BOOKガイド
更新日:2026年10月01日
#台所のあるところ
原田ひ香/著 文藝春秋 2026年
色々な台所があり暮らしがあります。子育てが終わり、定年退職した夫は海外へ。夢見ていたキッチンに初めて向き合う敦子。コスパ重視のパートナーとの生活に疑問を持ちながら暮らし、ふとしたきっかけで祖母の手作りのあたたかさにふれ、心が動く陽愛乃。不思議な風習のある島に嫁ぎ、夫に先立たれ、5台もの冷凍庫と冷蔵庫を持つことになった寿子。シングルで4人の子育てに追われ、毎日大量の揚げ物を揚げ続ける花絵。移住して新聞配達の仕事をしながら、保護犬と暮らす多美。鎌倉に大きな一軒家を持つまどか。6人の主人公たちの傍らには「#台所のあるところ」という深夜ドラマがありました。ドラマの進行と物語の時間が重なって描かれ、別々の人生がひそかに繋がります。生きづらさの中で、それでもたくましく台所に立ち、自分らしく生きようとする彼女たち。思いがけないラストが気持ちを明るくしてくれます。
報われない社会で、それでも生きる
上野千鶴子 アグネス・チャン/著 Gakken 2026年
生後数か月の長男を連れ、テレビの仕事に復帰した歌手のアグネス・チャンさんのことを覚えていますか。当時、女性の作家やコラムニストが雑誌の中で批判し、社会学者の上野千鶴子さんは擁護する論考を載せ、女性の働き方をめぐって議論が交わされ、この出来事は社会現象となりました。40年たった今、当時を振り返り、女性を取り巻く様々な問題について二人が語り合う対談です。「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」2019年春、東大入学式の上野さんの祝辞は日本だけでなく中国でも注目されたそうです。アグネス論争を振り返り、「女らしさ」「自分らしさ」を考え、日本と中国の違いにも触れながら、報われない社会でどう生きていくかをじっくりと語り合います。フェミニズムを研究し続けてきた上野さんと苦難を前向きに変換してきたアグネスさん。「変化は勝手に起きるわけではない、誰かが起こすものだ」この言葉の意味を改めて感じさせられます。
気ままに楽しく!
大人の女ひとり旅
門賀美央子/著 清流出版 2026年
一人旅ならではの自由さや、ふと立ち止まって自分と向き合う時間の豊かさを描いた一冊です。おとなだからこその贅沢として、気ままに歩き心の声にそっと耳を澄ますひとときが訪れます。ページをめくるほどに、自分の世界を広げてみたくなります。
一歩踏み出したいあなたの背中をそっと押してくれる旅のノウハウ・エッセイ集です。
なぜ、人は無意識に偏見を持つのか
あなたを縛るアンコンシャスバイアス
坂東眞理子/著 ポプラ社 2026年
アンコンシャスバイアスという現代的なテーマを易しい語り口で解説している一冊です。日常の思い込みが判断や行動に与える影響を示し、よりよい人間関係を築く手引きとなります。自分と他者を深く理解するためのヒントがちりばめられており、読後は視野が大きく広がるのを感じられます。
憤怒の人
杉山響子/著 小学館 2026年
重度の認知症の母を介護する毎日。
怒ったり謝ったりを繰り返す、怒りん坊の母親に娘の響子さんは振り回されます。
亡くなった作家・佐藤藍子さんの娘が書いた、母親に対する愛情がたっぷり感じられる、ユニークで笑いあり涙ありのエッセイ集です。
いもうとのデイジー
男の子だと思っていたきみを、女の子としてうけいれるまで
エイドリア・カールソン/作 ライナス・クルチ/絵 偕成社 2026年
兄はある日突然弟から「わたし、女の子だよ」と言われます。
ずっと兄弟として育てられた兄は複雑な心境をかかえながらも、家族で話し合い妹として受け入れます。そしてトランスジェンダーについて学んでいきます。
勇気をもって自分の性自認をまわりに伝えたこどもを尊重し、家族があたたかく見守る姿が伝わってくる作者の実話絵本です。
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