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更新日:2026年06月01日

ページID: 62165

青のナースシューズ

藤岡陽子/著 KADOKAWA 2026年

 

事故で亡くなった父に代わり、体の不自由な弟を介護し母を支えるため家事を担う成道。ヤングケアラーという厳しい状況の中で、父の仕事だった看護師を目指すことを決意します。

女子の多さに圧倒され、不安になった入学式。男子だからと患者に拒まれるという経験。手術から逃げようとした患児との向き合い方に悩み、新しい命の誕生にも立ち会って…「看護とは何か」と問いかけながら、4年間の苦悩の一つ一つを、仲間たちと乗り越えていきます。出会う人々との関わりの中で、看護師になっていく姿に人は支え、支えられながら生きていくのだと気付かされます。物語の最後に成道が受け取るものが、初夏の空のように未来を明るく照らします。明治時代の日本で、看護の礎を作った女性たちの思いが連綿と今に引き継がれていることにも思い至ります。

 

自分のために料理を作る

 自炊からはじまる「ケア」の話

山口祐加・星野概念(対話に参加)/著 晶文社 2023年

 

「誰かのために」なら出来るのに、「自分のために」料理を作ることはどうして難しいのでしょうか。それはなぜかを考える本です。「自分のために料理ができない」と感じている世帯も年齢もばらばらな6名の参加者に「自炊コーチ」をし、その後、精神科医の星野概念さんとともにインタビューしたことがまとめられています。「理想の家庭料理像」や「ねばならない」で苦しんでいる人たちに、「もっとラクにやっていい」「許せる食事を増やす」「休むのも大事」と寄り添いながら、それぞれの悩みを解きほぐします。料理に切ない記憶や癒えない傷を抱えている人がいることに気付く筆者。料理と向き合うことで、自分が何を大事にしているのか見つめていく参加者たち。様々なヒントが背中を押してくれます。「日々食べているものをもっと肯定しよう」の言葉が心に響きます。

 

60代、不安はあるけど、今が好き

岸本葉子/著 中央公論新社 2024年

 

60代からの住まい、健康、心の持ち方を綴ったエッセイです。これまでのやり方が通用しなくなった時、著者が選んだのは今を慈しむための小さな工夫でした。衰えを嘆くのではなく、今の年齢に合った「ちょうどいい快適さ」を見つけていく過程が、発見に満ちていて楽しいです。明るい勇気を与えてくれる一冊です。

 

 

ジェンダーで学ぶ政治学
三浦まり・岡野八代/編 世界思想社 2026年

 

『個人的なことは政治的である(パーソナル・イズ・ポリティカル)』政治とは何かを私的領域から捉え直し、女性の政治参画や家族の政治的機能などについて丁寧に解説しています。理論を学ぶだけでなく、日常の中にある生きづらさや違和感を社会構造と結び付けながら、地震と社会の関わりを見つめ直す視点を与えてくれます。

 

 

 

 

うちのツマ知りませんか?

野原広子/著 オーバーラップ 2026年

 

熟年夫婦の機微を鋭く描いた作品。共有された歳月や日常を経て、いつしか互いの気配を当たり前とし、依存とも自立とも違った第三の距離感が生まれます。それを残酷なまでに正直に描き出しています。ぶつかり合いすり減りながらも、隣に誰かがいることの安らぎに気づきます。読後、隣にいる人を少し優しくみたくなります。

 

 

刻印 満蒙開拓団、黒川村の女性たち

松原文枝/著  KADOKAWA 2025年

 

本書は、映画「黒川の女たち」をもとに書かれています。長年沈黙を強いられた女性たちが「なかったことにはできない」と声を上げ続け、連帯していく姿が描かれています。被害と加害の歴史に向き合いながら、尊厳の回復と記憶を語り継ぐことの重み、大切さを考えさせれれる一冊です。

 

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