞれの登場人物が、悩みながら迷いながら自分の人生を選んでいきます。産む選択をしなかったことで離婚した女性、仕事と子育ての両立に苦しむ女性、同性愛を選ぶ人たち、ひとりで生きていく決意をする女性…それぞれの思いを知ることで、手を繋ぐことができるのではと、あたたかな希望に包まれるコミックです。「どこか岸の向こう 遠くのあなたへ 祈りを込めて ずっと手を振る」そんな主人公の思いを受け止めてください。

 

10月のおすすめ

≪月収≫原田ひ香著 中央公論新社

ベストセラー「三千円のつかい方」の著者の新作です。女性の自立を考えるとき、月収で見えてくる世界が描かれています。「月収四万円の女」から「月収三百万円の女」まで、それぞれの生き方がリアルで身につまされます。始まりは、どの女性も幸せそうには見えません。お金を得るために犠牲にするものがどれほどあるのか。何と引き換えにお金を得るのか。女性であることの生きづらさを抱えつつ、それでも逞しく困難に向かっていく登場人物たち。強く生きてほしいと応援したくなります。あらためて自分の人生を見つめるきっかけになるかもしれません。

 

9月のおすすめ

≪ふたり暮らしの「女性史」≫伊藤春奈著 講談社

家制度があった時代に、結婚ではないパートナーシップを選び、女性がふたりで暮らすという道を選んだ「歴史に埋もれてきた女性たち」について研究し著された一冊。陸上選手、新聞記者、パイロット、鉱山師、騎手など、戦前期の「女性」としては珍しい職業の女性たち。世間が求めてくる「あるべき女性像」も「家族」も拒み、違和感を言葉や行動で示し、闘ってきた主人公たちの姿に「あまりに不当な努力ではないかと、私も怒ったことが何度もあった」と著者。そして「自分たちだけの部屋を守り抜くことで生き残った人たちでもある」と述べています。ただ自由に愛しいと思う相手と暮したかった彼女たちの道のりはあまりに険しく、またそのことがほとんど語られてこなかったことにも驚きます。世界的スプリンターとしてオリンピックにも出場した人見絹江と藤村蝶の物語。数少ない女性飛行士となった馬淵てふ子と長山きよ子、木部シゲノ。五代友厚の娘、藍子と徳本うめ。女性騎手斎藤すみと芳江。彼女たちの足跡を語り継ぐことで、同じ苦しみを持つ女性たちに希望を与え、歴史を変えていけるのではないでしょうか。

 

8月のおすすめ

≪老いを読む 老いを書く≫坂井順子著 講談社

ここ数年、本屋の棚の幅を広げているのはエッセイコーナーだと著者はいいます。その中でも老いをテーマにした‟老い本”が平積みの大半を占めていると。「世界トップクラスの高齢化率」の中で不安を受け止める役割をしている‟老い本”と、その著者たちを検証することで高齢化について考えます。

老いの名作『楢山節考』から『いじわるばあさん』までを読み解く第1章‟名作は老いない”。第2章では‟老いをどう生きるか”。[定年クライシス]や[「乙女少女」は未来志向]などの言葉が気になります。第3章‟老いのライフスタイル”は、一人暮らし、おしゃれ、料理、移住など。第4章では‟老いの重大問題”を語ります。「金は足りるのか、配偶者の死、死との向き合い方、老人と性」。書きながら著者は、老いが視野に入ってきた自分たちの世代もまた読者であることに気付きます。老い本の量は、「よりよく生きたい」という希望の量。本を傍に置いてたくましく、前を向いて生きていけたらと思います。

 

7月のおすすめ

≪望まれて生まれてきたあなたへ≫やまもとりえ著 KADOKAWA

悲しすぎるニュースから始まるこの物語りは衝撃的だけれど、すぐそこにあることのようで思わず引き込まれます。テレビに映る新生児遺体遺棄事件の容疑者がかつての友人だったことに気付き、彼女との時間と、その後の二人の歩いて来た人生について考える主人公。シンプルなイラストが、厳しい現実をどこか幻のようにも感じさせます。二人の間にある境界線を、私たちはどうすればいいのでしょうか。誰かが分かってくれることが、せめてもの救いになると信じたくなります。このような現実があることを知り、自分のこととして考えられることが求めれれるのではないでしょうか。

 

6月のおすすめ

≪おおきなて≫チェ・ドッキュ著 ひだまり舎

本を包み込む帯と、たったひとつの文章なはっとさせられます。この本のテーマである〈おとうさんの手〉について、絵が静かに語りかける絵本です。左のページには我が子を慈しむ手、右のページには父親を支える手が描かれています。そしていつしか我が子は大きくなり、自分は年老いた父親になっていきます。時の流れが立場を変えてゆく瞬間です。最後のページのそっとつないだ手から、読み手はそれぞれ何を感じるでしょうか。「私は、父の手が伝えてくれた愛を忘れません。」そんな作者の思いのこもった絵本が、大切な人をすぐそばに感じさせてくれるのでは。

 

5月のおすすめ

≪ロンドンの片隅で、この世界のモヤモヤに日々クエスチョンしているよ≫クラーク志織文・イラスト 平凡社

イラストレーターの著者の、ロンドンで暮らしながら感じるフェミニズムについての思いが、ポップなイラストと共に本になりました!もともと「フェミニズム」を否定していた著者ですが、女性として生きていく中で「なんで?」と感じることがたくさんあったり、「女の子なのに」と行動を制限されたりするうちに疑問を感じます。20代後半ロンドンに引っ越したことで、自由な気持ちに。ロンドンでは女性を性的に表現する広告を見なかったり、女性キャスターが堂々と意見を述べたり、「女の人が怒っても変じゃないんだ!」と気付くのです。「私は『女の子』である前にひとりの人間なんだ」と。10年以上たった今、イギリスにもまだまだ課題は存在し、フェミニストたちは闘っています。けれど日本でもこの数年間で急速に社会が変わり始めているといいます。
へなちょこで完璧じゃない自分でも、世界のモヤモヤに声をあげていいんだと教えてくれます。「フェミニズム」が身近になる1冊です。

 

4月のおすすめ

≪さくららら≫升井純子文 小寺卓矢写真 アリス館

日本一遅く咲くさくらちゃんを描いた写真絵本です。主人公は5月の下旬に咲く北海道の「さくらちゃん」。

「ねむりすぎだよ さくらちゃん」「ほかのさくらと ぜんぜんちがう」まわりのみんなは「さくらちゃんも はやくはやく」と急かします。

けれど遅いってだれが決めるのでしょう?みんなと同じでなくてはダメ?大きくなければいけないでしょうか?

「わたし さきました」さくらちゃんの言葉にはっとします。

「わたしのさく日は わたしがきめる おそくたって これがわたし ちいさくたって  これがわたし!」

自分の気持ちを大事に自分の思いで踏み出せばいい、そんな大切なメッセージを届けてくれます。はじまりの春に、すべてのこどもたちに届けたい絵本です。

 

3月のおすすめ

≪さよなら、産後うつ~赤ちゃんを迎える家族のこころのこと~≫村上寛著 晶文社

出産しお母さんになること、子どもが産まれお父さんになること、赤ちゃんを迎える家族のこころはどれほど揺れ動くことでしょう。喜びも不安もある赤ちゃんとの暮らしの中で、少しでもつらいなと感じた時、そっと支えてくれるような本です。妊娠中のこころのこと、出産後のこころのこと、夫婦のこころのことが丁寧に書かれています。医師で3児の父でもある著者は、「周産期のこころの外来」「周産期の父親の外来」で妊産婦さんや父親のメンタルヘルスサポートや産後うつ病の治療を行っています。妊娠中の心配事、赤ちゃんを失うという事、妊産婦さんへかける言葉、育児の不安、産休育休のこと、父親の産後うつ…など真摯に向き合ってきたからこその言葉がやさしく包んでくれます。

「それぞれの妊婦さんにはそれぞれのストーリーがあります。どれだけ妊娠中が楽しくても産後につらさを抱える方もいらっしゃれば、その逆の方もいらっしゃいます。まわりの方々のあたたかな視線が『赤ちゃん』に降り注ぐ中で、産後の苦しさを吐き出せない妊産婦さんがもしかしたらこの本を読んでくださっているかもしれない。」産後うつになる妊婦さんを一人でも減らしたいという著者の思いがたくさん詰まったこの本を、家族だけではなく周りで見守る人たちにも知ってもらえたらと思います。

 

2月のおすすめ

≪小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害≫今西洋介著 集英社インターナショナル

小児医療の現場や研究から見えてきた正しい情報を伝えたいと書かれた本です。途中で読むのが苦しくなるほど、小児性被害の真実は深刻です。「あるはずがない」と思ってきたことが現実にはあり、おびただしい数の子どもたち、おとなになってもそれを抱え続けて苦しむ人たちがいるのだということを知ることができます。「推定で1日1000人以上の子どもが何らかの性被害に遭っている」とする調査もあります。子どもは年齢が低いほど自身の身に起きていることが性被害だと認識できず、周囲のおとなに訴える言葉も持ちません。言葉巧みに手なずけられる‟グルーミング”の渦中でマインドコントロールされていることもあり、疫学調査はとても難しいそうです。

「あるはずがない」の思い込みの裏で、家庭内性暴力や、男の子の性被害(男の子は危機感を持ちにくく、被害に気が付かず、打ち明けられない)、乳幼児の性被害(ベビーシッターの犯罪や小児性愛者の存在)、デジタル性暴力(盗撮、写真を送らせる、SNSでの写真の売買)も後を絶ちません。アニメやマンガで子どもを性的に描くという文化が日本以外にはないという事にも驚きます。小児科医、教員、塾の講師、習い事の指導者…本来は子どもを見守る立場を逆手に取る犯罪も。

しかし「社会全体で対策に取り組めば100%予防可能」だと著者は言います。子どもの声を聞き逃さず、放置しないこと。「小児性暴力を許さない」「どの子も被害に遭わせない」という想いを持つこと。システムや法の備えも重要だと。子どもたちのために出来ること、一緒に考えてみませんか?

 

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