國井会長　それでは、ただ今から、第2回茨木市総合計画審議会を開会いたしたいと存じます。委員の皆様には、ご多用のところ審議会にご出席くださいまして、厚くお礼申し上げます。まず、事務局から本日の出席状況について報告をお願いします。

刈谷課長　本日の委員の出席状況を報告申し上げます。審議会委員総数22人のうち、ご出席は21人、欠席は1人です。過半数の出席をいただいておりますので、茨木市総合計画審議会設置条例第６条第２項により、会議は成立いたしております。よろしくお願いいたします。

國井会長　大変高率のご出席でありがとうございます。本日は、会議案件としてお示ししておりますとおり、基本構想案につきまして実質審議に入りたいと存じます。
　会議の所要時間は約2時間程度を予定いたしておりますので、その点もお含みおきいただいてよろしくお願いしたいと思います。
　なお、第１回会議におきまして決定されたとおり、会議は公開としておりますので、よろしくお願いします。

【異議なしの声】

　次に、専門部会には、茨木市総合計画審議会設置条例第8条第2項により、部会長を設置する必要があり、これも会長が指名することとなっておりますので、この件につきましても、私からご指名をさせていただきたいと存じます。第１専門部会の部会長には、志水委員に、第2専門部会の部会長には、赤�ｱ委員に、それぞれお願いしたいと存じますので、ご了承をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
　次回から、専門部会に入る予定となっておりますので、両部会長には大変ご苦労をおかけいたしますが、それぞれの部会の運営につきまして、よろしく取りまとめ方お願い申し上げます。
　それでは両部会長からご挨拶をお願いします。

志水委員　突然のご指名で、私で務まるのか、心もとないですが、皆様のご協力でなんとか立派な成果があがるようがんばっていきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

赤�ｱ委員　赤�ｱです。至りませんが、よろしくお願いします。第2専門部会というのは、例えば地域別構想など物理的な条件を議論することが主になるでしょうが、能力の範囲でがんばりたいと存じます。

國井会長　どうもありがとうございました。

刈谷課長　審議会参与につきまして、ご報告申し上げます。
　本件につきましては、前回の会議におきまして、会長から市長に、任命の依頼がありましたので、市長から、7月１日付で参与の発令をいたしております。
　お手元に配布いたしております、資料2の茨木市総合計画審議会参与名簿をご覧いただきたいと思います。
　茨木市総合計画審議会運営規則第3条によりまして、この名簿のとおり、参与を設置いたしました。
　今後、参与は、会長又は部会長の命を受けまして、会議運営の補助にあたることとなりますので、よろしくお願いいたします。

國井会長　ただ今、事務局から審議会参与についての報告がございました。
　本日は、この後、基本構想案について、各委員のご審議を賜ることとなっておりますので、関係いたします参与の出席をいただいております。
　また、今後の審議の中で、それぞれの関係分野に応じて出席をお願いすることを考えておりますので、その時には、参与の皆様にはよろしくお願いしたいと存じます。

赤�ｱ委員　それでは、第4次の案の特徴について第3次総合計画との変更点を踏まえて、説明いたします。指導というよりは事務局といっしょに案をつくった、ということですので、その点ご理解をいただきながら聞いていただければと思います。
　1つ目に説明いたしたいのは、基本的視点という部分で、9ページから10ページにかけての5つでございます。およそ市の行政というのは、地域一般の歴史と実情、そして住民の意向に根ざしたものとして展開されるべきことは言うまでもありません。また、一方では、時々の社会・経済情勢などの変化を捉え、一歩・二歩先を歩んで本市の将来を展望し、描く必要があります。そういうことからして、基本構想案�Tの第3章には、本市の歴史や地域特性をどのように捉えるかが示されています。続いて、�Uの部分の基本構想の具体的中身に入りますが、第１章においては、本市を取り巻く社会の潮流をどのように読み取り、どのように受けとめるかが示してあります。
　例えば、第3次総合計画の中には、あまり強く時代の要請として考えてなかった、あるいは認識できてなかったことがらが3つあります。１つ目は「少子高齢化と人口減少社会」です。10年前には、ここまでの具体的な問題意識をもっていなかったものが目の前に来た、ということです。それからもう一つは、「地方分権の進展による市の自主性・自律性」です。「自律」というのは「自分で立つ」「自分で物事を行う」という意味ではなくて、「自分で律する」という意味ですが、役所・行政だけでなくて、地域社会そのものの自律も必要だということです。地方分権というのは、仕組みができていないと地方分権ができないということもあるけれども、なくてもやらなければならない、ということです。それから3つ目が、地球環境をも視野に入れた環境意識の高まりと環境都市づくり、ということです。当然、公害問題などの環境問題はもとより意識をしてまちづくりをやってきていますが、いまや地球環境も、茨木市の都市生活・都市活動・まちづくり・都市づくりにおいて意識すべきテーマになってきています。このあたりが、第3次総合計画と違ってきている点だろうと思います。
　以上を踏まえて基本的な視点を組み立てました。これは9、10ページの章のタイトル「基本構想づくりにおける基本的な視点」という部分なのですが、同時にそれは、この「基本構想」及び「基本計画」が適切なものであるかを審議会で審議いただく際の「チェックポイント」でもあります。他の自治体では、あまりこんなことは書かない場合が多いのですが、茨木市の総合計画の基本構想・基本計画では、従来からそれを引き継いできています。いわば「ものさし」でありますが、本審議会において審議いただく際、委員大方の同意が得られるならば、常に、「ものさし」を意識いただければと思います。一番目の「ものさし」は、まず何よりも、9ページに大きなゴシックで書いてありますが、「市民福祉の増進を根底に」しているかです。2番目は、わが国全体のことでもありますが、「都市化社会から都市型社会への移行」を適切に読み取っているか、この中身は、また別の機会に議論すると思いますが、要はどんどん市街地が広がって人口が増える、というのではなく、成熟した都市、「都市型社会」、逆は農村型社会ですが、そうした移行を読み取っているか、ということです。3番目は、次世代へ繋ぐことができるよう、地球環境も視野に入れて「持続可能な都市を目指して」いるか、です。これは物理的な環境・地球環境もそうですが、「地域社会が持続可能か」ということです。都市に人がいなくなったら都市でなくなる、ということです。環境・地域社会の持続可能性についてきちんと描かれているか、ということです。
　それから、ますますもって求められる「協働と連携のまちづくり」です。これも役所だけがまちづくりをするわけではないので、市民も相当程度の自律性を持って、協働でやっていかなければなりません。それから、その次のページにいきますと、都市像のところなのですが、都市像とは、もっとも大事なもので、それは歴史とか地域の実情、社会潮流にとって、そして今あげた視点をもって、将来の我がまち茨木の像を描くわけです。この作業は私たちが何か勉強して資料を積み上げたらできる、というものではないのです。違うグループが描くと違う絵を描いたかもしれませんが、事務局、策定委員会では、市長さんの基調である「希望と活力に満ちた文化のまち　いばらき」を受けたうえで、具体的な像としての都市の姿を６つあげ、施策の大綱と結びつけています。3次総合計画を引き継いだものもありますが、言葉づかいや概念を練り直しました。これも機会があれば説明しますが、「環境実践都市」などは内容的に相当拡充させています。「環境」に関しては、10年前は、公害、衛生、健康というレベルでとどまっていたのですが、今日では、「環境」といえば地球環境も視野にいれて、ということになっており、それを「環境を実践する」という表現で表したということです。
　次に、13ページの図面ですが、これは資料5と併せて見ていただきたいのですが、一つ一つの都市像がどのような関係になっているか、ということを描いています。フレームとして「人口」と「都市を支える土地利用と骨格」とありますが、人口フレームというのは、総合計画をつくるのにとても大事なもので、目標年次にどれくらいの人口になるのか予測しておかないといけません。これはなかなか難しいですけども、もう成長はしないということ、人口のピラミッドについて少子高齢化が進む、ということは、全てにわたってある程度の下地、ベースとなるものです。
　もう一つ、「都市を支える土地利用と骨格」というものもベースに入っているのですが、茨木市の場合、第3次総合計画では、人口だけフレームを作っておいて、都市像を実現するための手法として土地利用や都市構造を描いているのですが、第4次総合計画では、それをフレームとして描いています。これらのフレームのもとに6つの都市像を設定し、具体的にどうやってその都市像を実現するのかという施策の大綱に流れていくという構造となっています。
　なお、都市構造で大きく変えたところがありますので説明をしておきます。
　具体的には17ページから図面がいくつかでてきますが、19ページ、20ページの図表4-5など、全て、8の字のようなものを薄墨で書いています。第3次総合計画で描いた都市の骨格構造を継承しているのですが、さらに発展させて、17ページの構想図にしています。具体的には、幹線道路、鉄道、元茨木川緑地によって市民の活動のための市民交通の骨格を組み立てているのですが、従前は、今でいう彩都と既成市街地とをS字で結ぼうということが基本で、それに基づいて都市施設整備も行われていますが、Sというのは完結しません。北と南を結ぶだけです。17ページを見ればわかるように、元茨木緑地もつないで、もういっぺん北に上がれるような、具体的には河川、道路をつなぎながら、8の字にしよう、ということを構想したわけです。ここが第3次総合計画と大きく違います。何のために8の字をやるかというと、市民交通体系を整備するためです。市民交通体系というのは、産業のための道路を使ってもいいのですが、市民の動きを支える市民交通体系であるということが基本です。そして、聞くところによると、フィギュアスケートの規定課題で8の字に正確に描くことをサークルエイトと呼ぶことから、その名前を取って、「サークルエイト」とかっこよく呼んでいますが、具体的にはS字を8の字にしたということです。これもご理解の上、ご審議いただければと思います。
　以上、具体的審議が始まるに際して、策定委員である立場から発言させていただきましたが、まず皆様には、「本市の歴史や地域性をどのように捉えるか」、また「社会潮流をどのように」読み取って、時代の要請としてどのように受けとめるか、ということをポイント、ものさし、としていただければ、と思います。
　なお、その他、「みどりと歴史文化の回廊」構想や「環境保全」「循環型社会の形成」「都市の活力」「産業振興」「生活文化」など、第3次総合計画と変わっているところもあり、また経済情勢の変化もありますので、それぞれご担当いただいた下村委員、長尾委員にバトンタッチいたしたく思いますので、お許しをいただければ、ご発言いただきたいと思います。

國井会長　今、赤�ｱ委員からご説明いただいたのですが、下村委員、長尾委員から補足されることがあれば、よろしくお願いします。

下村委員　赤�ｱ先生のご説明の中でありました、環境、みどり、自然環境について少し補足説明させていただきます。まず、9ページ第2章「基本構想づくりにおける基本的な視点」の3番目「持続可能な都市をめざして」につきましては、お話がありましたように、日本の環境問題を考えますと、戦後以降、日本全国で人口集中などの都市問題が顕在化し、その中で工業化による公害問題が1970年代にあり、1980年代になりますと、そうした環境問題が下火になり、「アメニティ」が求められるようになりました。そして、1990年代から地球規模での環境問題が注目される中で、“Think globally, Act locally” “Sustainable”「持続可能性」といったキーワードとともに、地域コミュニティなどこれからの社会を担っていく一つの集合体というものが、いかに地球環境問題に関連していけるかということが、議論されてきています。　そうした背景を受けまして、「環境実践都市」を構想したわけですが、具体的な内容として２つ考えられるのではないかと思います。1つは、地球規模での環境問題として、環境負荷低減、省エネ活動などのいわゆるエネルギー問題、リサイクルの問題などの循環型社会を目指していく大きなテーマがあると考えられます。それと、第3次総合計画では少し弱かったと感じている、市民生活を取り巻く物理的環境問題です。簡単にいえば、自然環境をいかに都市部で維持できるか、未来永劫残していけるか、もしくは創っていけるか、ということを一つの環境問題として考えてきましたのが、構想案18ページの「�Bみどりと歴史文化の回廊」です。19ページに説明がありますが、ここでは、「みどり」が樹木だけを指すのではなく、「みどり」を中心とした、例えば河川空間、農地、森林都市公園など様々なオープンスペースをいかに確保していけるか、ということにウエイトを置いています。
　地域にとっての貴重な自然資源と、茨木市が守りつづけてきた歴史的遺産を重要視しながら、人が動くだけでなく、生き物、鳥や昆虫が動く道であったり、風の道であったりと、非常にエコロジカルな側面を含んだ生態回廊的な意味合いも含めて「みどりと歴史文化の回廊」を考えています。そのネットワークの基軸となるのが、河川空間や道路空間など線的に繋いでいけるものです。個々の緑や歴史文化の資産などをそれぞれ大事にしながら、それをつないでネットワークにするものを考えていく、というものが回廊です。こうしたあたりについて、ご意見をいただきご議論いただきたいと思います。

國井会長　ありがとうございます。それでは引き続いて説明していただきます。

長尾委員　策定委員の長尾です。よろしくお願いいたします。総合計画ということでいろいろなものが入っていますが、特に産業・生活環境について、今回の総合計画で強調したいことは、一つは人口でして、目標年次における目標人口は27万5千人となっています。
　パブリックコメントには、少し少ないのではないか、という意見もありましたが、各市の総合計画、とりわけ大阪府下を見ますと、過去、多くの市が人口の過大見積もりという結果に終わっています。日本全体の兆候からすると、少し減るか、横ばいという感じで、本市の場合は、彩都の開発、それから中心市街地に人が戻ってくる傾向が見られますので、やや増加というのが、過大見積りではない人口目標として適しているのではないでしょうか。それから昼夜間人口比率90%台を維持する、となっていますが、普通の人が茨木市と聞いて持つイメージは「郊外のまち」ですが、実際には働く場がかなり多いということです。昼間に相当の人がこのまちにいて、別に大阪市、京都市に人が出ていくばかりではない、ということです。この市で働く人、学ぶために来る人も相当多いです。そういう特徴をもっと認識して、強くその優位性を活かすような視点を持つべきではないでしょうか。それが活力あふれる生活躍動都市のところで、これまでの計画に比べて少し強調して書いたところです。
　ただ、難しいのは、産業・工業・研究開発機能は展望を持ちやすいですが、商業活動は厳しい、ということです。商業の場合は産業的な視点からだけでは難しくて、結局まちの顔としての中心市街地をどう建て直すか、ということになると思います。
　それから、農林業についても大都市圏に立地し、消費地に近いという特徴がありますが、5年前だと、価格競争の中でどんどん安いものに全て奪われるのではないか、という危機感がありました。しかし実際にはいいもの、安心できるものは少々高くても売れる、という状況になってきており、振興の可能性があると思います。
　それから産業ですが、今日配られた地方財政のデータをみても、大阪府下の中で、茨木市はかなり良いほうだというのは、昼間の産業活動抜きにしては語れないわけでして、これからそういう産業が、粘着性を持ちながら、このまちで活発な活動をしていくためには、住む環境、生活環境が良くないと厳しいです。そこに目配りが必要であります。それから、生活文化という面からみますと、人というものをもう少し重視する必要があります。先ほどから市内の交通体系、環境という話の中でも、人と人との触れ合い、人と自然の触れ合いについてのご指摘がありましたが、人と人とが出会うことで、1足す1が2以上になることが極めて大事だろうということです。情報化社会とは言いますが、コンピュータだけの接触ですと、人間同士は互いに信頼できないし、いい文化を育んでいくことはかなり難しいということがいえますので、そうした出会い、お互いの学びあいが重要です。日本では、学習というと上からの押し付けというイメージが強いですが、本来学習というものは、お互い学ぶという意味で英語の“Learning”にあるはずですので、そのあたりをもう少し強調したい、という展望をもって作成したのが今回の基本構想です。

國井会長　ありがとうございました。前回は松本部長から、案につきましてご説明をいただきました。頭に入りやすいものでしたが、今日は策定委員の3先生からご説明いただき、ねらいどころをお聞かせいただいて、よくわかりました。大変新しい視点も加わっているようですが歴史的な、地理的な状況を踏まえて、ということでしょう。私流に理解したところをまとめさせていただきますと、3階建てになっているのかな、と感じました。
　出発点として、3次総合計画策定後の社会潮流の変化、時代の要請からおさえていただき、基本構想の基本的な視点を組み立てていただいた、と理解しました。その点で、歴史的な状況も踏まえている、ということでしょう。フィードバックということもあるでしょうが、まず、足元をおさえていただいたような気がします。６つの都市像としてチェックポイント的に使っていただきたいと赤�ｱ先生から紹介がありましたが、チェックポイントとして機能しうるような基本的な視点を、明確にきっちりと出されたのではないか、というのが2段目でした。
　3段目では、S字型ルートからサークルエイトにしたわけです。S字型では完結しない、ということですが、都市骨格構想について、交通体系の点からより強力に市全体を行き来する、ということで、Sで切れているところをつないで、8字型ルートにすることで、市民の交通体系を完結的に示した、ということです。長尾先生の話では、そこから人の交流を通して、文化の発展ということにもなる、とありました。新しいものを積極的に組み入れていただいたわけですが、これらは突飛な、奇をてらうような試みではなく、しっかりと足元を固めて、しかもチェックポイントも設定しています。下村先生には環境と緑の点を特に取り上げていただきまして、実質的なものを、こうした観点から生まれたということを素人にもわかるように説明いただけたと思います。長尾先生からは産業、人口も素材として説明していただきました。繰り返しは必要ないと思いますが、お聞きしていると、その構想は若々しくて、斬新で、茨木市のものとしてよい、と思います。その反面、議論に対するファイトも沸いてくると思います。誤解もあるかもしれませんが、こういうことでよろしいでしょうか。
　こうした形で共通理解ができる、として、長尾先生の話にあり、パブリックコメントの中にもありましたが、目標人口については、赤�ｱ委員からも説明のとおり、最近の人口予測では、全国的にみて、少子高齢化が進み、人口減少に向かいつつあると言われております。
　今回の目標人口は、27万5千人と設定されておりますが、パブリックコメントでも人口に対する質問があり、やはり、計画のベースでもありますので、もう少し数字的な根拠を事務局で説明を付け加えていただけるとありがたいです。

刈谷課長　資料としては、前回配布しました人口フレーム報告書をご覧いただけると結構かと思いますが、私のほうから簡単に、その内容について説明いたします。
　まず、本市の具体的説明に入ります前に、国と大阪府の人口推計の状況ですが、長尾先生からも話がありましたように、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、日本の人口は、平成18年が最大で、1億2,774万人、これが以後、平成19年から減少傾向に入ります。平成62年、44年後ですが、1億60万人、2,700万人くらい減って、44年間で21.2%減と予測されています。一方、大阪府の人口ですが、大阪21世紀の総合計画から採用させていただきましたが、大阪府は開発人口を含めて、国より少し遅れて平成22年に最大で879万人となります。それが、茨木市の目標年度の平成27年には、8万人減少して871万人というのが、府の総合計画の推計値です。
　茨木市の今回の人口推計ですが、方法論として、人口推計の代表的なコーホート要因法というものを採用させていただいています。これは、一定年齢集団の数に生存率と純移動率を足した内容を掛けて、その年齢集団の将来の数を推計する方法で、代表的な推計方法とされております。今回推計の基準とした人口は、茨木市の平成12年の住民基本台帳人口をベースとしました。この計算をしたのは平成14年度ですので、平成14年3月の実績をみて一定の補正をかけました。また、住民基本台帳ですので、そこに登録外国人人口を補正しました。出生率につきましては、茨木市の出生率は、当時は1.39でした。今、国は1.3を切っていますが、母集団が少ないので茨木市の出生率は、当時の1.39しかありませんでしたので、そのまま1.39を採用しました。それに国立社会保障・人口問題研究所の合計特殊出生率の推計の伸び率を乗じて算出しております。最後に、以上で求めました推計値に、開発推計人口を上乗せしています。ただし、今回は彩都の開発人口のみを加算しております。その他、パブリックコメントでもあったように、最近はマンションの増加が目に付くためもう少し増えるのでは、という意見もありますが、先ほどの出生率ではマイナスになりますし、マンションの増加も一定増えましても、コーホート要因法の算式の推計誤差の範囲に収まると考えました。結果としまして、彩都を除く既存市街地のみでは平成17年、18年にピークとなるだろう、ということで、国と同じような状況に茨木市もなるのでは、という結果に算式上ではなりました。目標年次の平成27年では既存市街地は24万9千幾ばくか、彩都は2万3千幾ばくか、となり、これは中位推計です。実際の算出結果として、27万3,201人と算式ではなりました。ここにおいて、市内からの彩都への転居率は15％と見ております。
　種々の施策の遂行を考えますと、推計人口を下回る数値を目標とするのは問題であり、少し上回る27万5,000人を今回目標値として設定しました。
　参考までに高齢者人口比率、これは65歳以上人口ですが、平成12年では12％でしたが、目標年次の平成27年では21％と予想しています。年少人口、これは14歳以下人口ですが、平成12年には15.1％でしたが、平成27年では14.3％です。それから、これは茨木市の特徴ですが、昼夜間人口比率はここ数年ずっと高くなってきています。平成12年は93.5％です。これは今も漸増傾向にあると思います。
　なお、ご参考までに、府内の北摂の都市の人口の流動状況ですが、前回の平成12年の国勢調査、その前々回の平成7年の国勢調査で、茨木市は増加していますが、北摂で増加傾向になっているのは茨木と吹田だけです。豊中、池田、高槻、箕面、摂津は全て平成7年から12年の5年間で国勢調査では減少傾向になっています。人口の説明は以上です。

國井会長　ありがとうございました。土俵設定は以上でよいと思います。それでは、これから具体的な審議に入りたいと存じます。

北野委員　大阪府の企画室の北野です。事前に事務局に申し上げていたのですが、大阪府の人口推計で修正を加える作業を、現在しておりまして、その点を説明させていただきたいと思います。来週の7月20日に府の総合計画審議会で報告させていただく案件ですので、資料なしの口頭だけで申し上げるのは心苦しいですが、要点だけ挙げさせていただきます。
　人口フレーム報告書の38ページをご覧いただければと思います。現時点で申しますと、府域の人口は、3、4万人は多い実績になります。この大きな原因は社会移動、つまり人口流出が最近おさまっていることです。一番大きいのは、平成12年から大阪市内の人口がプラスに転じてきたことです。現状は881〜882万人くらいとなり、予測している分より少し多いですが、少子高齢化の現象はおっしゃるとおりで、最近の社会の流出傾向がゼロに近づいているのを見込みましても、再集計すると、先ほどご説明があったように、平成22年にピークというのが5年ほど早まって、国が平成18年という話ですが、場合によれば、1年ほど早く平成17年に882万人程度でピークを迎えるのでは、という推計となる予定です。
　一番大きな点として残っている議論は、「合計特殊出生率」をどうみるか、ということです。これは国全体の議論にもありますように、一番確たる数字として使いますのは、人口問題研究所の中位推計で、「ゆるやかに回復する」、という前提になっています。国が1.29、府が今1.20としましたけれども、国で示されている推計は、議論はありますが、今後ゆるやかに回復して、全体でも1.38、府域では1.32くらいが推計前提となっています。今申し上げたのは中位推計の前提となっています。仮に、東京都のように1.1や1.0などと低位で推移する乱暴な計算をすると、１％くらいのぶれがある、という話もあります。800万人の１％くらいの上下変動は、出生率の推移によってはありえます。茨木市では、少子化対策を講じるという前提で、中位推計で設定していくという説明をいただきました。

國井会長　茨木市の場合は、公表された資料に基づいていますが、最新の情報を提供してもらいました。ありがとうございました。大阪府にもいろいろとがんばってもらいたい、という気持ちですが、話を茨木市に戻したいと思います。どの方面からでも結構です。ご意見がありますでしょうか。

齊藤委員　前回、今回と伺い、大変着実に作られた計画だと思います。審議前なので、感想だけですが、財政状況の資料もいただきました。これまでしっかりとやってこられた自治体だと思っております。
　2点ほど、感想と考えてきたことを申し上げたいと思います。
　1点目は感想ですが、赤�ｱ先生の説明にありましたように、大変わかりやすい形で茨木市の将来のあるべき姿を示していただきました。今日の説明では11ページの第3章あたりでしょう。特に13ページあたりでしょうか。これまで、総合計画は比較的「絵に描いたもち」が多かったですが、それに比べると、現実的だと感じますので、高く評価したいです。また、今日の議題ではないので恐縮ですが、前回いただいた基本計画のところで、目指すべき姿として具体的な像を描いてあるのは、おそらく日本の自治体としては最先端の考え方だろうと思います。これについても、これでよいのかどうか、という議論も当然今後なされるべきでしょうが、もしお持ちでしたら、基本計画の14ページの4行目以降に目指すべき姿として、「各種審議会等での女性委員の割合が35％を超えています」とありますが、かなり具体的に書かれていて、先ほどの「絵に描いたもち」にしない、という決意が大変綺麗に見えることを高く評価したいと思います。以上が感想です。
　2点目は、人口推計についてです。ご説明いただいた基本構想の14ページの27万5千人もかなり高めに出したのだろう、と思っていますが、やはり日本全体の人口が減少する中で、ある種、茨木市の自負のあらわれなのかな、と思います。今後、都市間競争がおこり、日本中の都市が均一の推移はしない、ということでしょう。こういう数値をあげるのは結構だろうと思います。ただ、注意することがあります。1点目は27.5万人という数字だけを挙げていると、数字が一人歩きする恐れがあります。これについては第2専門部会で議論するでしょうが、本当は幅を持った数値にするほうが現実的なのでは、と思います。なぜこんなことを申し上げるか、といいますと、これまでいろんなところの行政改革に関与してきました。行革の最大の敵は人口なのです。実は人口がここまで増えるので、ここまでしないといけない、という答えが多くて、人口が固定されているのは個人的にはあまりよくないのでは、と思っています。とはいえ、市としての目標が必要、ということですので、挙げることは悪くないですが、これが絶対というものだといけない、と思っています。
　2点目は、先ほど、コーホート法でやられたと、伺いました。これは人口推計の標準的なやり方と認識しています。おそらく問題は、コーホート法でも合計特殊出生率をどうみるか、ということでしょうが、ポイントは、ある種の計画上、これくらい社会増が見込めるだろう、という設定をどの程度見るか、ということです。本市の場合は彩都をどれくらいに見るか、ということです。これはかなり高めに見られていると私も思いますが、これはあくまで単純予測したものと違うファクターがある、ということを明確に区別する必要がある、と思っています。そういう意味である種の計画値であり期待値である、と明確にわかるような取り扱いがよいのでは、と思います。
　長くなりましたが、私は全体としては、良い計画であり、高く評価しています。

國井会長　ありがとうございました。ご専門の方から誉めていただきました。印象としては私の素人判断もそれほど間違ってないのでは、と思います。いい構想、計画ができるように更に磨きをかけたいところです。他にご意見、ご感想等あれば、忌憚なく積極的にご討議いただきたいと思います。

小山委員　それでは、第4次総合計画について4点発言したいと存じます。まず、1点目ですが、この総合計画には目標数値が書かれておりません。いわゆる計画におきましては、目標数値を書くのが現代の考え方です。これにつきまして皆様方のご審議なりお考えを頂戴したいと考えます。今後10年間につきましては、数値目標が一番肝心かと思います。その点、皆さんのご審議を賜りたいと思います。せめて期限でも記載できないか、と思っております。
　それから、2点目ですが、33ページの「構想の実現に向けて」で行政評価の進行管理についてですが、これはタックスペイヤーである市民の評価が基本になると思いますが、皆さんのご意見を頂戴しながら、構想計画の実現に向けて検討しご審議をしてほしいと思います。つまり行政評価にもとづく計画、このことでご審議いただきたいと思います。
　続いて、3点目です。基調の「希望と活力に満ちた文化のまち　茨木」のもとの総合計画は10年の長期計画ですが、この実現のためには、かなりの財政負担が伴うわけです。また、その実現ためには容易ならざる点が多々あります。そのためには、大変言いにくいことですが、今後は特に市役所関係の人件費の総量抑制策についても、ご議論いただきながら、行財政改革を取り組んでいくようにお願いしたいです。
　最後に、4番目ですが、第1回目の委員会で、いわゆる実施計画ですが、これを新しい視点で、評価システムを用いた計画にする、という説明がありましたが、当然この審議会におきましてもそれを審議すると思いますが、皆さんのご意向を賜りたいと、と思います。また、その実施計画はいつ頃できるものか、それらもあわせましてお伺いし、ご審議をしたいと思います。その他ありますけれども、まず4点につきまして、ご審議なりご意見を頂戴したい、と思います。よろしくお願いします。