令和元年度「消費者トラブルに巻き込まれるな~若者に効果的な啓発方法を考えよう~」

更新日:2022年01月18日

ページID: 45226

日時・場所

1 日時

令和元年7月4日(木曜日)午後3時~午後4時30分

2 場所

追手門学院大学安威キャンパス 1号館3階会議室1-A・B

出席者・テーマ

1 出席者

茨木市からの出席者

福岡市長、上田市民文化部長、戸田市民生活相談課長、渡邉消費生活センター所長

大学からの出席者

追手門学院大学防犯ボランティア研究会に所属する学生9名、金政祐司教授、増井啓太講師

2 テーマ

消費者トラブルに巻き込まれるな~若者に効果的な啓発方法を考えよう~

未来ミーティングの概要

福岡市長と追手門学院大学の防犯ボランティア研究会に所属する学生9名が『消費者トラブルに巻き込まれるな~若者に効果的な啓発方法を考えよう~』をテーマに、未来ミーティングを実施しました。

 

今回未来ミーティングに参加した学生の皆さんが所属する防犯ボランティア研究会は、ショッピングセンターでのひったくり防止カバー配布や、大学周辺の学校や公園での見守りパトロール、警察や市役所と連携した防犯啓発活動等を行うサークルです。

 

学生の皆さんはテーマに関する事前学習として、若者に多い消費者トラブルの手口の紹介や、大学生や高校生の消費者相談が年々増加している現状、消費生活センターの取組み等についての講義を6月10日に受けました。

 

ミーティング当日は追手門学院大学の金政教授進行のもと、学生の皆さんは3班に分かれ、各班が事前に用意してきたパワーポイントを使って今回のテーマに対する発表を行いました。

 

未来ミーティング会場全体図

 

1班はLINEの無料スタンプを使った啓発を提案しました。LINEを選んだ理由は、若者の使用頻度が高く、啓発すべき層に合っているという考えからです。

今回提案のあったLINEスタンプは、キャラクター性が高く、普段のやりとりの中で頻繁に使用されるので無視されにくいという点にも注目しました。

また、LINEスタンプを入手する際には「スタンプの発行元アカウントを登録することで無料ダウンロードが可能」という方法をとることで、登録したユーザーに対して、防犯に関する情報を追加で継続的に発信することが可能になります。

さらに、有名人とコラボレーションした啓発案も発表されました。10代~20代のYouTube(ユーチューブ)利用率がLINEと同様に高いことから、茨木市出身の芸能人を起用した啓発動画をYouTubeで配信すれば、若者の注意を引きつけられるのではないかという考えです。

他にも、電車内広告を利用する案や、TIKTOK(ティックトック)という中高生に人気のある動画配信アプリで市長自ら啓発をしてもらう方法も話題性があり、有効ではないかと提案しました。

1班発表

市民生活相談課長:啓発スタンプとなると、普段のLINEでのやりとりの中では使いにくいと思うんですけど、どういったタイミングで使うことを想定していますか?

3班学生:スタンプのデザインに啓発文を盛り込むと使いにくいので、たとえば、『だまされざる(茨木市消費生活センター啓発キャラクター)』のおなかに『188(消費者ホットライン)』をデザインした普段使いしやすいスタンプを作成します。このスタンプを入り口にして『だまされざる』に興味を持ってもらえれば、啓発のきっかけになると思います。

1班学生:私たちは大学で心理学を学んでいるので、デザインを考えるにあたって環境や社会、犯罪に対する知識を生かせると思います。

 

 

 

続いて、2班の発表内容はスマホゲームを使って啓発するというもの。

すきま時間をスマホゲームで過ごす人が多いことに着目し、表示される様々な選択肢を選び、消費者トラブルを回避しながらストーリーを進めていくゲームを提案しました。

ゲームはQRコードを配布することで簡単に入手可能で、ワンクリック詐欺やマルチ商法等、6つのステージで遊ぶことができます。5分程度で手軽に遊ぶことができるものを目指し、すべてのステージをクリアすることで、市内飲食店で利用できる割引券がもらえるようにします。これは、既存の人気ゲームとの差別化を図るためです。

単なる啓発では危機意識を持ってもらいにくいので、ゲームを通して消費者トラブルを疑似体験してもらうことで、当事者意識や危機感を持ってもらうことができるとの考えです。

また、社会問題を題材に動画を投稿する人気ユーチューバーとコラボレーションする方法も、若者への訴求力は高いと発表しました。

 

消費生活センター所長:ゲームを広めるための手段について、もう少し詳しく教えてもらえますか?

2班学生:高校生に対しては学校に協力してもらい、授業の一環でゲームをプレイしてもらうのがよいかと思います。大学生になると、学生ごとに受ける授業が異なるのでそれは難しい。代わりに、たとえば追手門学院大学ならユニバーサルパスポートと呼ばれる大学が運営する電子システムがあるので、それを利用して学生に対してメールでゲームを周知するという方法もあると思います。あるいは、学生が集まりやすいファストフード店等で、トレイに敷いてある紙にQRコードを載せるなどして気づいてもらうのはどうでしょうか。

金政教授:景品の割引券を茨木市内の店舗でだけ使えるようにすれば、消費行動にもつながりますね。また、大阪府警では歩きスマホの啓発のために、VR(コンピュータで作られた三次元空間を視覚等を通じて疑似体験できる仕組み)を使った実験の話が持ち上がっていますが、今回提案してもらったゲームに置き換えてみてもいいかもしれませんね。

 

市長:2班は提案内容が具体的で、様々な消費者トラブルへの啓発を視野に入れた発表でおもしろいなと感じました。

 

2班学生と市長の意見交換の様子

 

続いて、3班がまず発表したのはパロディー動画を用いた啓発です。パロディーとは、既成の著名な作品を一見してわかるよう残したまま作り替えたもので、よく知られる作品のパロディーほど受け入れられやすく注意を引きやすいので、内容が頭に入りやすく効果的だということです。今回は若者にも知名度の高い映画泥棒風のパロディー動画が提案されました。動画自体は飽きさせないために30秒ほどのものにし、「マルチ商法編」「架空請求編」等いくつかパターンを作成してはどうかという提案です。

映画泥棒のパロディー動画は一般人でも作成しやすく、YouTubeには再生回数が42万回を超えているものもあるので訴求力はあるとの考えです。

 

また、文化祭等多くの人が集まる場で、『だまされざる』をデザインしたイラストパンを配るというアイデアも発表されました。パッケージには啓発文をデザインしますが、実際のトラブル事案を記載するなど、危機感を持ってもらえる工夫をすることが大切であると提案しました。

 

一方で、将来成年年齢が引き下げられることから、大学に入ってからの啓発では遅いという考えが3班にはあったようで、中学生のうちから知識を身につけておく必要があるという提案も出ました。記憶を定着させるためにはグループで討論したり、実際に自ら体験することが重要なので、知識を身につけるための手段としてはゲームが有効だと発表しました。

ほかにも、市長が着ぐるみを着て自ら啓発活動に取り組んでみてはどうかというアイデアも出ました。

3班学生の熱弁の様子

消費生活センター所長:パロディー動画のアイデアはすごくおもしろいと思いました。動画はYouTubeで流すということですか?

3班学生:YouTubeに限らなくてもいいと思います。

消費生活センター所長:若者もよく映画を観に行くと言っていたので、映画館で流してみてもいいなと思いました。

 

市民生活相談課長:紙媒体ではなく、動画を用いたアイデアが多くて今時の若者の意見だなと思って聞いていました。そんな中で、私はイラストパンのアイデアが非常に気に入りました。追手門学院大学の文化祭で出店させてもらえますか?

3班学生:私たちが出店するということなら許可は下りるかもしれません。

市民生活相談課長:来年の文化祭でコラボレーションできれば嬉しいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

金政教授:(学生に向けて)では、来年に向けて今年の文化祭からいろいろ試してみましょうか。

市民生活相談課長:啓発グッズの提供なら協力できるので、ぜひお声かけくださいね。

 

市長:なぜパンを選んだんでしょう?

3班学生:今までの経験上、文化祭の出し物でパンはかぶりにくいというのが実感としてあるので、目立つと思って選びました。

市長:パンのパッケージには実際の消費者トラブルの概要が書いてあるんですよね。不思議でおもしろいかもしれませんね。

 

市民文化部長:消費生活センターでは以前、せんべいを配ったことがありました。その時はデザインをプリントするだけなので手軽に用意できたんですけれど、パンだと手間暇がかかるんじゃないですか?

3班学生:形を凝るのであればそうかもしれませんが、イラストをプリントするだけのイラストパンであればそこまで手間も掛からず、こちらの予算に合わせて動いてくれる業者もあるようです。

学生と市長の会話の様子

市民文化部長:高校生や中学生に向けて啓発をしていかなくてはいけないということは私たちも認識していましたが、心理学的な観点から記憶に残りやすい啓発方法の提案を聞くことができてよかったです。

 

 

 

福岡市長:各班よい発表をしてもらいましたが、どの班も『若者に伝える』という部分を強調されていましたね。この問題は、トラブルに遭わないのが究極の目的。様々な人がいる中で、啓発のターゲットをどうやって決め、内容をどのようにして伝えていくのか、論理的に積み上げていくのが大切だと思いました。今回は『若者』ということでしたが、さらに細かくターゲットを絞り込み、トラブルに遭わさない方法まで考えてみてもおもしろいかもしれませんね。また、消費者トラブルや特殊詐欺の手口というのはどんどん新しいものが増えており、警察とはいたちごっこを繰り返していますが、地道に取り組むことが大切だと思います。少なくともこの場にいる皆さんはもう消費者トラブルに巻き込まれないものだと信じています。今日は勉強になりました。ありがとうございました。

この記事に関するお問い合わせ先
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