○茨木市開発行為等の手続等に関する条例
令和6年7月3日
茨木市条例第22号
目次
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 開発行為等の手続(第10条―第21条)
第3章 開発行為等の基準等(第22条―第29条)
第4章 雑則(第30条―第35条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、開発行為等を行う場合における手続、土地利用に関する基準、公共・公益施設の整備基準その他必要な事項を定めることにより、良好な都市環境の保全及び創出を推進することを目的とする。
(1) 開発行為 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項に規定する行為及び宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号。第7条第2項第1号及び第10条第1項第3号において「盛土規制法」という。)第2条第1項第2号から第4号までに掲げる行為をいう。
(2) 建築行為 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第13号から第15号までに規定する行為、建築物(同条第1号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の用途を変更する行為及び工作物を築造する行為をいう。
(3) 細街路等整備事業 地域の生活環境を改善するため、市長が特に拡幅整備が必要と定めた道路又は道の整備及び建築基準法第42条第2項に規定する道路又は同法第43条第2項第2号に規定する建築物の敷地の周囲の空地(以下この号において「道路等」という。)で、当該道路等の幅員が4メートル未満のものの整備に関する事業をいう。
(4) 開発行為等 前3号に掲げる行為又は事業、建築基準法第42条第1項第5号の規定による位置の指定を要する道路(第7条第2項第2号及び第10条第1項第4号において「位置指定道路」という。)の築造行為、茨木市建築基準法施行条例(平成12年茨木市条例第8号)第4条の規定による承認(第10条第1項第6号において「私道の廃止等の承認」という。)を要する行為及びこれらの行為又は事業に関して市長が公共・公益施設を整備する必要があると認める行為をいう。
(5) 開発者 開発行為等を行う者をいう。
(6) 開発区域 開発行為等を行う土地の区域をいう。
(7) 公共施設 都市計画法第4条第14項に規定する公共の用に供する施設及び細街路等整備事業の整備用地並びにこれらの附属施設をいう。
(8) 公益施設 教育施設、集会施設、ごみ集積施設その他地域の事情を考慮して公益上必要と認められる施設及びこれらの附属施設をいう。
(9) 公共・公益施設 公共施設及び公益施設をいう。
(10) 自治会 市内の一定の区域において、住民相互の親睦と良好な地域社会の維持及び形成のために共同活動を行う団体をいう。
(11) 関係住民 開発区域の隣接地の所有者、当該隣接地に存する建築物の全部又は一部の所有者及び占有者並びに当該隣接地を含む区域における自治会(本市に登録しているものに限る。)を代表する者をいう。
(12) 中高層建築物 茨木市中高層建築物の建築に係る紛争の防止及び調整に関する条例(令和6年茨木市条例第23号。第12条第5項及び第6項において「中高層条例」という。)第2条第1号に規定する中高層建築物をいう。
(市の役割)
第3条 市は、適正な土地利用の誘導を推進し、この条例の適正かつ円滑な運用を確保するための必要な措置を講じるとともに、開発行為等に係る紛争を未然に防止するよう努めるものとする。
(開発者の役割)
第4条 開発者は、開発行為等を行うに当たっては、市が実施する施策に協力するとともに、周辺環境に配慮した良好なまちづくりの実現に努めなければならない。
2 開発者は、良好な近隣関係が形成できるよう、適切な対応を行うとともに、開発行為等に係る紛争が生じたときは、互譲の精神をもって自主的に解決するよう努めなければならない。
(市民の役割)
第5条 市民は、良好な居住環境の保全及び創出に自ら努めるとともに、市が実施する施策に協力するよう努めなければならない。
2 市民は、開発行為等に係る紛争が生じたときは、互譲の精神をもって自主的に解決するよう努めなければならない。
(適用範囲)
第6条 この条例は、本市の区域内における開発行為等について適用する。ただし、非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為等については、この限りでない。
(1の開発行為等とみなす行為)
第7条 2以上の開発行為等が、一団の土地(1の建築物の敷地であった土地その他一体的な利用がなされていた土地及び所有者が同一であった土地をいう。)又は隣接し、若しくは近接する土地において、同時に又は引き続き行われ、かつ、全体として一体的な土地の利用をし、又は一体的な土地の造成を行うものとなることが見込まれるときは、これらの開発行為等を1の開発行為等とみなす。
2 前項の規定は、次に掲げる開発行為等については適用しない。
(1) 先行する開発行為に係る都市計画法第36条第3項の規定による公告のあった日の翌日又は盛土規制法第17条第2項の規定による検査済証の交付のあった日の翌日から起算して2年を経過した日以後に行う開発行為等
(2) 先行する位置指定道路の築造行為について建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号)第10条第1項の規定による公告のあった日の翌日から起算して2年を経過した日以後に行う開発行為等
(3) 先行する建築行為に係る建築基準法第7条第5項又は第7条の2第5項の規定による検査済証の交付のあった日の翌日から起算して2年を経過した日以後に行う開発行為等
(4) 開発者が先行する開発行為等の開発者と異なる独立した開発行為等
(総合計画等への適合)
第8条 開発者は、開発行為等を計画するに当たっては、総合計画(茨木市総合計画策定条例(平成24年茨木市条例第32号)第2条第1号に規定する総合計画をいう。)、都市計画マスタープラン(都市計画法第18条の2第1項の規定により定められた市の都市計画に関する基本的な方針をいう。)、立地適正化計画(都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)第81条第1項の規定により作成した計画をいう。)その他本市のまちづくりに関する計画に即したものとしなければならない。
(地区計画等の活用)
第9条 開発者は、開発行為等を行うに当たっては、土地の利用が適正に維持管理されるよう、おおむね1ヘクタール以上の開発行為等にあっては都市計画法第12条の4第1項第1号に規定する地区計画(以下この条において「地区計画」という。)を、それ以外の開発行為等にあっては建築基準法第69条に規定する建築協定(以下この条において「建築協定」という。)を活用するよう努めなければならない。
2 開発者は、既に地区計画が定められ、又は建築協定が締結されている地区の隣接地において開発行為等を行うときは、当該開発行為等が当該地区計画又は建築協定と調和のとれたものとなるよう努めるものとする。
3 開発者は、市長が地区計画又は建築協定に係る手続を行う場合は、これに協力しなければならない。
第2章 開発行為等の手続
(事前協議)
第10条 開発者は、次に掲げる開発行為等を行おうとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、市長と協議を行わなければならない。
(2) 都市計画法第42条第1項ただし書又は第43条第1項の規定による許可(次項において「建築許可」という。)を要するもの
(3) 盛土規制法第12条第1項の規定による許可又は同法第15条第1項の規定による協議(次項において「宅造等許可」という。)を要するもの(市街化調整区域(都市計画法第7条第1項に規定する市街化調整区域をいう。)内で行われる開発行為等であって、かつ、森林の区域(森林法(昭和26年法律第249号)第5条第1項の規定によりたてられた地域森林計画及び同法第7条の2第1項の規定によりたてられた森林計画の対象とする森林の区域をいう。)内において行うものを除く。)
(4) 位置指定道路の築造行為
(5) 中高層建築物の建築行為(建築基準法第2条第13号に規定する行為に限る。)
(6) 私道の廃止等の承認を要するもの
(8) 細街路等整備事業
(9) その他市長が必要と認める行為
2 開発者は、開発行為等について開発許可、建築許可及び宅造等許可の要否に係る判定を行うため市長が必要であると認めるときは、規則で定めるところにより、市長と協議を行わなければならない。
4 市長は、前項の規定による回答を行うときは、教育委員会、消防長、水道事業管理者その他関係する機関へ意見を求めることができる。
5 開発者は、第3項の規定による回答を踏まえ、開発区域及びその周辺の区域において整備を要する公共・公益施設の整備、帰属、管理、瑕疵の保証その他必要な事項について、市長その他当該公共・公益施設の管理者と協議を行わなければならない。
(事前協議等の開始時期)
第11条 開発者は、規則で定める開発行為等については、規則で定める手続を完了した後でなければ事前協議及び第14条第1項の協議を行うことができない。
(関係住民への説明)
第12条 開発者(第10条第1項第5号に掲げる行為を行おうとする者を除く。次項から第4項までにおいて同じ。)は、第10条第3項の規定による回答があったときは、規則で定めるところにより、開発区域内の見やすい場所に、開発行為等の概要を記載した標識を設置しなければならない。
2 開発者は、前項に規定する標識を設置したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。
3 開発者は、第1項に規定する標識を設置したときは、規則で定めるところにより、関係住民に対して当該開発行為等の計画その他当該計画に関係する事項について説明しなければならない。
4 開発者は、前項の規定により行った関係住民への説明の経過及び結果について、規則で定めるところにより、その旨を市長に報告しなければならない。
5 開発者(第10条第1項第5号に掲げる行為を行おうとする者に限る。次項において同じ。)は、事前協議の申出を行ったときは、速やかに事前協議を開始した旨を中高層条例第9条第1項に規定する中高層建築物のお知らせ標識に記載するとともに、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に報告しなければならない。
6 開発者は、前項の規定により中高層建築物のお知らせ標識への記載が行われた日の翌日から起算して7日を経過した日以後に、中高層条例第2条第1項第6号に規定する近隣住民等から申出があったときは、当該近隣住民等に対して開発行為等の計画その他当該計画に関係する事項について説明しなければならない。
7 第3項及び前項に定めるもののほか、開発者は、開発行為等の工事の施工について、茨木市生活環境の保全に関する条例(平成20年茨木市条例第35号。第25条において「環境保全条例」という。)第19条に定めるところにより、説明を行うよう努めなければならない。
(事前協議完了通知書の交付)
第13条 開発者は、第10条第3項の規定による回答を踏まえ、必要な手続を終えたときは、規則で定めるところにより、市長に申し出て、確認を受けなければならない。
3 市長は、第1項の規定による申出があったときは、教育委員会、消防長、水道事業管理者その他関係する機関へ確認を求めることができる。
(許可・認定・確認申請等に係る協議)
第14条 開発者は、建築基準法に基づく許可又は認定の申請を行おうとするとき及び確認申請又は計画通知を行おうとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、市長と協議を行わなければならない。
2 市長は、前項の規定による協議の申出があったときは、規則で定めるところにより、当該協議において協議すべき事項に必要な助言及び指導事項を付して回答するものとする。
3 市長は、前項の規定による回答を行うときは教育委員会、消防長、水道事業管理者その他関係する機関へ意見を求めることができる。
4 開発者は、第1項に規定する協議に係る開発行為等の工事に着手する前に、関係住民に対して当該開発行為等の工事の内容及び建築する建築物の概要について周知するものとする。
(協定書の締結)
第16条 開発者は、市長が必要と認めるときは、公共・公益施設の整備、帰属その他必要な事項(次項において「公共・公益施設の整備等」という。)について、規則で定めるところにより、市長及び開発区域内の土地の所有者との間で協定書を締結するものとする。
2 開発者は、前項の規定による協定書の締結後、当該開発区域の周辺状況の変化等により市長が特に必要があると認めるときは、再度、公共・公益施設の整備等について市長その他当該公共・公益施設の管理者と協議を行わなければならない。
(変更の協議)
第17条 開発者は、開発行為等に係る計画を変更しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、市長と協議を行わなければならない。
3 第1項の協議は、規則で定める軽微な変更をする場合であって、市長がその必要がないと認めたときは、省略することができる。この場合において、開発者は、規則で定めるところにより、速やかに変更した旨を市長に届け出なければならない。
(検査)
第21条 開発者は、第10条第1項第1号、第3号から第5号まで及び第8号に掲げる開発行為等に係る工事のうち、市長が特に必要と認めた工程に係る部分を終えたとき及び当該工事が完了したときは、規則で定めるところにより、速やかに市長の検査を申請しなければならない。この場合において、開発者(公共・公益施設の移管を伴う開発行為等を行う者に限る。)は、公共・公益施設の移管に関する図書であって規則で定めるものを市長に提出しなければならない。
2 市長は、前項の規定による申請があったときは、開発行為等が当該開発行為等の計画に適合しているかどうかを検査しなければならない。この場合において、市長は、教育委員会、消防長、水道事業管理者その他関係する機関へ当該検査への職員の立会いを求めることができる。
3 市長は、前項の規定による検査(工事が完了したときのものに限る。)の結果、開発行為等が当該開発行為等の計画に適合していると認めたときは、規則で定めるところにより、開発者にその旨を通知するものとする。
第3章 開発行為等の基準等
(開発行為等に関する基準)
第22条 開発者は、住宅の建築を目的とする開発行為等を行うときは、次に掲げる事項について、市長が別に定める基準によらなければならない。
(1) 計画人口に関する事項
(2) 1宅地の規模に関する事項
(3) 共同住宅に関する事項
(4) 敷地内の空間に関する事項
(5) 緑化施設に関する事項
(公共・公益施設の整備基準)
第23条 開発者は、開発行為等を行うときは、次に掲げる公共・公益施設について、市長その他公共・公益施設の管理者が別に定める基準に適合するよう整備しなければならない。
(1) 道路施設
(2) 交通安全施設
(3) 駐車場・駐輪場施設
(4) 公園、緑地及び広場
(5) 排水施設
(6) 上水道施設
(7) 消防水利施設、消防活動通路及び消防活動空地
(8) ごみ集積施設
(9) 集会施設
(10) その他市長が必要と認める施設
(環境影響調査)
第24条 開発者は、市長が別に定める開発行為等を行おうとするときは、開発区域及びその周辺の区域における環境影響調査(環境影響評価法(平成9年法律第81号)第2条に規定する環境影響について環境の構成要素に係る項目ごとに調査及び予測を行うことをいう。)を行い、その結果を文書等により市長に報告するものとする。
2 前項の規定による調査を行った結果、開発行為等を行うことにより周辺環境に影響を及ぼすおそれがあると市長が認めたときは、開発者は、その影響を排除し、又は緩和する等必要な措置を講じて、周辺環境の保全に努めるものとする。
3 開発者は、第1項に規定する開発行為等を行ったときは、環境影響の程度、環境保全対策の実効性等を明らかにするために事後調査を行い、市長が定める日までに、その結果を文書等により市長に報告するものとする。
(開発行為等の工事における配慮基準)
第25条 開発者は、開発行為等の工事の施行に関し、環境保全条例第21条第1項に規定する配慮基準を順守し、騒音、振動若しくは土砂の飛散等を防止し、又は緩和するために必要な措置を講じて、周辺環境への影響を最小限にとどめなければならない。
(周辺への影響の防止)
第26条 開発者は、開発行為等の計画において、次に掲げる事項について必要な措置を講じるよう努めなければならない。
(1) 日影による影響の軽減
(2) 放送電波の受信障害の防止
(工業地域内の開発)
第27条 開発者は、都市計画法第8条第1項第1号に掲げる工業地域内において、工場等の操業環境を維持し、及び保全するため、住宅の建築を目的とする開発行為等を行わないよう努めなければならない。
(マンションの管理及び運営の適正化の推進)
第28条 マンション分譲事業者は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)に基づき、マンションの管理及び運営の適正化の推進に努めなければならない。
(自治会への加入促進)
第29条 開発者は、地域コミュニティの重要性を踏まえ、入居者の自治会への加入促進に努めるものとする。
2 開発者は、開発行為等において、当該開発区域を包含する自治会及び近隣自治会と入居者の自治会への加入について協議するとともに、新たに自治会を結成するときは、積極的に協力するものとする。
第4章 雑則
(報告)
第30条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、開発者等に対し、開発行為等に係る工事その他の行為の状況について報告を求めることができる。
(立入調査)
第31条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、開発区域内に立ち入り、開発行為等に係る工事その他の行為の状況を調査させることができる。
2 市長は、前項の規定による立入調査において必要があると認めるときは、教育委員会、消防長、水道事業管理者その他関係する機関へ当該調査への職員の立会いを求めることができる。
(勧告)
第32条 市長は、開発者等が、次の各号のいずれかに該当するときは、これらの者に対し必要な措置をとることを勧告することができる。
(3) 第20条第2項の規定に違反して、開発行為等を行ったとき。
(4) 正当な理由なく第30条に規定する報告を行わないとき。
(命令)
第33条 市長は、前条各号の規定による勧告をした場合において、勧告を受けた開発者等が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該開発者等に対し、開発行為等に係る工事その他の行為を停止し、又は相当の期限を定めて違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
(公表)
第34条 市長は、前条の規定による命令を受けた開発者等が正当な理由なく当該命令に従わないときは、規則で定めるところにより、氏名(開発者等が法人の場合にあっては、法人名及び代表者の氏名)、開発行為等の所在地、命令の内容及び命令後の経過(以下この条において「氏名等」という。)を公表することができる。
2 市長は、前項の規定により、氏名等を公表しようとするときは、あらかじめ開発者等に当該公表の内容及び理由を通知し、当該開発者等に対して意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、緊急の必要のため、あらかじめ意見を述べる機会を与えることができないときは、この限りでない。
(委任)
第35条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和7年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現にこの条例に規定する開発行為等の手続に相当する手続に着手している開発行為等については、この条例の規定は、適用しない。