広報いばらき

特集 大阪北部地震から一年 今備えよう

 昨年6月の大阪北部地震では、住宅被害が10,000棟を超えるなど、多くの被害を受けました。今後発生が予測されている南海トラフ地震等の被害は、さらに大きくなるものと考えられています。地震発生から一年が経とうとしている今、この地震の経験を踏まえ、今からできる備えをしていきましょう。

問合先 危機管理課 電話620-1617

あの日から一年

当時の被害状況

 6月18日、午前7時58分、震度6弱の揺れが本市を襲いました。その後、約1か月間は震度1以上の余震が61回(うち震度3以上6回)あり、不安な日々が続きました。

 今回の地震は、都市部を直撃したこと、また通勤・通学の時間帯に起きたことで、多くの方が駅周辺から動けなくなったり、電車内に閉じ込められたりし、市民生活に大きな影響を及ぼしました。

 また、市内ではガス・電気などのライフラインへの影響や屋根瓦が落ち、塀が崩れるなどの被害も発生しました(下記参照)。被害が生じた家屋は、99%が一部損壊とされる規模でしたが、市内の広範囲にわたって発生しました。

人的被害
死亡1人、負傷102人(重傷50人、軽傷52人)

家屋被害
全壊3棟、半壊95棟、一部損壊13,510棟

ライフライン
電気 約5,500戸で停電
ガス 64,254戸で供給停止
水道 断水なし、私有地内等約600戸で漏水

大阪北部地震での市内被害状況(3月31日時点)

地震の教訓を次に活かす

 日本は地震が多い国であり、またいつ起きてもおかしくありません。30年以内に70%〜80%、50年以内に90%と高い確率での発生が予測されている南海トラフ地震は、市内だけで全壊の家屋が約400棟、負傷者が約650人と、大阪北部地震よりもさらに大きな被害が予想されています。

 昨年地震を経験したからこそ分かることも多くあるはずです。備えをするかしないかで被害の状況が大きく変わります。いつ起きるかわからない災害に備えて、家具の固定や備蓄、地域の訓練等に参加するなど、今一度、自分の備えを見直しましょう。

Interview
被害がなかった家庭でも備えることが大切

関西大学社会安全学部教授 越山 健治さん

 大阪北部地震は、地震規模がマグニチュード6.1の地震でした。この規模は日本付近で月1回程度起きており、発生自体珍しいものではありません。ただし、震源が浅く最大震度が6弱と大きかったこと、揺れた地域が都市部であったこと、平日朝方の通勤・通学時間帯であったことから、鉄道やライフラインが停止し、社会的な混乱が生じた点が特徴です。また、家屋被害では一部損壊や家具の転倒等の被害が多数発生した点も忘れてはいけません。個々の被害程度は過去の大震災と比べると小さく見えますが、万単位の被害が発生するということは、地域全体で被害が発生しているということです。個人の問題だけ考えるのではなく地域全体のことも考えなければいけません。

 今回の地震はたまたま規模が小さく、過去の神戸や熊本のような甚大な家屋被害が発生する事はありませんでしたが、「ここは危なかった」「これがあったらよかったのに」など、それぞれの家庭で多くの「気づき」があったのではないでしょうか。目立った被害がなかった家庭でも「うちは大丈夫だったから安心」と考えず、家具の転倒防止や家の耐震化、気になる部分の補修など、今回の経験を踏まえて、覚えているうちに「できること」を実行して欲しいと思います。震度6弱の揺れを経験すること、その地域に身を置くことはあまりないことです。また、次に経験する地震が、より大きな揺れになることも十分に考えられます。今回の地震を経験したからこそわかる教訓や知識を、ぜひ今後に活用してください。

災害への備えをはじめましょう

 今月の広報誌には「わが家の防災行動シート」を挟み込んでいます。チェックリストや次ページのクイズと合わせて、事前に備えておくべきことを確認し、家族で必要なことを話し合っておきましょう。

わが家の防災行動シート

 このシートは、大規模な自然災害が起きたとき、または起こりそうなときに、「いつ」「どこへ」「どのように」行動を取るべきかを解説し、いざというときに家族が同じ行動を取ることができるようにするために作成しました。家族で話し合いながら緊急時の集合場所などを記入し、みんなの目につく場所に置いておきましょう。

シェイクアウト訓練

 大阪北部地震が発生したちょうど一年後の、6月18日、午前7時58分に、おおさか防災ネットの防災情報メール(「その他防災情報」を登録要)から、同訓練の通知が来ます。周囲の安全を確認し、「姿勢を低く、頭を守り、動かない」という身を守るための基本的な動きを、メールが届いたその場で行いましょう。

防災チェックリスト

 下記のチェックリストで、非常時の家族の集合場所は決まっているか、家具の配置の仕方は安全かなど、改めて家族みんなで確認しておきましょう。

安否・避難確認
非常持ち出し品例
家の中の安全確認
住宅の耐震性など

おおさか防災ネット

 自動的にメールで防災情報をお知らせします。touroku@osaka-bousai.netに空メールを送信してください。

※迷惑メールの設定にご注意ください。

自動的にメールでお知らせ

地震に備えて

避難行動をイメージしておく

 昨年の地震の際、皆さんは思った通りの行動が取れましたか。大きな地震が起きたときに、急にその場で考えて行動することは簡単ではありません。自分や家族の防災行動を話し合いながら、どのような行動をとることが最適か、また、どこに集合し、どこの避難所に行けばいいのか、何を持っていくのかなど、事前に確認し、イメージしておくだけで、実際に地震が起きたときの迅速な行動につなげることができます。

大切な命を守るために

 「しばらく地震はこないだろう」、「もし起こってもそれほど大きな被害はないだろう」と安易に考えていませんか。次の地震がいつ起こるのか、またどれくらいの規模で起こるのかは誰にもわかりません。

 しかし、次に地震が起こったとき、事前の準備や適切な避難行動などに関する知識があなたの命を守ります。防災ハンドブックを見たり、避難訓練に参加したり、小さなことからでも具体的に行動を起こすことは、きっといつかあなたやあなたの大切な人を守ります。大阪北部地震を経験した私たちだからこそ気が付く対策もたくさんあるはずです。

 大規模な自然災害が起きても、被害を最小限に抑えられるように、今から行動に移しましょう。

 防災の知識に関するクイズに挑戦してみましょう。

あなたはどれだけ知ってる?
クイズで防災診断

 昨年の地震や台風では、自宅の電気やガスが止まって困った方も多いのではないでしょうか。災害は地震以外に、水害や土砂災害などもあり、それぞれが起きた時に取るべき行動等を確認しておくことが大切です。下記のクイズで防災への理解度を確認しましょう。

 下記のクイズはどれも災害時に役立つことばかり。一緒にやってみましょう!

Q1 1人あたりに必要な飲料水の備蓄は、1日何リットル?

A 1リットル
B 3リットル
C 5リットル

Q2 非常用持ち出し袋の置き場所として適切でないのは?

A 取り出しやすい物置
B 押し入れ
C 玄関

Q3 次の情報のうち、最も緊急性が高いのは?

A 災害発生情報
B 避難指示(緊急)
C 避難準備・高齢者等避難開始

Q4 避難するとき、必要な情報はどこから手に入れる?

A 自分の勘を頼りにする
B 携帯やラジオから情報を集める
C 近所のうわさなどで情報を手に入れる

Q5 携帯から緊急地震速報が流れた!まずどうする?

A 非常用持ち出し品を探す
B 急いで家から出る
C テーブル下に移動し、身の安全を図る

Q6 エレベーター内で地震に遭った時の正しい行動は?

A 目的の階まで待つ
B 緊急ボタンを押す
C 全ての階のボタンを押す

Q7 災害時にメールで情報をお知らせしてくれるサービスは?

A 災害用伝言ダイヤル(171)
B おおさか防災ネット
C 防災気象情報提供ウェブサイト

Q8 家から避難するときに、まず避難する先は?

A 地域で集合できる場所へ
B 指定避難所へ
C なるべく遠くへ

Q9 災害が発生した時にあったら役に立つものはどれ?

A 懐中電灯
B 携帯ラジオ
C ガスコンロ

Q10 地震に備えて家でできる正しい備えはどれでしょう?

A 家具は窓際に配置する
B 家具等が倒れないようにする
C 物は床に置かずできるだけ家具の上に置く

 間違えた所は下記の説明を読んで、復習しておきましょう!

クイズの答え

Q1 B

最低でも3日分、できれば7日分は用意しておきましょう。

Q2 B

すぐに持ち出せるように出口に近い場所に置きましょう。また家が被害を受けても取り出せる場所も検討しましょう。

Q3 A

発令されると、命を守る最善の行動をとる必要があります。

Q4 B

デマに惑わされないように市ホームページやラジオなどから正確な情報を得るようにしましょう。そのためにも非常用のラジオを準備しておきましょう。

Q5 C 

すぐに飛び出すと落下物や割れたガラスの破片などで負傷する恐れがあります。まずは揺れに備え安全な場所に移動しましょう。

Q6 C

全ての階のボタンを押し、最初に停止した階で、周りの状況をよく確認してから降りるようにしましょう。万が一、閉じ込められた場合は緊急ボタンを押しましょう。

Q7 B

登録すると指定した地域の気象警報・注意報や避難情報、地震情報が届きます。

Q8 A

大規模な地震が発生したら、開設に時間のかかる指定避難所ではなく、まずは安否確認や応急救助が出来る、近くの公園など地域で集合できる場所に避難しましょう。その後、自宅に被害があって戻れない人などはまとまって指定避難所へ避難しましょう。

Q9 全て正解

どれも災害時に役立ちます。

Q10 B

家具やテレビなどの配置に注意しながら家具を固定するなど、転倒・落下防止の対策をしましょう。

避難勧告等に関するガイドラインが改訂されました

 水害・土砂災害などの防災情報を5段階の警戒レベルにより発信することで、市民の皆さんが情報の意味を直感的に理解しやすくなるようになりました。下記で避難時期・方法を確認しておきましょう。

警戒レベル1、2=気象庁が発表

警戒レベル1
早期注意情報
気象情報等に注意します

警戒レベル2
注意報
避難に備えて避難行動を確認します

警戒レベル3〜5=市が発令

警戒レベル3
避難準備・高齢者等避難開始

避難に時間のかかる人(高齢者、障害者、乳幼児等)が家族の中にいますか?

はい 避難してください

いいえ 気象情報等に注意して、避難を準備してください

警戒レベル4
避難勧告

避難してください 足場が非常に悪いなど、外に出るとかえって危ない場合は、家の中の安全な場所に避難

警戒レベル4
避難指示(緊急)地域の状況に応じて緊急的または重ねて避難を促す場合等に発令

ただちに避難してください 足場が非常に悪いなど、外に出るとかえって危ない場合は、家の中の安全な場所に避難

警戒レベル5
災害発生情報

命を守る最善の行動をとってください 足場が非常に悪いなど、外に出るとかえって危ない場合は、家の中の安全な場所に避難

取るべき行動を確認しましょう。