○茨木市長等政治倫理条例

平成29年3月30日

茨木市条例第12号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の信託によるものであることに鑑み、市長、副市長、水道事業管理者、教育長及び常勤の監査委員(以下「市長等」という。)の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講じることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(市長等の責務)

第2条 市長等は、その職務を遂行するに当たり、市政に携わる者としての権限と責務を深く自覚し、常に人格の向上と倫理の保持に努めるとともに、市民に対し自ら進んでその高潔性を明らかにしなければならない。

(市民の責務)

第3条 市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する責任を負うことについて自覚を持ち、市長等に対し、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第4条 市長等は、次に掲げる政治倫理基準を順守しなければならない。

(1) その地位を利用して不当に金品を授受しないこと。

(2) 市が行う許可、認可等の行政処分又は補助金等の交付の決定について、特定の者のために有利な取り計らいをしないこと。

(3) (市が設立した公社並びに市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している一般社団法人及び一般財団法人(次条において「市の出資法人等」という。)を含む。)が締結する売買、貸借、請負その他の契約について、特定の者のために有利な取り計らいをしないこと。

(4) 政治活動に関し、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附を受けないこと。

(5) 市職員の公正な職務の執行を妨げ、その権限を不正に行使するよう働きかけないこと。

(6) 前各号に掲げるもののほか、市民全体の奉仕者として、名誉と品位を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(請負等に関する順守事項)

第5条 市長等は、地方自治法(昭和22年法律第67号)その他の法律における市長等の兼業禁止に関する規定の趣旨を尊重し、市民に疑惑の念を生じさせないようにするため、その配偶者、2親等以内の親族又はこれらの者が役員をしている会社その他の法人若しくは次に掲げる会社その他の法人(市の出資法人等その他これらに類する法人で規則で定めるものを除く。)に、市との工事、製造その他の請負契約及び物品の購入契約の締結(これらの契約を締結するための準備行為を含む。)を辞退させるものとする。ただし、災害等特別の事情があるときは、この限りでない。

(1) 市長等が資本金、基本金その他これらに準ずるものの3分の1以上を出資している会社その他の法人

(2) 市長等が役員をし、又はその経営方針に関与している会社その他の法人

(3) 市長等が報酬を受領している会社その他の法人

(資産等報告書等の作成)

第6条 市長は、その任期開始の日(再選挙により市長となった者にあってはその選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用がある者にあっては当該者の退職の申立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた市長にあってはその当選の効力発生の日とする。次項において同じ。)において有する次の各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して100日を経過する日までに、作成しなければならない。

(1) 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下この項において同じ。)により取得した場合は、その旨

(2) 建物の所有を目的とする地上権又は土地の貸借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積並びに相続により取得した場合は、その旨

(3) 建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続により取得した場合は、その旨

(4) 預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(普通貯金を除く。) 預金及び貯金の額

(5) 有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券(株券が発行されていない場合にあっては、株券が発行されていたとすれば当該株券に表示されるべき権利を含む。)にあっては、株式の銘柄及び株数)

(6) 自動車、船舶、航空機及び美術工芸品(取得価額が1,000,000円を超えるものに限る。) 種類及び数量

(7) ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称

(8) 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額

(9) 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額

2 市長は、その任期開始の日後毎年新たに有することとなった前項各号に掲げる資産等であって12月31日において有するものについて、当該資産等の区分に応じ同項各号に掲げる事項を記載した資産等補充報告書を、その翌年の4月1日から同月30日までの間に、作成しなければならない。

(所得等報告書の作成)

第7条 市長(前年1年間を通じて市長であった者(任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、当該市長でない期間を除き前年1年間を通じて市長であった者)に限る。)は、次の各号に掲げる金額及び課税価格を記載した所得等報告書を、毎年、4月1日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月1日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、作成しなければならない。

(1) 前年分の所得について同年分の所得税が課される場合における当該所得に係る次に掲げる金額(当該金額が1,000,000円を超える場合にあっては、当該金額及びその基因となった事実)

 総所得金額(所得税法(昭和40年法律第33号)第22条第2項に規定する総所得金額をいう。)及び山林所得金額(同条第3項に規定する山林所得金額をいう。)に係る各種所得の金額(同法第2条第1項第22号に規定する各種所得の金額をいう。)

 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の規定により、所得税法第22条の規定にかかわらず、他の所得と区分して計算された所得の金額であって規則で定めるもの

(2) 前年中において贈与により取得した財産について同年分の贈与税が課される場合における当該財産に係る贈与税の課税価格(相続税法(昭和25年法律第73号)第21条の2に規定する贈与税の課税価格をいう。)

(関連会社等報告書の作成)

第8条 市長は、毎年、4月1日において報酬を得て会社その他の法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この条において同じ。)の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該会社その他の法人の名称及び住所並びに当該職名を記載した関連会社等報告書を、同月2日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了による任期終了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月2日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、作成しなければならない。

(資産等報告書等の保存及び閲覧等)

第9条 前3条の規定により作成された資産等報告書及び資産等補充報告書、所得等報告書並びに関連会社等報告書は、市長において、これらを作成すべき期限又は期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も、市長に対し、前項の規定により保存されている資産等報告書及び資産等補充報告書、所得等報告書並びに関連会社等報告書の閲覧又は写しの交付を請求することができる。

3 前項に規定する閲覧は無料とし、写しの作成及び送付に要する費用は請求者の負担とする。

(市民の調査請求権)

第10条 地方自治法第18条に定める選挙権を有する市民は、市長等が第4条及び第5条の規定に違反する疑いがあると認めるときは、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者(第4項において「調査請求代表者」という。)から市長に対し、調査請求書に市長等が第4条及び第5条の規定に違反する疑いのあることを証する資料を添えて、調査を請求することができる。

2 市長は、前項の規定による調査の請求を受けたときは、当該請求が同項に定める要件を満たすものであることを確認した後、速やかに茨木市政治倫理審査会に調査を求めなければならない。

3 茨木市政治倫理審査会は、前項の規定による調査の請求があったときは、速やかに調査を行い、その結果に関する報告書(次項及び次条第1項において「調査報告書」という。)を作成し、市長に提出しなければならない。

4 市長は、調査報告書の提出を受けたときは、その要旨を速やかに公表するとともに、その内容を調査請求代表者に通知しなければならない。

(市長等が講じるべき措置)

第11条 市長等は、自己に関する調査報告書において、その行為が第4条及び第5条の規定に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して、政治倫理の確立のために必要と認められる措置を講じなければならない。

2 市長は、前項の措置を自ら講じない者があるときは、市の名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するために必要と認められる措置を講じるものとする。

(政治倫理審査会)

第12条 政治倫理について調査審議するため、茨木市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。

2 審査会は、次に掲げる事務を行う。

(1) 第10条第3項の規定によりその権限に属することとされた事項について調査審議を行うこと。

(2) 前号に掲げるもののほか、政治倫理の確立を図るため、市長の諮問に応じ、調査審議を行うこと。

3 審査会は、前項の規定による調査審議を行うため必要があると認めるときは、関係者の出席を求め、説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

4 前3項に定めるもののほか、審査会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。

(市長等の協力義務)

第13条 市長等は、審査会からの要求があるときは、審査会に必要な資料を提出し、審査会の会議に出席して説明を行う等調査審議に必要な協力をしなければならない。

(虚偽報告等の公表)

第14条 審査会は、市長等が前条に規定する調査審議に必要な協力をしなかったとき又は審査会に虚偽の報告をしたときは、その旨を公表するものとする。

(委任)

第15条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。

(旧郵便貯金の取扱い)

2 第6条第1項第4号の規定の適用については、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号。以下この項において「整備法」という。)附則第5条第1項の規定によりなおその効力を有するものとされる整備法第2条の規定による廃止前の郵便貯金法(昭和22年法律第144号)第7条第1項各号に規定する郵便貯金(通常郵便貯金を除く。)は、預金とみなす。

(政治倫理の確立のための茨木市長の資産等の公開に関する条例の廃止)

3 政治倫理の確立のための茨木市長の資産等の公開に関する条例(平成7年茨木市条例第34号)は、廃止する。

(経過措置)

4 この条例の施行前に前項の規定による廃止前の政治倫理の確立のための茨木市長の資産等の公開に関する条例第2条から第4条までの規定により作成された資産等報告書及び資産等補充報告書、所得等報告書並びに関連会社等報告書は、この条例第6条から第8条までの規定により作成されたものとみなす。

茨木市長等政治倫理条例

平成29年3月30日 条例第12号

(平成29年4月1日施行)