本棚から一冊~おすすめ図書を紹介します~
更新日:2025年04月16日
4月のおすすめ
≪さくららら≫升井純子文 小寺卓矢写真 アリス館
日本一遅く咲くさくらちゃんを描いた写真絵本です。主人公は5月の下旬に咲く北海道の「さくらちゃん」。
「ねむりすぎだよ さくらちゃん」「ほかのさくらと ぜんぜんちがう」まわりのみんなは「さくらちゃんも はやくはやく」と急かします。
けれど遅いってだれが決めるのでしょう?みんなと同じでなくてはダメ?大きくなければいけないでしょうか?
「わたし さきました」さくらちゃんの言葉にはっとします。
「わたしのさく日は わたしがきめる おそくたって これがわたし ちいさくたって これがわたし!」
自分の気持ちを大事に自分の思いで踏み出せばいい、そんな大切なメッセージを届けてくれます。はじまりの春に、すべてのこどもたちに届けたい絵本です。
3月のおすすめ
≪さよなら、産後うつ~赤ちゃんを迎える家族のこころのこと~≫村上寛著 晶文社
出産しお母さんになること、子どもが産まれお父さんになること、赤ちゃんを迎える家族のこころはどれほど揺れ動くことでしょう。喜びも不安もある赤ちゃんとの暮らしの中で、少しでもつらいなと感じた時、そっと支えてくれるような本です。妊娠中のこころのこと、出産後のこころのこと、夫婦のこころのことが丁寧に書かれています。医師で3児の父でもある著者は、「周産期のこころの外来」「周産期の父親の外来」で妊産婦さんや父親のメンタルヘルスサポートや産後うつ病の治療を行っています。妊娠中の心配事、赤ちゃんを失うという事、妊産婦さんへかける言葉、育児の不安、産休育休のこと、父親の産後うつ…など真摯に向き合ってきたからこその言葉がやさしく包んでくれます。
「それぞれの妊婦さんにはそれぞれのストーリーがあります。どれだけ妊娠中が楽しくても産後につらさを抱える方もいらっしゃれば、その逆の方もいらっしゃいます。まわりの方々のあたたかな視線が『赤ちゃん』に降り注ぐ中で、産後の苦しさを吐き出せない妊産婦さんがもしかしたらこの本を読んでくださっているかもしれない。」産後うつになる妊婦さんを一人でも減らしたいという著者の思いがたくさん詰まったこの本を、家族だけではなく周りで見守る人たちにも知ってもらえたらと思います。
2月のおすすめ
≪小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害≫今西洋介著 集英社インターナショナル
小児医療の現場や研究から見えてきた正しい情報を伝えたいと書かれた本です。途中で読むのが苦しくなるほど、小児性被害の真実は深刻です。「あるはずがない」と思ってきたことが現実にはあり、おびただしい数の子どもたち、おとなになってもそれを抱え続けて苦しむ人たちがいるのだということを知ることができます。「推定で1日1000人以上の子どもが何らかの性被害に遭っている」とする調査もあります。子どもは年齢が低いほど自身の身に起きていることが性被害だと認識できず、周囲のおとなに訴える言葉も持ちません。言葉巧みに手なずけられる‟グルーミング”の渦中でマインドコントロールされていることもあり、疫学調査はとても難しいそうです。
「あるはずがない」の思い込みの裏で、家庭内性暴力や、男の子の性被害(男の子は危機感を持ちにくく、被害に気が付かず、打ち明けられない)、乳幼児の性被害(ベビーシッターの犯罪や小児性愛者の存在)、デジタル性暴力(盗撮、写真を送らせる、SNSでの写真の売買)も後を絶ちません。アニメやマンガで子どもを性的に描くという文化が日本以外にはないという事にも驚きます。小児科医、教員、塾の講師、習い事の指導者…本来は子どもを見守る立場を逆手に取る犯罪も。
しかし「社会全体で対策に取り組めば100%予防可能」だと著者は言います。子どもの声を聞き逃さず、放置しないこと。「小児性暴力を許さない」「どの子も被害に遭わせない」という想いを持つこと。システムや法の備えも重要だと。子どもたちのために出来ること、一緒に考えてみませんか?
1月のおすすめ
≪女性活躍の処方箋~シン・働き方≫稲葉加奈子著 きずな出版
「女性特有の健康課題による労働損失」についてご存知ですか?「女性ならではの症状や病気のために仕事を休んだり、辞めたり、パフォーマンスが下がったりすることで、社会全体でみると1兆円以上の損失となっている」と言われています。産婦人科医という立場である著者は、そう言われることが癪で仕方がないのです!「労働損失というのは社会全体としての労働の損失総額ですが、紐解いていくと個々の企業の損失、そして女性一人ひとりの損失である」と。女性特有の健康課題のほとんどは医学的観点から解決でき、本来のパフォーマンスを発揮できる方法がたくさんあるのだそうです。本来の意味で女性が活躍できるようになるためには、組織の変革も不可欠。女性の存在が「損失」ではなく「プラス」となるようにと願いをこめて書かれた本書の具体的なヒントが、悩めるあなたをそっと支えてくれます。
12月のおすすめ
≪新書版 性差(ジェンダー)の日本史≫ 国立歴史民俗博物館監修 集英社
国立歴史民俗博物館で2020年10月から2ヶ月間開催された「性差(ジェンダー)の日本史」という企画展示。日本の歴史の中から女性や男性の姿を浮かび上がらせ、男女を区別する社会がどのように生まれ、人々がどのように生きてきたのかをふりかえるプロジェクトでした。この展示で反響が大きかった資料を中心に、分厚い図録を手に持ち歩いて読める本に、と作られたのが本書です。
この展示は「政治空間における男女」「仕事とくらしの中のジェンダー」「性の売買と社会」という3つの柱に沿って紹介されており、邪馬台国・卑弥呼の時代から、朝廷の女性の姿が御簾に隠された中世、政治的に大きな役割を持っていた江戸時代の「大奥」や「奥」の存在、明治維新によって女性が政治の場から排除された様子、GHQの占領下、労働省の女性たちが日本女性の社会的地位の向上を目指すために尽力した近代の動きなど、当時の様々な資料(古墳や木簡、日記、記録、絵、写真など)を通して見ることができます。博物館を訪れたような気持で手に取ってみてください。「ジェンダーの歴史、1800年の旅に出かけましょう」…前書きの言葉に胸が高鳴ります。
11月のおすすめ
≪やってみた!いのちを守る64の防災活動~小学生の体験レポート+専門家のアドバイス~≫関西大学初等部6年生(第11期生)著 さくら社
2018年6月18日の大阪府北部地震を体験した高槻で学ぶ子どもたちが、自分たちで調べ、考え、やってみた防災について、が本になりました。5年生の時、兵庫県の「人と防災未来センター」に行ったことをきっかけに学びを深め、2023年2月には防災イベントを開催。地域の人たちや外部団体の力も借りながら「防災グッズ」「非常食」「災害弱者」「共助」「医療」「避難・避難所」とテーマごとにプレゼンや体験などを行いました。「死者を0にすることは難しいが、限りなく0に近づけることはできるのでは」と話し合い、多くの人に届けるために本にすることに。実際にやってみた子どもたちの様子や体験レポートはとても分かりやすく、様々なチャレンジに目からウロコです。ペットボトルシャワーや新聞紙スリッパなどの防災グッズ。身近にあるもので作る防災食。避難施設まで実際に行ってみたり、「災害弱者」にも思いをはせて。専門家のアドバイスも掲載されています。「みんな」が助かることを本気で考えた6年1組2組の子どもたちの決意の言葉に、身が引き締まる思いです。たくさんの人に届きますように。
10月のおすすめ
≪あなたの言葉を≫辻村深月著 毎日新聞出版
毎日小学生新聞で連載されていた‟あなたの言葉を”が本になりました。今、「子ども」の時間を生きるひとたちに、自分の言葉を見つけていくためのお手伝いをしたいとの著者の思いが詰まっています。言葉にすることのできなかった感情を理解できるようになったのは、おとなになってから。‟その時の感情を何度も心の中で整理するうちに、それらを表現する「わたしの言葉」を見つけていくことができた”そうです。作家としての自身の経験と重ねながら自分の心を知り、あなたの時間があなたを作っていくというメッセージを、優しい言葉で伝えてくれます。「かがみの孤城」「ツナグ」など著者のほかの作品もぜひこの機会に読んでみてくださいね。
9月のおすすめ
≪アフリカでバッグの会社はじめました≫江口絵里著 さ・え・ら書房
誰かの背中を押すような本を作りたいと願ってきた著者の夢が実現しました!ある雑誌の編集者から頼まれたインタビューがきっかけで、ウガンダでバッグ工場を経営している仲本千津さんと出会います。そして生まれたのがこの本です。千津さんは「一度引き込まれると目の前の面白いことに没頭してしまう女の子」だったそう。中学時代に授業で見た「シンドラーのリスト」、高校時代は世界史で学んだ緒方貞子のドキュメンタリーに夢中になり、夢は変化しながらも「人の命を守る」という芯がぶれることはなかったそうです。大学で国際関係論を学んだことから、ソーシャルビジネス(社会起業家)の道へ。バッグ作りを通してアフリカ女性を支援するまでの彼女の挑戦を描いたドキュメンタリーです。「その人らしく輝ける女性を増やしたい」という強い思いに励まされます。
8月のおすすめ
≪ともだちのかたち≫ダニエラ・ソーサ文絵 小坂涼訳 岩崎書店
「じぶんには ともだちがいないって おもってない?」そんな問いかけから始まる絵本。ともだちって、ある時一度だけ出会った子かもしれないし、長く長く側にいるあの人かもしれません。今は遠くに離れてしまったあの子かもしれないし、じぶんにしか見えないともだちがある人もいます。ともだちになれたかもしれない人も、ともだちかも?
ともだちのかたちっていろいろです。人と比べたり、こうでなくちゃというものは何もないから、自分なりのともだちのかたちを見つけていけたらいいな…そんなこどもたちへのメッセージが、おとなの心にも届きます。
7月のおすすめ
≪私のまま、素直に生きる 人間関係に効く!暮らしのヒント39≫森田汐生著 主婦の友社
コミュニケーションや人間関係で悩む人が増えています。社会が多様化し、自分の価値観だけでは理解できない人やものごとが増えているのではないでしょうか。
ありのままの自分を何より大切にして、価値観の異なる相手とも「誠実」に「素直」に「対等」に」話し合うスキルとマインドをアサーションと言います。筆者はアサーティブジャパンの代表を務めながら、トレーナーとしても活動。本書では、伝わらないと感じる人に向けて、わかり合いたい気持ちが出発点だということ、言いづらいことの伝え方、不安や批判と向き合う方法など、分かりやすく教えてくれます。自分の本当の望みに耳を傾け、それを丁寧に言葉にするヒントが満載。‟自分のまま”胸を張って生きていけるコミュニケーションを、今から始めてみませんか。
6月のおすすめ
≪恋愛結婚の終焉≫牛窪恵著 光文社
世代・トレンド研究家の著者が提案する「結婚に恋愛は要らない」という考え方。実は私たちは‟恋愛結婚”という昭和の呪縛に捕らわれているといいます!いまや男性の半数近くが女性に「経済力」を、女性の9割以上が男性に「家事・育児能力や協力」を求める時代。著者は様々なインタビューや論文、データ、参考文献から「恋愛と結婚を結び付けて考える‟恋愛結婚”の概念には無理があるのでは?」と考えるに至ります。若者の「恋愛離れ」を受け入れ、同時にいまの若者たちが求める‟共創(Co-Creatinon)"(思いを共有するパートナーや仲間と共に、よりよい未来や社会を作り上げていこうという思考)こそが令和の時代に求められる結婚に通じるのではないかと。人類の進化やコスパ、経済格差などの視点が新鮮で興味深く読めるのでは。新時代の結婚について、著者と一緒に考えてみませんか?
5月のおすすめ
≪学ぶこと 生きること~女性として考える≫猿橋勝子著 中央公論新社
激しい差別と闘ってきた著者は、「女性科学者に明るい未来をの会」を立ち上げ「猿橋賞」を設けたことでご存知の方も多いのでは。本書は、学ぶことのすばらしさ、生い立ち、優れた女性科学者の紹介など著者の思いが詰まったエッセイ。解説には‟「死の灰」を正確に分析、放射能汚染の実態についてアメリカの誤りを正し、核兵器の危険性を世界に知らしめた地球科学者の奮闘の記”とあります!なんという人生でしょう!
三月末生まれの体の小さな女の子が様々な人と出会い、学び、科学者となっていく、簡単ではない道のりを著者の言葉でぜひ味わってみてください。
4月のおすすめ
≪はじまりの日≫ボブ・ディラン著 岩崎書店
新学期がスタートしました!
愛する息子への思いを歌ったボブ・ディランの‟Forever Young"。
その歌詞やディランの生き様からイメージを広げ、ポール・ロジャーズが絵を描き、アメリカ生まれの日本語の詩人アーサー・ビナードが‟はじまりの日”と訳した絵本です。
希望に満ちた‟はじまりの日”。若者たちの未来に、幸多かれと願わずにはいられません。
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