特集 まちを歩けば歴史にあたる!
住宅街に、駅前に、道路脇に……。
茨木には、古代からの豊かな歴史があちこちに刻まれています。
目線を変えて歩いてみれば、いつものまちに興味深い発見があることに気づくはず。
フォトジェニックな新たなまちの表情にも出合えるかもしれません。
問合先、歴史文化財課 電話 620-1686
まちの真ん中に残る
城下町の面影
在郷町の中心は、茨木阪急本通商店街や茨木神社の裏あたり。茨木城の城下町として発展したこのエリアは、商店街が集まる市の中心部です。そこから南や北へ少し足をのばしてみると、住宅街のなか、ふいに格子の古民家が。今も誰かが暮らす古民家の窓や屋根には伝統的な意匠が残り、風情ある風景にほっと気持ちが和みます。在郷町には4つの街道が通っていますが、古民家を見かけることが多いのは街道沿いなのだそうです。
道の脇の道標に目を向けると、「殿町」「佐助屋敷」などの旧町名が。そのあたりはどちらも武士が住んでいた場所なのだとか。歴史を感じながらぶらりと散策する楽しみが、このエリアにはあります。
ルーツは城下町、残り香を楽しんで
在郷町
中世に茨木城の城下町として始まり、江戸時代初期、廃城となってからは酒造業などの商工業で栄える集落に。城下町特有の複雑に入り組んだ町割や、旧街道沿いなどに昔のまちなみが残る。
幻の茨木城、手がかりがここに!?
茨木小学校正門
茨木神社東門
城郭の中心は茨木小学校の場所にあったとか。城主は戦国武将・片桐且元ら。江戸時代の「一国一城令」で取り壊されたが、当時整備された城下町が現在のまちのルーツに。
茨木小学校正門は復元された茨木城櫓門
茨木城搦手門が移築されたという茨木神社東門
片桐町 8-40(茨木小学校)
元町 4-3(茨木神社)
文化財資料館 学芸員 柴﨑謙信
300年前と同じ道を散策して城下町の時代を感じてください
看板文字が逆の町家は文化財!
家の中になぜレール?
川本家住宅 【国登録有形文化財】
江戸時代は藍染屋、米問屋として栄えた商家で、1階内部は広い店舗と背面北寄りに座敷があり、2階正面は黒漆喰塗、両端は袖壁が。現在はイベントスペースに活用されることも。
上泉町 6-29
茨木城と関わりが!?
名前も昔は「御坊さん」!?
茨木別院 【国登録有形文化財】
元々茨木城内だった地を城主が寄進し、東本願寺門主の宿泊所として創設。当時の名は満照寺、その後茨木御坊満照寺・東本願寺掛所と呼ばれ、現在の名に。近所では親しみを込めて昔の「御坊さん」と呼ぶ人もいるそう。
別院町 3-31
新庄町に謎の広場!?
茨木高校東門前
東側校門前に不自然に広がった道が。ここは茨木城があったころ、出陣前に兵を集めたり、敵を迎え討ったりするための広場(兵枡)だったといわれている。
新庄町 12-1
お気に入りのお地蔵さまを探そう
在郷町には、顔が白い「化粧地蔵」と呼ばれるお地蔵さまがたくさん! それぞれ個性があるのは、地域の人が地蔵盆に「お化粧」する風習があるからだそう。
街道沿いに出合う、道しるべと物語
西国街道
古代の官道・山陽道を受け継ぎ、江戸時代は京都から淀川右岸を通って西国へと至る幹線道路に。茨木市内をほぼ東西に走っており、宿場町を中心に人や物、文化の行き交う要衝として栄えた。
小さな公園の奥に
癒されスポット!?
街道から勝尾寺川を渡って参道へ入ると、鎮守の森へ導く階段が。苔むした境内はちょっと神秘的なムードに包まれ、心が穏やかになるよう。
格式のある神社は
北摂 No.1の多さ!
島下郡で由緒ある「式内社」と呼ばれる神社17座のうち、なんと13座が茨木に。西国街道の近辺にも2つの神社がある。
今と昔をつなぐ道標と宿場町の風景に旅人気分
茨木の西国街道は、大阪モノレール豊川駅から太田茶臼山古墳あたりを、市を横切るように通っています。時折、人や自転車が行き交う街道には住宅の合間に古民家が残る場所もあり、のんびりした空気に包まれています。道が交わる場所で行く先を示す道標は、江戸時代の旅人にとって大切な道しるべでした。当時は徒歩。ここを歩いた人たちの気分になって、刻まれた文字の先をめざしてみるのもいいかもしれません。大名行列をはじめ大勢の人でにぎわう宿場町にあったのが、郡山宿本陣。このあたりは石畳でとても風情があります。
街道の周辺は古代から政治・文化・交通の要衝として栄えた地でもあり、古墳などの史跡も多数点在しています。
文化財資料館 学芸員 斧上紗木
風景が変わっても道標が昔の道と人の往来を感じさせてくれます
親柱に江戸の旅人発見!
鍛冶屋橋
西国街道の下に流れる勝尾寺川を渡る橋の4つの親柱に、笠をかぶった旅人の一行が。
忠臣蔵で有名なあの人も宿泊!
郡山宿本陣 【国史跡】
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、現在は公開休止中
西国街道に残る5つの宿場町のひとつが茨木に。本陣とは、大名などの宿泊所で、宿帳には赤穂城主・浅野内匠頭長矩も4回泊まったと記されている。門の横の椿が毎年五色の花を咲かせたことから「椿の本陣」とも呼ばれる。
宿川原町 3-10
『徒然草』に登場する虚無僧が果し合い!?
ぼろ塚
『徒然草』第115段に「敵同士のぼろ(虚無僧)が果し合いをして両方とも討ち死にした」という話が。その舞台がここ!
南清水町 1
街道のまわりは古墳スポット
茨木は、5世紀ごろ王権が開発を進めた三島地域の一部で、約700基もの古墳がある。西国街道周辺には紫金山古墳や青松塚古墳、海北塚古墳などが。足をのばせば将軍塚古墳、将軍山古墳、太田茶臼山古墳も。
市民モデル募集中!
市の広報誌やSNS、動画などさまざまな広報物に登場してみませんか? 詳しくは市ホームページへ
近所にもある? いにしえスポット。
長い歴史とともに歩んできた茨木には、ほかにも、意外と身近なところに、
時代を超えて残っている場所がたくさんあります。
いつものトンネルは不思議にねじれた明治のレンガ遺跡!
田中の丸また
JR 鉄橋下のトンネルは、実は全国約30カ所しかないという通称「ねじりまんぽ」のひとつ。明治初期の土木技術を伝える貴重な建築遺産で、天井のレンガが上の線路と直角になるよう、らせん状に積むことで強度を上げている。
上泉町 14-15
ここも歴史スポット!
丸また〜JR 茨木駅間にも内部がレンガの3連トンネル、さらに南にも小さなレンガトンネルが
JR 総持寺駅西側の、徒歩や自転車用の川田橋梁も
阪急南茨木駅周辺にひそむ銅鐸デザイン!
東奈良のあたりを歩くとあちこちで見かけるのが、銅鐸をモチーフとしたデザイン。この地は近畿を代表する弥生時代の東奈良遺跡があった場所で、銅鐸の鋳型も出土したことから古代の銅鐸工房があったとされている。
境内あちこちにほら貝のナゾ!?
磯良神社
諸病平癒に霊験あらたかな御神水で知られる通称「疣水神社」。海の神様を祀ることから、神紋はほら貝。境内各所に施されたほら貝を探してみて。
三島丘 1-4-29
江戸時代の数学、解ける?
井於神社
江戸時代ってどんな勉強をしてた? その答えのひとつがここに。拝殿に和算(日本固有の数学)の問題が書かれた「算額」が。予約すれば見学 OK。遠方からも見に来るそう。
蔵垣内 3-5-15
茨木城よりも歴史の古い城がある!
茨木には茨木城以外にも10以上の城が。たとえば太田城の城主は、『平家物語』によると源義経と茨木の地で戦って敗れたのだそう。各城の物語は城跡の説明板に。
茨木の歴史をもっと楽しむなら!
リニューアルを続ける
文化財資料館がおもしろい!
1階展示室が4つのエリアに!
この秋、茨木の通史の展示も!
昨年から少しずつリニューアルを続けている文化財資料館が、今年は常設展示の構成を変更。雰囲気もガラリと変えて、秋のテーマ展と企画展を行います。
テーマ展は、先人が遺した文化財を通じて、旧石器時代から近現代までの茨木の歴史を通観、再発見できるよう工夫したもの。企画展では、水をめぐる茨木の災害史を展示します。
第38回テーマ展は10月1日から開催
文化財資料館
東奈良 3-12-18
電話 634-3433
午前9時〜午後5時/火曜日・祝翌日休
※火曜日が祝日の場合、祝翌日が日曜日の場合は開館
文化財資料館 館長 黒須靖之
資料館にもぜひお越しください
参加者募集!
在郷町の魅力を親子で体験するまち歩きツアー
特集ページで紹介している在郷町の歴史スポットを、古いまちなみの写真と見比べながら親子でめぐってみませんか?
在郷町に住む人などからの提供による「古きまちなみ写真展」も同時開催。
問合先、電話 620-1660(都市政策課)
親子でめぐる在郷町今昔まち歩きツアー
日時:11月5日(土曜日)
(1)午前10時〜正午 (2)午後2時〜午後4時
対象:市内の小学3年生〜6年生と保護者
定員:各回10組(多数の場合抽選)
在郷町古きまちなみ写真展
日時:11月5日(土曜日)~19日(土曜日)
午前9時~午後8時(日曜日除く)
場所:茨木にぎわい亭 駐輪場
※写真は市ホームページにも掲載
都市政策課 中島 航
まちの真ん中に残る歴史を再発見しませんか
詳細・申し込みは市ホームページ参照