学芸員のつぶやき

更新日:2022年07月27日

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京都大学で茨木のキリシタンについてシンポジウムが開催されました(令和5年(2023年)7月)
シンポジウムの様子

令和5年(2023年)7月17日に、京都大学人文学研究所において、人文研アカデミー2023シンポジウム「もう一つの〈キリシタン信徒発見〉1879年茨木・千提寺とフランス人宣教師」が開催されました。

茨木市北部の千提寺、下音羽では、大正時代から昭和初期にかけて、次々とキリシタン遺物が発見されました。あの有名な聖フランシスコ・ザビエル像(神戸市立博物館蔵)も千提寺の旧家から発見されたものです。遺物の発見によって、本地域にかつてキリシタンが存在し、そして潜伏していたことが明らかとなったのです。

しかしながらこの大正時代のキリシタン発見は、実は「再発見」でした。明治12年(1879年)、パリ外国宣教会(MEP)のマラン・プレシ神父が千提寺のキリシタンと接触し、その存在を確認しているのです。プレシによる〈信徒発見〉は、長崎の大浦天主堂におけるプティジャン神父の〈信徒発見〉のように、劇的にはいきませんでした。千提寺の人びとは、その後再訪した神父らに心を開くことはなかったのです。

シンポジウムでは、プレシによる〈信徒発見〉について、フランス国立極東学院准教授のマルタン・ノゲラ・ラモス先生によるMEP所蔵の新史料の提示を中心に、京都大学人文学研究所教授の高木博志先生、同研究所准教授の平岡隆二先生のお2人のそれぞれの視点からの茨木のキリシタンに関連するご研究の発表がありました。参加者は、会場とオンラインを合わせると300人超となり、茨木のキリシタンの歴史や遺物に対する関心の高さを改めて感じる機会となりました。また、大変僭越ながら本市学芸員としてお話させていただく機会をいただき、貴重な経験となりました。今回のシンポジウムの内容を、キリシタン遺物史料館の展示などにも活用できればと考えています。

今後も、茨木のキリシタンについて〈信徒発見〉のエピソードも含め、様々な視点からの探究が進んでいくことで、その様相が明らかになっていくのではないでしょうか。今回の新史料の発見のようなことが、まだまだ続くのかも知れません! (学芸員 桑野)

「昔のくらし学習」-小学校3年生のみんなと一緒に学習-(令和3年(2021年)1月)
準備の様子

      ウェブカメラで道具を映しています

始まりました!毎年恒例、市内小学3年生のみんなと一緒に「昔のくらしと道具のうつりかわり」についての学習です!
文化財資料館では、新型コロナウイルスの影響により団体見学が実施できなくなりましたが、代わりに、zoomによるオンライン授業を実施することができました。
洗濯板やミシン、炭火アイロンなど昔の道具を準備、ノートパソコン、昔の道具を映すカメラをセットしスタートです!

接続が途切れないかなといった心配はありましたが、子どもたちの元気な様子を見て、また先生方のサポートを受けながら安心して楽しくスタートすることができました。
例年は、子どもたちに資料を触ってもらう時間も設けているのですが、今回は触ってもらうことができませんでした。触ることで感じることやより多くの発見があると思うのですが、それができない分、道具の材質や大きさ、重さなど、視覚だけでは読み取れない情報をこちらから伝え、子どもたちにより多くの発見ができるように努めました。そして、昔の道具がどのように変化し、くらしが移り変わっていったのか、子どもたちと一緒に考えました。

クイズや考えてみようのコーナーも取り入れ、子どもたちも盛り上がっていた様子でした。

全クラス同時開催により、他のクラスの様子も画面越しで見ることができるといった面白い体験であったようにも感じます。
子どもたちの反応を近くで見ることができなかったことはとても残念ですが、画面越しでも一生懸命さがとてもよく伝わりました。またご提供いただいた写真からも、熱心な様子を見ることができ嬉しく思っています。

これからも、新たな発見や多くのことを学ぶことができる機会をつくれるよう取り組んでいき、子どもたちの学びを応援したいと思います。

このオンライン授業につきましては2月末まで実施しております。
また、文化財資料館は、通常開館で民具の資料も常設展示室で展示しております。どうぞお越しください。
(学芸員 青木)

 

※大池小学校の先生方に写真をご提供いただきました。 ありがとうございました。

文化財資料館の様子

こちらも盛り上がってます!

教室の様子

教室では真剣に画面をみつめています

「おおさか古墳サミット」の開催について(令和2年(2020年)12月)
おおさか古墳サミット記念写真

おおさか古墳サミット 記念写真

今年は、令和元年に百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録されてから1年が経ちます。1周年を記念して、12月12日、フェニーチェ堺で「おおさか古墳サミット」が開催されました。

このサミットは百舌鳥・古市古墳群がある堺市、羽曳野市、藤井寺市のほかにも、古墳のある府内の自治体が集まり、古墳の魅力発信や古墳を活かした取り組みについて、意見交換を行うことを目的としたものです。また、議論活性化のため、古墳の活用について様々な立ち位置の市町が参加するなか、茨木市はこれから紫金山古墳の国指定史跡への指定を目指しており、他市町の事例を参考にこれから古墳の活用を積極的に進めていくために参加しました。

当日、新型コロナウイルス感染症対策のため、観客がいないなかでの開催となりましたが、圧倒的な広さを誇る会場のなか、熱気あふれるサミットとなりました。まずは、百舌鳥・古市古墳群、高槻市、茨木市、八尾市、柏原市、松原市、太子町の順に、古墳の活用事例等の取り組みの事例報告が行われたのちに、トークセッションが行われました。

トークセッションでは、文化庁調査官による各地の古墳の整備事例の紹介、さらには茨木市長をはじめ、羽曳野市長、八尾市長、松原市長をパネリストに加え、京都府立大学の宗田教授をコーディネーターとして進み、各市町の古墳の魅力やその発信について取り組みの工夫や現状についてディスカッションが行われました。

当日の様子は、YouTubeの「もずふるMozu-Furuichiチャンネル」で見ることができます。ぜひ、ご覧いただければと思います。

URL:https://www.youtube.com/channel/UC62_c2QNyA72zBqL9EU4-yA/videos

(学芸員 清水)

文化財資料館企画展「タコも!カキも!―弥生人のグルメな食卓―」弥生グルメ投票 集計結果(令和元年(2019年)10月)

夏休みの子ども向けに企画された「タコも!カキも!―弥生人のグルメな食卓―」。

たくさんの子どもたちに楽しんでもらえたようで、担当者もホッとしています。

さてさて、展示の中で実施した弥生グルメ投票。投票してくれた方には、4個集めると銅鐸制作工程がわかる缶バッチをプレゼントしていました。1日1回の制限を設けましたが、中には何度も足を運んでくれて、たくさんバックや帽子に付けてくれた子も!

投票してくれたみなさんは集計結果が気になるところ。

お待たせいたしました。それでは結果発表です。

1位:〆の雑穀おにぎり(171票)

2位:ジュースィー!ヘルスィー!鹿のステーキ(145票)

3位:プッリップリのハマグリ蒸し(141票)

4位:コリコリいいだこの甘露煮(77票)

5位:トゥルルン生牡蠣(59票)

6位:魯山人の大好物タニシ串(33票)

みなさんの投票したグルメは何位でしたか。

弥生人がこんなにグルメだったなんてびっくりです。

文化財資料館では今後もたのしく学べるイベントを開催していきます。

どうぞお気軽にお越しくださいね。

(学芸員 竹原)

弥生グルメ投票
缶バッジ写真
ICR(地方博物館国際会議)がキリシタン遺物史料館を見学(令和元年(2019年)9月)
見学の様子

見学の様子

みなさん、ICOM(国際博物館会議)って知っていますか?

最近、ニュースや新聞などで報道される機会も多いので、聞いたことがあるという方も多いかもしれません。

ICOMは約140の国と地域の博物館関係者が参加し、118の国内委員会と30の国際委員会からなる世界唯一のグローバルな博物館組織です。3年に1度、大きな大会が開かれますが、この大会が国内では初めて9月1日から7日まで京都で開催されています。

開催前の8月31日夕方、国際委員会の一つ、ICR(地方博物館国際会議)の方々がキリシタン遺物史料館を見学に来られました。約250年もの禁教期の間、千提寺で守り伝えられてきたキリシタン遺物に触れ、日本におけるキリスト教の歴史や潜伏キリシタンについて興味をもったようで、キリスト教が伝わった年代が世界的に見て遅いことや、現在の日本におけるキリスト教信者の数など、様々な感想や質問が出ていました。

世界中の博物館関係者との会話は、普段私たちが意識しない視点などを与えてくれ、大きな刺激となります。私にとっても非常に楽しい時間となった一方で、より深い議論をするためにも、英語を勉強することの必要性を痛感する一日となりました。

(学芸員 清水)

夏休み 遊んで学べるクイズラリーのお礼(平成29年(2017年)9月)
茨木おたからカード

カードは全部で9種類。コンプリートした人もいました。

夏休みも終わり、朝晩の空気はすっかり涼しく感じられるようになりました。


文化財資料館では、夏休みに遊んで学べるクイズラリーを実施し、延べ280人近い方にご参加いただきました。ありがとうございました。


「今日もきたよー!」とキラキラした笑顔で職員からクイズを受け取る子、展示室内を熱心に回って答えを探している子、クイズ解答後にもらえる参加賞の「茨木おたからカード」を真剣に選ぶ子。カードを嬉しそうに受け取り、はにかんだ表情でお礼を言ってくれる子。子どもたちの様々な姿や表情が、とても印象に残っています。

博物館実習生製作のカード

実習生のみなさん、お疲れ様でした!

また、文化財資料館に博物館実習で来てくれた大学生にも、クイズや「茨木おたからカード」を製作してもらいました。

わかりやすく、かつ学習効果のある問題はどのように作ればよいのか、もらって喜んでもらえるカードにするには、茨木市内のどの文化財を取り上げたらいいのか、カード内の限られた文字数で文化財を紹介するには、どのような言葉を選んだらいいのか、悩みながらも一生懸命に取り組んでくれました。

実習生の力作は、夏休み後半に登場し、大人気でした。

カードには、(ちょっと難しいかもしれませんが)、詳しい解説や情報がつまっています。ぜひじっくり読んでみて、わからないことがあったらいつでも文化財資料館に聞きにきてくださいね。

夏休みが終わってすぐ、「ええ~クイズラリー終わったの?とっても楽しかったのに~。次はいつから?」と聞いてくれる子がいました。

子どもたちに楽しんでもらえる企画は秋のテーマ展でも予定していますので、お待ちくださいね。

(学芸員 桑野)

この記事に関するお問い合わせ先


茨木市 教育委員会 教育総務部 歴史文化財課
文化財資料館
〒567-0861
大阪府茨木市東奈良三丁目12番18号
電話:072-634-3433
ファックス:072-637-4745

E-mail shiryokan@city.ibaraki.lg.jp
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