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子連れで通勤電車の時間。息子のグズグズが始まった。「電

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回降りようかな?」焦る私。

 そこに

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代後半のおじさんが「どうした~?」と息子に

声を掛け、手を握ってあやしてくれた。嬉しい気持ちと安堵

感から気づけば涙がポロポロ…すると

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代の女性も話しか

けてくれる。「お子さん何歳ですか?」。そしてかばんをゴソゴソ…。女性が食べようと買っ

ていたであろう、パンを息子に差し出し「これ、おいしいよ~!お母さんも頑張ってね!」

と笑顔で電車を降りた女性。おじさんにもお礼を伝えると「いえいえ。おじんが話しかけて、

坊っちゃんびっくりしただろうね。ごめんね。バイバ~イ!!」。

 ふいてもふいても溢れでる涙。私の姿はどう映っていたかな。今日も

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つ大事な事を学

びました。

 「ママの言葉は、調味料だね」。夕飯の支度をしている

私をのぞき込みながら娘が言いました。「どうしてそう思う

の?」不思議に思い聞き返すと「だってママに怒られると

心がしょっぱくなるし、ママに褒められると甘くなるから」。

 言葉に詰まりました。幼い時期ほど親の言葉の影響力は大きい。忙しい毎日の中で、娘

に対して必要以上にキツイ言い方や、いい加減な受け答えをしてなかったか…。

 なんだか、ハンバーグの具材に塩を入れるのがためらわれました。でも、塩は味に旨味

と深みを出す。私はいつもより控えめに塩を入れ、娘に言いました。「今日のハンバーグは

甘い煮込みハンバーグにしよ!」「やったぁー!」はしゃぐ娘を見ながら、明日から娘にか

かる言葉のさじ加減を考え始めました。

子どもは宝 みんなで子育て

言葉のさじ加減

妻 38歳(筆者) 夫 30歳 子3歳

妻 46歳(筆者) 子 10歳

審査員賞

佳作

ささいな一言でも、子どもは親の言葉を覚えているものです。一方親自身も叱

ると後悔することがしばしば。言葉のやり取りを「調味料」「さじ加減」と表現

した点が的を射ており、ユニークです。

30

代女性)

私も電車で同じような経験があり、とても共感できる作品でした。娘が急に体調を崩し途中下車した

時、心配した女性から声を掛けてもらい、優しさが身に染みました。こうした経験を積み重ねて親の

成長があると思います。私も困っている人に躊躇なく声をかけることができるようになりました。

特別審査員

奥野史子

さん評 スポーツコメンテーター・「いい夫婦の日パートナー・オブ・ザ・イヤー」受賞

審査員から

ここがいいね!