広報いばらき

川端康成と茨木

日本人初のノーベル文学賞受賞作家で本市名誉市民である川端康成と茨木とのかかわりについて紹介します。問合先、川端康成文学館 電話625-5978

茨木を舞台とした作品集『川端康成と茨木』

 茨木を舞台とした川端康成の作品集『川端康成と茨木』をリニューアルしました。表紙を一新し、収録作品も追加して、157頁から195頁へと大幅に増量しています。今回新たに追加した三作品について、ご紹介します。

(1)『生徒の肩に柩をのせて』:大正6年(1917年)1月29日に亡くなった旧制茨木中学校(現府立茨木高校)の英語教師・倉崎仁一郎の葬式の様子を、当時5年級だった川端が描いた作品。生徒たちが中心になって執り行われた葬儀の様子を、淡々と伝えています。

(2)『倉木先生の葬式』:作家となった川端が、倉崎先生の葬式について昭和2年(1927年)に発表した小説。大衆雑誌『キング』に掲載されたこともあり、広く読まれました。その後も川端は倉崎先生の葬式について、昭和24年(1949年)に『師の棺を肩に』を執筆しています。『川端康成と茨木』では、川端が茨木中学校で経験した倉崎先生の葬儀について、18歳の時に書かれた『生徒の肩に柩をのせて』、28歳で書かれた『倉木先生の葬式』、50歳で書かれた『師の棺を肩に』の三作品を読み比べることができます。

(3)『師の棺を肩にした者』:茨木中学校の同窓会「久敬会」の会報に寄せられた川端のエッセイ。『倉木先生の葬式』を読んでいた加藤逢吉校長が、倉崎先生の十七回忌に合わせて、寄稿を依頼しました。川端の原稿は製本作業に間に合わず、別刷りの挟み込みとして配布されました。小説では描かれない、川端の倉崎先生への思いを垣間見ることができます。

 他にも、川端が「ふるさと」茨木について書いたエッセイ『私のふるさと』の自筆原稿画像全5枚を掲載しています。発表時に大きく削除された箇所に綴られた川端の「ふるさと」への思いをぜひご覧ください。

 『川端康成と茨木』は、川端康成文学館受付で販売します。郵送でのご購入も可能です。詳細は市ホームページをご覧ください。