○茨木市中高層建築物の建築に係る紛争の防止及び調整に関する条例

令和6年7月3日

茨木市条例第23号

(目的)

第1条 この条例は、中高層建築物の建築に関し、建築主等の責務、建築計画の事前周知等及び中高層建築物の建築に係る紛争を解決するための調整手続について必要な事項を定めることにより、紛争の防止及び調整を図り、もって良好な近隣関係を形成し、及び居住環境を保全することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中高層建築物 次に掲げる建築物をいう。

 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に掲げる第1種低層住居専用地域及び第2種低層住居専用地域内における建築物で、軒の高さが7メートルを超えるもの又は地階を除く階数が3以上のもの

 都市計画法第8条第1項第1号に掲げる第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、近隣商業地域(容積率400パーセント未満の地域に限る。)、準工業地域及び工業地域並びに同法第7条第1項に規定する市街化調整区域内における建築物で、高さが10メートルを超えるもの

 都市計画法第8条第1項第1号に掲げる商業地域及び近隣商業地域(容積率400パーセント以上の地域に限る。)内における建築物(建築物の一部が又はの地域に存するものを除く。)で、高さが20メートルを超えるもの

(2) 建築 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第13号に規定する行為をいう。

(3) 建築主 中高層建築物の工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事を行う者をいう。

(4) 近隣住民 次に掲げる者をいう。

 中高層建築物の敷地の隣接地の所有者及び当該隣接地に存する建築物の全部又は一部の所有者及び占有者

 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面(建築物の軒、ひさし、バルコニーその他これらに類するもので突き出たものがある場合においては、その先端をいう。及び次号アにおいて「外壁」という。)からの水平距離が当該中高層建築物の高さと同じ距離の範囲内における土地の所有者及び建築物の全部又は一部の所有者及び占有者

 中高層建築物の外壁からの水平距離が当該中高層建築物の高さの2倍に相当する距離の範囲内にあり、かつ、当該中高層建築物が冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間に、当該中高層建築物の平均地盤面(当該中高層建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいう。)に日影を生じさせる範囲内にある土地の所有者及び建築物の全部又は一部の所有者及び占有者

 からまでの土地の区域における自治会(市内の一定の区域において、住民相互の親睦と良好な地域社会の維持及び形成のために共同活動を行う団体(本市に登録しているものに限る。)をいう。次号ウにおいて同じ。)の会長

(5) 周辺住民 次に掲げる者で、近隣住民に該当しないものをいう。

 中高層建築物の外壁からの水平距離が当該中高層建築物の高さの2倍に相当する距離の範囲内にある土地の所有者及び建築物の全部又は一部の所有者及び占有者

 中高層建築物により、放送電波の著しい受信障害が生じると予測され、又は現に生じている場所にある土地の所有者及び建築物の全部又は一部の所有者及び占有者

 及びの土地の区域における自治会の会長

(6) 近隣住民等 近隣住民及び周辺住民をいう。

(7) 紛争 中高層建築物の建築に伴って生じる当該建築物の形態意匠及び放送電波の著しい受信障害により周辺の居住環境に及ぼす影響に関する近隣住民等と建築主(以下「当事者」という。)との間の紛争をいう。

(適用除外)

第3条 この条例は、次に掲げる建築物については適用しない。

(1) 建築基準法第18条第1項に規定する建築物

(2) 建築基準法第85条に規定する仮設建築物

2 中高層建築物を増築し、又は改築する場合であって、増築又は改築に係る部分の建築物の高さが前条第1項第1号アからまでに該当しないときは、この条例の規定(第5条から第7条までの規定を除く。)は適用しない。

(市の役割)

第4条 市は、中高層建築物の建築に伴って生じる紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に当該紛争を調整するよう努めるものとする。

(建築主等の役割)

第5条 建築主及び設計者(第7条において「建築主等」という。)は、中高層建築物の計画について、当該中高層建築物の規模及び地域の特性に応じて、周辺環境に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。

(自主的解決)

第6条 当事者は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって自主的に解決するよう努めなければならない。

(計画上の配慮等)

第7条 建築主等は、中高層建築物の計画において、次に掲げる事項について必要な措置を講じるよう努めなければならない。

(1) 日影による影響の軽減

(2) 放送電波の受信障害の防止

(3) 敷地内の空間の確保

(4) 近隣住民の住居の居室の観望の防止

(計画の届出)

第8条 建築主は、中高層建築物の建築を行おうとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、当該中高層建築物の計画を市長に届け出なければならない。

(中高層建築物のお知らせ標識の設置)

第9条 建築主は、前条の規定による届出を行ったときは、当該中高層建築物に係る茨木市開発行為等の手続等に関する条例(令和6年茨木市条例第22号)第21条第3項の規定による通知がされる日までの間、規則で定めるところにより、当該中高層建築物の建築予定地内の見やすい場所に、計画の概要を記載した標識(以下「中高層建築物のお知らせ標識」という。)を設置しなければならない。ただし、規則で定める場合には、規則で定める手続を完了した後でなければ中高層建築物のお知らせ標識を設置することができない。

2 建築主は、中高層建築物のお知らせ標識を設置したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。

(近隣住民等への説明)

第10条 建築主は、第8条の規定により届け出た中高層建築物の計画その他当該計画に関係する事項について、規則で定めるところにより、近隣住民に対して説明しなければならない。

2 前項の規定による説明は、中高層建築物のお知らせ標識を設置した日の翌日から起算して7日を経過した日以後に行うものとする。ただし、7日を経過する日前に近隣住民から説明を求められたときは、この限りでない。

3 建築主は、中高層建築物のお知らせ標識を設置した日の翌日から起算して14日以内に周辺住民から第8条の規定により届け出た中高層建築物の計画その他当該計画に関係する事項について説明を求められたときは、規則で定めるところにより、当該説明を求めた者に対して説明しなければならない。

4 建築主は、第1項及び前項の規定による説明を説明会の開催その他適切な方法により誠実に行うものとし、第1項の規定による説明を行うときは、当該説明の方法について、事前に近隣住民に文書等により周知しなければならない。

5 第1項及び第3項に定めるもののほか、建築主は、中高層建築物の工事の施工に関し、茨木市生活環境の保全に関する条例(平成20年茨木市条例第35号)第19条に定めるところにより、説明を行うよう努めなければならない。

(説明の実施報告)

第11条 建築主は、前条第1項及び第3項の規定により行った近隣住民等への説明の経過及び結果について、規則で定めるところにより、市長に報告しなければならない。

2 建築主は、前項の規定による報告を行ったときは、その旨を中高層建築物のお知らせ標識に記載するとともに、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。

3 市長は、第1項の規定による報告があったときは、建築主の説明内容を確認し、適切であると認めたときは、その旨並びに当該報告に係る報告書(以下この条及び次条において「説明実施報告書」という。)の閲覧を開始する日及び場所を建築主に通知の上、説明実施報告書を閲覧の用に供するものとする。

4 建築主は、前項の規定による通知を受けたときは、規則で定める事項を中高層建築物のお知らせ標識に記載するとともに、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。

(説明実施報告書に対する意見等)

第12条 近隣住民等は、前条第4項の規定による中高層建築物のお知らせ標識への記載の日の翌日から起算して14日(茨木市の休日を定める条例(平成2年茨木市条例第15号)第2条第1項第2号及び第3号に掲げる日(同項第2号に掲げる日にあっては、2日以上連続する日である場合に限る。)の日数を除く。)以内に、規則で定めるところにより、説明実施報告書の記載事項についての意見を記載した書面(以下この条において「意見書」という。)を市長に提出することができる。

2 市長は、意見書の提出を受けたときは、規則で定めるところにより、当該意見書の写しを建築主に送付するものとする。

3 建築主は、意見書の写しの送付を受けたときは、規則で定めるところにより、速やかに当該意見書に記載された意見に対する見解を記載した書面(以下この条及び第27条第5号において「見解書」という。)を市長に提出し、当該見解書を提出した旨及びその日を中高層建築物のお知らせ標識に記載するとともに、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。

4 市長は、見解書の提出を受けたときは、規則で定めるところにより、当該見解書の写しを意見書の提出者に送付するものとする。

5 市長は、意見書及び見解書の提出があったときは、当該意見書及び見解書を閲覧の用に供するものとする。

(計画の変更)

第13条 建築主は、中高層建築物の計画を変更しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、当該中高層建築物に係る変更後の計画を市長に届け出なければならない。

2 第9条から前条までの規定は、前項の規定による計画の変更をする場合について準用する。この場合において、第9条第1項中「前条」とあり、及び第10条中「第8条」とあるのは「第13条第1項」と読み替えるものとする。

3 前項の規定において読み替えて準用する第9条から前条までの規定による手続は、規則で定める軽微な変更をする場合であって、市長がその必要がないと認めたときは、省略することができる。

(計画の取止め)

第14条 建築主は、第8条の規定による届出を行った後、当該中高層建築物の計画を取り止めようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめその旨を市長に届け出なければならない。

(紛争のあっせんの申出)

第15条 紛争が生じ、自主的な解決の努力を行っても紛争の解決が容易でないときは、当該紛争の当事者は、規則で定めるところにより、市長に紛争のあっせんを申し出ることができる。

2 前項の規定による申出は、当該紛争に係る中高層建築物の工事の着手前に行わなければならない。

(紛争のあっせん)

第16条 市長は、当事者の双方から前条第1項の規定による申出があったときは、茨木市中高層建築物紛争調整委員会(以下「調整委員会」という。)のあっせんに付する。

2 市長は、当事者の一方から前条第1項の規定による申出があったときは、他方の当事者にその旨を通知し、その者の同意を得た場合は、調整委員会のあっせんに付する。

3 市長は、前項の同意が得られない場合は、同意をしない他方の当事者にあっせんに応じるよう勧告することができる。

(あっせんの打切り)

第17条 調整委員会は、あっせんに係る紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。

(あっせん終了の報告)

第18条 調整委員会は、あっせんが終了したときは、規則で定めるところにより、その経過及び結果を市長に報告するものとする。

2 市長は、前項の規定による報告があったときは、規則で定めるところにより、当事者にあっせんが終了した旨を通知するものとする。

(紛争の調停の申出)

第19条 当事者は、第17条の規定によるあっせんの打切りにより紛争の解決に至らなかったときは、規則で定めるところにより、市長に当該紛争の調停を申し出ることができる。

2 前項の規定による申出は、当該紛争に係る中高層建築物の工事の着手前に行わなければならない。

(紛争の調停)

第20条 市長は、当事者の双方から前条第1項の規定による申出があったときは、調整委員会の調停に付する。

2 市長は、当事者の一方から前条第1項の規定による申出があったときは、他方の当事者にその旨を通知し、その者の同意を得た場合は、調整委員会の調停に付する。

3 市長は、前項の同意が得られない場合は、同意をしない他方の当事者に調停に応じるよう勧告することができる。

(調停案の受諾勧告等)

第21条 調整委員会は、必要に応じ、調停案を作成し、当事者に対し、期限を定めて当該調停案の受諾を勧告することができる。

2 当事者は、前項の規定による勧告を受けたときは、規則で定めるところにより、指定された期限までに受諾の可否について回答しなければならない。

3 当事者の双方が調停案を受諾したときは、当事者は、これを順守しなければならない。

(調停の打切り)

第22条 調整委員会は、調停に係る紛争について、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。

2 前条第2項の規定による勧告が行われた場合において、指定された期限までに当事者の双方又は一方から受諾する旨の回答がないときは、当該調停は、打ち切られたものとみなす。

3 前2項の規定により調停が打ち切られたときは、当事者は、当該紛争について再度の調停を申し立てることはできない。

(調停終了の報告)

第23条 調整委員会は、調停が終了したときは、規則で定めるところにより、その経過及び結果を市長に報告するものとする。

2 市長は、前項の規定による報告があったときは、規則で定めるところにより、当事者に調停が終了した旨を通知するものとする。

(代表当事者の選定)

第24条 調整委員会は、あっせん又は調停の手続のため必要があると認めるときは、当事者の中からあっせん又は調停の手続における当事者となる1人又は数人の代表者を選定するよう求めることができる。

(中高層建築物紛争調整委員会)

第25条 第16条第1項及び第2項のあっせん並びに第20条第1項及び第2項の調停に係る事務を担任するため、調整委員会を置く。

2 調整委員会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。

(調整委員会による意見聴取等)

第26条 調整委員会は、あっせん及び調停のため必要があると認めるときは、当事者その他の関係者に対し、意見を聴くため出席を求め、又は必要な資料の提出を求めることができる。

2 調整委員会は、前項の規定による出席又は必要な資料の提出の求めに応じない者に対し、相当の期限を定めて出席し、又は必要な資料を提出するよう勧告することができる。

(勧告)

第27条 市長は、建築主が、次の各号のいずれかに該当するときは、当該建築主に対し必要な措置をとることを勧告することができる。

(1) 第8条の規定による届出を行わないとき。

(2) 第9条第1項(第13条第2項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による中高層建築物のお知らせ標識の設置をしないとき。

(3) 第9条第2項(第13条第2項において準用する場合を含む。)の規定による報告を行わないとき。

(4) 第11条第1項及び第4項(第13条第2項において準用する場合を含む。)の規定による報告を行わないとき。

(5) 見解書を提出しないとき。

(6) 第13条第1項の規定による届出を行わないとき。

(公表)

第28条 市長は、前条各号の規定による勧告をした場合において、勧告を受けた建築主が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、規則で定めるところにより、当該建築主の氏名(建築主が法人の場合にあっては、法人名及び代表者の氏名)、建築予定地の所在地、勧告の内容及び勧告後の経過(以下この条において「氏名等」という。)を公表することができる。

2 市長は、前項の規定により氏名等を公表しようとするときは、あらかじめ、建築主に当該公表の内容及び理由を通知し、当該建築主に対して意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、緊急の必要のため、あらかじめ意見を述べる機会を与えることができないときは、この限りでない。

3 市長は、建築主が前項の規定により意見を述べたときは、第1項の規定による氏名等の公表に際し、当該意見の要旨も併せて公表しなければならない。

(委任)

第29条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和7年1月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現にこの条例に規定する中高層建築物の建築に係る手続に相当する手続に着手している中高層建築物の建築については、この条例の規定は、適用しない。

(茨木市非常勤職員の報酬等に関する条例の一部改正)

3 茨木市非常勤職員の報酬等に関する条例(平成21年茨木市条例第60号)の一部を次のように改正する。

別表第2中「

ぱちんこ遊技場建築等規制審議会委員

〃  9,000

」を「

ぱちんこ遊技場建築等規制審議会委員

〃  9,000

中高層建築物紛争調整委員会委員

〃  9,000

」に改める。

茨木市中高層建築物の建築に係る紛争の防止及び調整に関する条例

令和6年7月3日 条例第23号

(令和7年1月1日施行)

体系情報
第11類 設/第2章 土木・建築
沿革情報
令和6年7月3日 条例第23号