令和元年度「障害がある人もない人も共に生きるまちの姿とは?」

更新日:2022年01月18日

ページID: 45227

日時・場所

1 日時

令和元年12月20日(金曜日) 午後2時30分~午後4時25分

2 場所

茨木市役所 南館10階 大会議室

出席者・テーマ

1 出席者

茨木市からの出席者

福岡市長、加藤学校教育部長、谷学校教育部次長兼学校教育推進課長、吉田学校教育推進課指導主事、北川健康福祉部長、河原障害福祉課長、中橋障害福祉課職員、沖田障害福祉課職員、市民生活相談課職員

中学生の出席者

茨木市立中学校14校から26名

2 テーマ

「障害のある人もない人も共に生きるまちの姿とは?」

未来ミーティングの概要

福岡市長と茨木市立中学校の生徒が、「障害のある人もない人も共に生きるまちの姿とは?」をテーマに、未来ミーティングを実施しました。

 

当日、生徒たちは5つの班に分かれ、各自が事前に準備していたテーマに対するワークシートをもとに話し合いました。その後、ホワイトボードに「障害のある人はどんな場面でつらさを感じると思うか」「障害のある人にも暮らしやすい“共に生きるまち”を実現するために誰が何をすればいいか」「中学生にできることは何か」の3点について班の意見をまとめ、発表しました。

 

 

 

A班は、障害のある人が困ったりつらさを感じる場面として「エレベーターのない駅での1人の行動時」「信号や黒板が見えにくいとき」「自身の障害について理解されないとき」「『すいません』などの少しの言葉でも毎日言い続けるとストレスになる」「共感されない」などの意見を挙げました。

そのうえで、障害のある人にも暮らしやすい、共に生きるまちを実現するためのアイデアとして「信号を長くするボタンを増やす」「手話を広く普及するためにプリントを配布する」「ネットや授業を通して障害についてもっと深く知ってもらう」「障害のある方向けの相談所をつくる」「誰でもできるスポーツ大会を開く」「点字ブロックをもっと広める」などを提案しました。

中学生の皆さん自身でできることとしては「声掛けをする」「特別扱いをしない」「相手の立場で考える」「授業で気にかける」「障害の『害』をひらがなの『がい』にする」など、障害のある人とない人との壁をなくしていこうという意見が出ました。

A班発表の様子

市長:中学生の皆さんが今できることとして「特別扱いをしない」「授業で気にかける」という意見が出ていましたね。この二つのバランスが難しそうに思えるんですけれど、どんなイメージでしょうか?

A班生徒:「特別扱いをしない」っていうのは、障害があるからといってなんでもしてあげるわけじゃなく、あくまでできないことの手助けをしてあげるということです。「授業で気にかける」というのは、たとえば知的障害がある人の様子を見て、必要なら声をかける、ということです。

市長:授業時間は決まっていますので、ペース配分については先生方もどううまく授業を進めていくのかが悩みどころですね。

 

健康福祉部長:「相談所をつくる」という話がありましたが、具体的にはどんな相談ができるところがあればいいなと思いましたか?

A班生徒:障害があるために普段感じるストレスについて相談できる場所があればいいなと思いました。

健康福祉部長:茨木市では、市内を東西南北と中央の5ヶ所にブロック分けをし、全部で10ヶ所の障害に関する相談所を設けています。発表していただいたそのままの相談所というわけではありませんが、相談員が障害のある方のご自宅を訪問するなどして相談に乗り、よりよい生活を送っていただく手助けをしていますので、市としてもこれから広く相談所を周知していきたいと思っています。

健康福祉部長が話す様子

市長:「信号の時間を長くする」というアイデアもありましたが、行政目線でいくと難しいところですね。長くすれば、確かに高齢者の方々は安心して渡れますが、一方で渋滞も起きやすくなる。このあたりの兼ね合いをどうするのかという部分が行政の汗のかきどころですよね。皆さんの意見を聞きながら、たくさんの方が安全・安心に暮らせるまちづくりを頑張っていきたいと思います。

 

 

B班は、困ったりつらさを感じる場面について、身体的な面では「段差でつまずいたり、自分のやりたいことができなくて不自由」、精神的な面では「周りからの支援や、障害の有無で差別されたり比較されたりする」「自分のことで周りから何か言われているのではないか、いじめや悪口・差別についての不安」を挙げました。

そのうえで、共に生きるまちを実現するためのアイデアとして「『○○ができません』『○○があれば、○○ができます』等が書かれたカードを持っていてもらう」「車いすを体験できるようにする」「障害のある人との交流の場をつくる」「視覚障害のある人のためにスーパーでアナウンスを流す」「障害のある人が働ける職場がどこにあるのかなどの情報をホームページに載せる」などを提案しました。

中学生ができることとしては「ポスターをつくって呼びかける」「助け合う勇気を持つ」「障害について間違った知識を持っている人に正しい知識を伝える」「多くの人に障害について知ってもらうために、文化祭などのイベントに障害のある人を招いて話をしてもらう」など、学校全体で行事を行うことも提案しました。全体を通して、身近なところから理解を深め、障害の有無に関係なく個性を認め、手助けをする勇気を持つことが大切だと、B班は発表しました。茨木市のみんなが一人一人助け合う気持ちを持つと、障害がある人もない人も関係なく、ともに生きる茨木市に近づくということです。

 

障害福祉課職員:「文化祭に障害のある人を招待する」という意見がありましたが、今は障害のある方とお話する機会は学校ではないのでしょうか?

B班生徒:そういった機会はないので、これから中学生と障害のある方との交流の場が設けられればいいなと思いました。

 

障害福祉課長:身体障害について、車いすや視覚障害の話がありましたが、それ以外の障害にはどのようなものをイメージしますか?

B班生徒:見た目ではわからない知的障害だったり、軽度な障害。理解してもらいにくいのかもしれませんが、困っていると思います。

障害福祉課長:なるほど。ありがとうございます。見た目ではわかりにくいところで言うと、ほかには内臓に障害のある内部障害や、発達障害、精神障害というものもあります。うつ病で困っている方もいます。

今、市役所では配慮が必要だと思われる方々に対してヘルプマークというものを配っています。もしも皆さんがヘルプマークを付けている方をどこかで見かけたら、「配慮が必要な方なんだな」と意識していただければと思います。

 

市長:障害をひとつの個性として認識していくというのは非常に良い視点だと思いました。最近はLGBTについてもよく語られていますが、自分とは違うものが存在するということを常に意識することがこれからは非常に大切になってくると思います。

B班発表の様子

 

 

C班は、困ったりつらさを感じる場面が、目に見えるものと見えないものの二つに分けられると考えました。目に見えるものについては「段差があることで先へ進めない」「料理や買い物などの日常生活において困る」などの意見が挙がりました。一方で、目に見えないつらさについては「周りと分けられる」というのが大きいのではないかと考えました。差別による冷たい声もありますが、配慮が行き過ぎたことで分けられたと感じることもあるのではないかということです。これら二つのつらさには「自分のやりたいことができない」というところが理由として大きいのではないかというのがC班の考えです。

以上を踏まえたうえで、共に生きるまちを実現するためには、まずは障害者の立場を体験することが大切だという話になりました。そうすることで印象にも残りやすく、障害について考えるきっかけになるということです。そのために、体験型の講演会を実施するというのがC班の提案です。また、パラリンピック競技の体験やキャッチフレーズづくりを通して意識を高めようというアイデアも出ました。

また、C班は今を生きる一人として、これからの未来を担う自分たちより下の年代の人たちに、障害についての私たちの意見を伝えていきたいということでした。そのために、生徒会で啓発ポスターをつくり、駅などの公共の場に貼ってもらえるような企画を考えたり、授業時間内に障害についてみんなで考え、どんなときに困っているのかを知るようにしたいと発表しました。

 

C班生徒:「ヘルプマーク配布」以外の障害に関する市の取組みについて教えてほしいです。

障害福祉課長:茨木市では、平成30年4月に「茨木市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例」が施行されて以降、市役所に来られる方に対しての配慮のひとつとして、窓口では耳が不自由な方に向けて筆談ボードや集音器を用意しています。特に集音器は高齢の方にも声が聞こえやすいと好評をいただいています。また、茨木市内のお店には、段差解消のための工事やスロープの購入といった合理的配慮を行ってもらうための補助金を出す制度もあります。平成30年度には30弱の店舗がこの制度を利用されました。今年に入ってからは制度を利用いただいた店舗には「障害のある人にもやさしいお店ですよ」とアピールするステッカーも配布して貼ってもらっています。まだまだ店舗数はこれからというところですが、もしもステッカーを貼っているお店に行かれるようなことがあれば「ここは障害のある方への配慮に気を使っているお店なんだな」ということで気づいていただけたら嬉しいです。

C班生徒と障害福祉課長の意見交換

C班生徒:ありがとうございます。知らない話がほとんどだったので、多分、中学校や家族の中にも知らない人がたくさんいると思います。今回のミーティングに参加した私たちが広めていけたらと思います

 

 

D班は、障害について理解してもらえないときに、困ったりつらさを感じると考えました。これを解決するために「車いすやVR(仮想現実)などの最新技術を使って実際に障害のある生活を体験してもらう」「お年寄りや子ども、身体が不自由な人など、誰もができるスポーツやゲームを通してつながりをつくり、気軽にコミュニケーションをとれるようにすることで、お互いに声掛けして助け合いやすくなる」というアイデアを発表しました。

中学生ができることとしては「生徒会としてヘルプマーク等の紹介」「障害について理解を深め、個性として認められるようにするための交流会の実施」「パラリンピックを積極的に観る」という意見が出ました。また、手伝うときに障害のある本人が自分でできることまでも手伝ってしまうことは、本当の気遣いにはならないということから「障害のある人と交流する中で、手伝う部分を明確にする」という意見も出ました。

 

市長:「手伝う部分を明確にする」という意見が出ていましたが、難しい課題ですよね。自分の目の前にいる人の障害の有無にかかわらず、自分がその人のことをどれだけ理解できているかにかかっていると思います。普段の関係づくりがそういった手助けができる、あるいは本当にほしい助けをもらえることにつながるのかなと思います。

 

障害福祉課職員:障害について理解してもらえないとか、本人が望んでないことをやってしまうみたいな話がありましたが、皆さんは、自分が困っているとき、すぐに友達に助けてって言えますか?

D班生徒:言いにくいことが多いと思います。

障害福祉課職員:どんなときに言いにくいですかね?

D班生徒:友達に相談したのがきっかけで、変な噂が広がって悪い方向へ話が進んでしまうのが心配で…。

障害福祉課職員:ほかの方はどうでしょうか?

D班生徒2.:僕はすぐ友達に言います。

障害福祉課職員:でしたら、逆に友達が何か困っていることを話してくれないなっていうことはないですか?

D班生徒2.:それはあると思います。

障害福祉課職員:みなさんが困りごとを人に言いにくいっていうのは、わだかまりがあったりだとか、自分の恥ずかしい一面について話すことになるからだと思うんですね。でも、そこをみなさんが自分からどんどん助けてっていう声を発していくことによって、障害のあるなしに関係なく、自分のできない部分を皆に知ってもらえるようになれば、茨木市はもう少しやさしいまちになれるのかな、と思っています。

D班生徒2.:誰にでも心をさらけ出せるような友達が1人はいて欲しいものですね。

D班発表の様子

 

 

E班は、バリアフリー化が進んでいないことが一番困るのではないかという意見を挙げました。また、目に見えない障害についての理解が得られにくいことも困ったりつらかったりすると考えました。

そのうえで、共に生きるまちを実現するためには「ヘルプマークの理解を呼びかけるポスターを作る」「学校で障害のある人が困っているときにどうすればいいか考える時間を作ることが大切」などのアイデアが出ました。

中学生ができることとしては「生徒会として、この場では出なかったようなアイデアを学校のみんなで考える時間づくりをしたい」という意見が出ました。ほかにも、「自ら積極的に手助けを申し出る」「障害について理解していることを相手に伝える」「理解と声かけが大切だということをほかの人に伝えていければ」という意見も出ました。

E班発表の様子

 

市長:たくさんの人が長い時間をかけて考えていくのが大切だというのは、まさにそのとおりだと思います。また、学校でよく目にするからでしょうか、ほかの班もそうでしたが、ポスターについての意見が多かったですね。

 

障害福祉課職員:「たくさんの人にアイデアを出してもらう」っていう考えがいいなと思いました。一部の人じゃなくて、いろんな人が考えるっていうのが「ともに生きるまち」に繋がっていくのかなと思うので、ぜひ生徒会のみなさんには、生徒みんなで考える時間をつくっていってもらいたいなと思います。

 

 

 

市長:どの班も、まずは相手の立場に立って考えようという姿勢が見られたのが印象的でした。「茨木市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例」の話も出ていましたが、条例を作るときもまさに皆さんの考えと同じでした。行政としても、知らない者が考えるのではなくて、障害のある当事者も一緒になって考えてもらって理解を進めながら条例を作りました。この条例は、行政だけの話ではなく、市民のみなさんも一緒にまちづくりを頑張っていきましょうということです。中学生のみなさんもその一員です。今日の話を持ち帰ってもらい、議論や理解を深めていただくことで、ぜひ一緒に条例が形だけじゃなくて中身のあるものにしていけたらと思いますので、ご協力お願いいたします。本日はありがとうございました。

市長の締めのあいさつ

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