○茨木市景観条例
平成24年6月29日
茨木市条例第19号
(目的)
第1条 この条例は、景観の形成に係る基本的な事項及び景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関し必要な事項を定めることにより、本市における良好な景観の形成について、市、市民及び事業者の責務を明らかにし、それぞれの連携と協力のもと、景観の形成に係る施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって現在及び将来にわたり、本市の自然や歴史を活かした潤いと愛着の感じられる魅力ある景観の形成に資することを目的とする。
(1) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(2) 工作物 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第138条に規定する工作物(同条第1項第3号に掲げるものを除く。)をいう。
(3) 市民 市内に在住し、在勤し、又は在学する者及び市内の土地、建築物等を所有し、又は管理する者をいう。
(4) 事業者 市内において、事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(市の責務)
第3条 市は、良好な景観の形成に関する総合的かつ長期的な施策を実施しなければならない。
2 市は、法その他の景観の形成に関する法令による制度を積極的に活用し、良好な景観の形成に関する施策の実効性を高めるよう努めなければならない。
3 市は、良好な景観の形成に関する施策の実施に当たっては、市民及び事業者の理解と協力を得るよう努めなければならない。
4 市は、市民及び事業者の良好な景観の形成に関する意識を高めるとともに、知識の普及を図るものとする。
5 市は、道路、公園その他の公共施設の整備を行うときは、良好な景観の形成に先導的役割を果たすよう努めなければならない。
6 市は、必要があると認めるときは、国、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体が出資する法人(市が出資する法人を含む。)に対し、良好な景観の形成について協力を要請するものとする。
(市民の責務)
第4条 市民は、良好な景観の形成に関する理解を深めるとともに、自らが良好な景観を形成する主体であることを認識し、良好な景観の形成に積極的に寄与するよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、良好な景観の形成に関する理解を深めるとともに、その事業活動が景観の形成に影響を与えるものであることを認識し、専門的知識、経験等を活用して景観に配慮した事業活動を行うなど、良好な景観の形成に積極的に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。
(景観計画の策定)
第6条 市長は、市内の良好な景観の形成を推進するため、法第8条第1項に規定する景観計画(以下「景観計画」という。)を定めるものとする。
2 市長は、法第8条第2項第1号に規定する景観計画区域(以下「景観計画区域」という。)を別表第1のとおり区分するものとする。
3 市長は、景観計画区域内において、景観上の特色を活かした景観の形成に重点的に取り組む必要がある地区(以下「景観形成地区」という。)を指定することができる。
4 市長は、法第8条第2項第2号に掲げる良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項(以下「行為の制限に関する事項」という。)を、第2項の規定により区分する区域(以下この項において「区域」という。)及び景観形成地区ごとに定めるものとする。この場合において、景観形成地区における行為の制限に関する事項は、区域における行為の制限に関する事項にかかわらず、当該景観形成地区における行為の制限に関する事項によるものとする。
5 市長は、景観計画を変更しようとするときは、あらかじめ、茨木市景観審議会の意見を聴かなければならない。
6 前項の規定による手続は、法第9条第2項の規定により茨木市都市計画審議会の意見を聴く前に行うものとする。
2 計画提案団体の認定等について必要な事項は、規則で定める。
(計画提案に対する判断の手続)
第8条 市長は、法第12条の規定により、計画提案を踏まえて景観計画の策定又は変更をする必要があるかどうかを判断するに当たっては、あらかじめ、茨木市景観審議会の意見を聴かなければならない。
(事前協議)
第9条 法第16条第1項の規定による届出をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、市長に協議書を提出し、当該届出の内容について協議しなければならない。
(届出を要する行為の追加)
第10条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
(2) 屋外における土石、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。)、再生資源(資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号)第2条第4項に規定する再生資源をいう。)その他の物件の堆積
2 前項に規定する行為に係る法第16条第1項の条例で定める事項は、行為をしようとする者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称、代表者の氏名及び所在地)並びに行為の完了予定日とする。
3 第1項に規定する行為に係る法第16条第2項の条例で定める事項は、設計又は施行方法のうち、その変更により同条第1項の規定による届出に係る行為が同条第7項各号に掲げる行為に該当することとなるもの以外のものとする。
(行為の届出等)
第11条 法第16条第1項第1号から第3号までに掲げる行為及び前条第1項に規定する行為に係る法第16条第1項及び第2項の規定による届出並びに同条第5項の規定による通知は、規則で定めるところにより行うものとする。
2 景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)第1条第2項第4号の条例で定める図書は、第9条の規定により提出した協議書の写しその他の規則で定める図書とする。
(届出に係る氏名等の変更等の届出)
第12条 法第16条第1項の規定による届出をした者は、氏名若しくは住所(法人その他の団体にあっては、その名称又は所在地)又は当該届出に係る行為の着手予定日若しくは完了予定日に変更があったときは、規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。
2 法第16条第1項の規定による届出をした者は、当該届出に係る行為を取りやめたときは、規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。
(景観計画の順守)
第14条 法第16条第1項又は第2項の規定による届出を要する行為をしようとする者は、当該行為が景観計画に適合するようにしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、市長が特別な理由があると認めたときは、景観計画に定められた行為の制限に関する事項の適用の一部を除外することができる。
(助言及び指導)
第15条 市長は、法第16条第1項又は第2項の規定による届出があった場合において、良好な景観の形成のために必要があると認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な措置を講じるよう助言し、当該届出に係る行為が景観計画に定められた当該行為についての制限に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な措置を講じるよう指導することができる。
(勧告の手続)
第16条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告をしようとする場合において、必要があると認めるときは、茨木市景観審査委員会の意見を聴くものとする。
(公表)
第17条 市長は、法第16条第3項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく、当該勧告に従わないときは、その者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称、代表者の氏名及び所在地)並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に、あらかじめ、その旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、釈明及び証拠の提出の機会を与えなければならない。
3 市長は、第1項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、茨木市景観審査委員会の意見を聴かなければならない。
(特定届出対象行為)
第18条 法第17条第1項の条例で定める行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為のうち、同項の規定による届出を要するものとする。
(変更命令等の手続)
第19条 市長は、法第17条第1項又は第5項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、茨木市景観審査委員会の意見を聴かなければならない。
(行為の完了の届出)
第20条 法第16条第1項又は第2項の規定による届出をした者は、当該届出に係る行為(同項の規定による届出の場合にあっては、同項に規定する事項の変更に係る行為)を完了したときは、遅滞なく、規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない。
(届出を要しない行為の景観計画への適合)
第21条 景観計画区域内において、法第16条第1項第1号から第3号までに掲げる行為及び第10条第1項に規定する行為をしようとする者は、法第16条第1項又は第2項の規定による届出を要しない場合であっても、当該行為が景観計画に適合するよう努めなければならない。
(景観重要建造物及び景観重要樹木の指定の手続等)
第22条 市長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物を指定し、又は法第28条第1項の規定により景観重要樹木を指定しようとするときは、あらかじめ、茨木市景観審議会の意見を聴かなければならない。
2 市長は、景観重要建造物又は景観重要樹木を指定したときは、その旨を告示するものとする。
3 前2項の規定は、法第27条第1項若しくは第2項の規定による景観重要建造物の指定の解除又は法第35条第1項若しくは第2項の規定による景観重要樹木の指定の解除について準用する。
(景観重要建造物及び景観重要樹木の原状回復命令等の手続)
第23条 市長は、法第23条第1項(法第32条第1項において準用する場合を含む。)の規定による命令又は法第26条若しくは法第34条の規定による命令若しくは勧告をしようとするときは、あらかじめ、茨木市景観審査委員会の意見を聴かなければならない。
(景観重要建造物の管理の方法の基準)
第24条 法第25条第2項の規定により条例で定める景観重要建造物の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 修繕を行うときは、原則として当該修繕前の外観を変更しないこと。
(2) 消火器の設置その他の景観重要建造物の防災上必要な措置を講じること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のために必要な措置を講じること。
(景観重要樹木の管理の方法の基準)
第25条 法第33条第2項の規定により条例で定める景観重要樹木の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定その他の必要な管理を行うこと。
(2) 景観重要樹木の滅失、枯死等を防ぐため、病原虫の駆除その他の必要な措置を講じること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のために必要な措置を講じること。
(表彰)
第26条 市長は、本市における良好な景観の形成に寄与していると認められる建築物、工作物その他の物件について、その所有者、設計者、工事施工者等を表彰することができる。
2 市長は、本市における良好な景観の形成に寄与していると認められる市民、事業者等による活動、功績等について、その主体となった個人又は団体を表彰することができる。
3 市長は、前2項の規定による表彰をしようとするときは、あらかじめ、茨木市景観審議会の意見を聴かなければならない。
(良好な景観の形成に寄与する活動に対する支援)
第27条 市長は、市民、事業者等が行う良好な景観の形成に関する自主的な活動を促進するため必要があると認めるときは、技術的な助言その他の支援を行うものとする。
(景観協定の締結及び適正な運用に係る支援)
第28条 法第81条第1項の規定により景観協定を締結しようとする者は、市長に対し、必要な支援を求めることができる。
2 市長は、法第83条第1項の規定による認可を行ったときは、当該認可に係る景観協定の適正な運用について、必要な支援を行うよう努めるものとする。
(茨木市景観審議会)
第29条 市長の諮問に応じて、この条例又は他の条例によりその権限に属することとされた事項について調査審議するため、茨木市景観審議会(以下この条において「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、委員10人以内で組織する。
3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 関係団体を代表する者
(3) 市民
4 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
5 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。
(茨木市景観審査委員会)
第30条 市長の諮問に応じて、この条例に基づく勧告、公表及び命令について審議するため、茨木市景観審査委員会(以下この条において「審査委員会」という。)を置く。
2 審査委員会は、委員5人以内で組織する。
3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 前号に掲げる者のほか、市長が適当と認める者
4 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
5 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前各項に定めるもののほか、審査委員会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。
(景観アドバイザー)
第31条 市長は、市、市民、事業者等が行う良好な景観の形成に向けた取組について専門的な助言や指導を得るため、景観アドバイザーを置く。
2 景観アドバイザーは、次に掲げる職務を行う。
(1) 第9条の規定による協議に係る助言を行うこと。
(2) 第14条第2項の規定により、市長が景観計画に定められた行為の制限に関する事項の適用の一部を除外するに当たっての助言を行うこと。
(3) 市、市民、事業者等が行う良好な景観の形成に向けた取組に対する助言又は指導を行うこと。
3 景観アドバイザーの数は、3人以内とする。
4 景観アドバイザーは、良好な景観の形成に関し、専門的知識及び経験を有する者のうちから、市長が委嘱する。
5 景観アドバイザーの任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
6 前各項に定めるもののほか、景観アドバイザーについて必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第32条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成24年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に法第8条第1項の規定に基づき定められている景観計画は、第6条の規定により定められたものとみなす。
(茨木市非常勤職員の報酬等に関する条例の一部改正)
4 茨木市非常勤職員の報酬等に関する条例(平成21年茨木市条例第60号)の一部を次のように改正する。
別表第2審査会の委員等の項中「
都市計画審議会委員 | 〃 9,000 |
」を「
都市計画審議会委員 | 〃 9,000 |
景観審議会委員 | 〃 9,000 |
景観審査委員会委員 | 〃 9,000 |
」に改める。
別表第4非常勤嘱託員等(日額の者)の項中「
仕事なんでも相談員 | 〃 12,100 |
」を「
仕事なんでも相談員 | 〃 12,100 |
景観アドバイザー | 〃 9,000 |
」に改める。
附則(令和6年条例第15号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和7年1月1日から施行する。
別表第1
区分 | 区域 |
みどり・田園景観区域 | 都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条に規定する市街化調整区域 |
まちなみ景観区域 | 都市計画法第7条に規定する市街化区域 |
別表第2
1 みどり・田園景観区域
行為 | 規模 |
建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 | 建築物の階数が3未満であり、かつ、建築面積が300平方メートル未満のもの |
工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 | 工作物の地盤面からの高さが10メートル未満であり、かつ、築造面積が300平方メートル未満のもの |
都市計画法第4条第12項に規定する開発行為 | 開発区域の面積が500平方メートル未満のもの |
第10条第1項第1号に規定する土地の形質の変更 | 行為に係る土地の面積が1,000平方メートル未満のもの |
第10条第1項第2号に規定する物件の堆積 | 行為に係る土地の面積が1,000平方メートル未満のもの |
2 まちなみ景観区域
行為 | 規模 |
建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 | 次の要件のいずれにも該当するもの (1) 建築物の階数が4未満であること。 (2) 建築物の高さが10メートル未満であること。 (3) 建築面積が1,000平方メートル未満(増築にあっては、既存建築物との建築面積の合計が1,000平方メートル未満)であること。 |
工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 | 地盤面からの高さが10メートル未満であり、かつ、築造面積が1,000平方メートル未満のもの |
都市計画法第4条第12項に規定する開発行為 | 開発区域の面積が1,000平方メートル未満のもの |
第10条第1項第1号に規定する土地の形質の変更 | 行為に係る土地の面積が1,000平方メートル未満のもの |
第10条第1項第2号に規定する物件の堆積 | 行為に係る土地の面積が1,000平方メートル未満のもの |