令和7年4月18日 華麗なる庖丁さばきを披露 総持寺の伝統行事「山蔭流庖丁式」
更新日:2025年05月09日
4月18日、正午から、西国三十三所第22番札所高野山真言宗補陀洛山(ふだらくさん)総持寺の伝統行事の一つ「山蔭流庖丁式」が行われました。
総持寺を開いた中納言藤原山蔭は同寺の本尊造立の際、本尊を彫る仏師に千日間にわたり、毎日異なる献立の料理でもてなしたことで有名です。この話から山蔭流庖丁式は、例年、秘仏本尊開扉法要と同じ4月18日に行われます。現在の形式は室町時代から伝えられており、当主が賓客を前に、座敷にまな板をおき、料理をして見せたことに由来しています。
式は、料理の神様として崇められている藤原山蔭に向け、魚を調理する腕前を披露するもので、藤原山蔭が祀られている庖丁式殿(開山堂)で行われました。例年、山蔭流の調理師で作られた山蔭流京奉会から選ばれた庖丁士が腕前を披露します。今年は樋口 誠さんがその大役を担いました。
直垂(ひたたれ)や烏帽子などといった平安時代の装束に身を包んだ樋口さんは、右手に長さ約30センチの庖丁、左手には真魚箸(まなばし)を持ち、今年奉納する五刀之鯉を見事な庖丁さばきで調理しました。堂内に流れる雅楽の調べに合わせ、鯉には手を触れず、勢いよくさばくさまは圧巻で、観客からは大きな拍手があがりました。
式を終えて、樋口さんは、「とても緊張しましたが、無事に終えることができてほっとしています」と語りました。庖丁士の華麗なる庖丁さばきを堪能した観客は、「初めて見に来ましたが、庖丁さばきに迫力があり魅了されました」と話しました。