広報いばらき

特集 あなたを支えるつながりのちから

 6月18日に発生した大阪北部地震。災害時には地域のつながりが一人ひとりを支えるちからになります。そのつながりの核となる自治会をテーマに、さまざまな地域の人にインタビューしました。この機会に地域のつながりの大切さを一緒に考えましょう。

問合先 市民協働推進課 電話620-1604

地域のつながりで安全・安心を守る

茨木を襲った大阪北部地震

 大阪北部地震で、市内では阪神淡路大震災よりも大きい震度6弱を記録し、住宅を中心に多くの被害を受けました。また、ガスの止まった地域などもあり、地震が及ぼすライフラインへの影響の大きさを再認識したのではないでしょうか。

地震発生後の地域の動き

 地震発生後、主に避難所を運営した自主防災会など、多くの地域団体が活躍しました。

 一方、自治会は、各地区で地震に関する情報を地域の掲示板へ貼りだしたり、ご近所同士で声を掛け合ったりしました。さらに、普段から活動が活発な地域では、ガスコンロの貸し借りや支援情報などを口コミで共有するなど、地域の住民は地域で守り、助け合うという活動を実践しました。

災害時は互いの協力が必要

 災害時には、まずは自分の身は自分で守る「自助」が大切ですが、一人ではどうにもならないことがあります。そこで、お互いが協力し合う「互助・共助」が欠かせません。

 声を掛け合うなど地域住民同士がお互い協力し合うことは、安否確認や不安の解消、情報の共有にもつながります。また、地域のつながりが強いほど、災害時の対応力も強くなるため、普段から地域でコミュニケーションをとり、関わりを持っておきましょう。

地域の安全を守る自主防災会

問合先 危機管理課 電話620-1617

 災害時に地域で中心となり、主に避難所運営などを行います。本市では自治会員や民生委員等を構成員として小学校区単位で結成されています。大阪北部地震や7月の豪雨の際にも、行政と連携して避難所運営等を行いました。普段から防災訓練を行うなど、安全な地域づくりに励んでいます。

不安な避難所生活も地域の人たちに助けられました

大池地区在住 西本初代さん

 私は1年ほど前に大池に引っ越したのですが、自治会には入っていませんでした。近所に知り合いもあまりいなかったので、地震発生当時は避難所に行くのをためらっていました。でもやっぱり家にいるのが不安だったので避難所に行くことにしました。避難所では初めて会う人たちばかりで、戸惑いもありましたが、「誰でも来ていいんだよ」と、皆さんがあたたかく受け入れてくれました。また、避難所で生活している人たちも、私が仕事から戻ると「おかえり」と声を掛けてくれたので、避難中もとても過ごしやすく、ストレスもそれほどは感じませんでした。

 話したこともない人にいきなり声を掛けるのは難しく、普段から地域の人と顔見知りになっておいた方が、何かあったときにお互い声を掛け合いやすいということを、今回の地震で実感しました。地域の皆さんに本当に色々と助けてもらったので、私もこれからは地域の皆さんのために地域活動等で役立って恩返しをしていこうと思い、自治会に入ることにしました。世代を超えてみんなが支え合っていけたらいいなと思います。

地震発生その時。大池地区の取組み

 大池地区では、地域の皆さんの不安をやわらげるために、自治会と自主防災会が連携して、ほぼ毎朝10時頃に、地域の掲示板や賛同してくれたコンビニ等の入り口に、行政からの情報などを掲示しました。また、関西学院大学の学生ボランティアと一緒に、大池地区で作った地震に関連する情報を大池地区の全世帯、約6,000世帯に配布しました。こうした情報伝達以外にも、大池コミュニティセンターを中心に避難所運営の支援も行いました。避難所運営では、食事メニューの工夫や、女性の避難者にはできるだけ女性の防災部員から声掛けなどを行うよう配慮するなど、避難所生活でのストレスを軽減するための環境づくりに努めました。

 大池地区自治連絡協議会会長の水原さんは「大池地区として災害対応の実践は初めてだったので、課題も見つかりましたが、今後も「大池はひとつ」という考えのもと、今回見つけた課題等を次に生かせるよう地域みんなで話し合っていきます」と話しました。

つながりは地域活動から

希薄化するつながり

 防災や防犯、子どもや高齢者の見守りなど地域の安全の多くは、つながりによって支えられています。しかし、核家族化の進展や、地域との関わりが面倒だと感じる人の増加などにより、あいさつやちょっとした会話でさえ減ってきているのが現状です。

つながりを高める地域活動

 現在、市内には約500の自治会があり、約6割の世帯が加入しています。各小学校区では、自治会を中心とする地域の各種団体が協力して、ふるさとまつりや地区体育祭など、各地域で特色のある行事が行われています。市内全地域で行事が行われるのは全国的にも珍しく、これらの活動や行事を通して、地域の人同士が顔見知りになり、自然と地域のつながりを強めています。

自治会の加入から地域とのつながりを

 時代の変化とともに環境が変わる中でも、自治会をはじめとする多くの団体が、まちのため、地域のためにと活動しています。

 例えば、こども会や老人クラブがあります。そして自治会では、地域の防災や防犯、環境美化など、地域の安全・安心のための活動を助け合いながら行っています。

 今回の地震で改めて、地域のつながりの大切さがわかりました。いざという時あなたやあなたの家族の支えとなるのは地域です。災害等に備え、支え合える心強い地域をつくるため、まずは自治会等の地域活動に参加するなど、できることから始めてみませんか。

自治会活動を通して地域の人と顔見知りに

中津校区自治会連合会会長 浦川勝己さん

 10年ほど前に退職してから、地域により貢献をしたいと思い、自治会等の役員を務めてきました。現在は、中津校区自治会連合会会長と中村町の自治会長を兼任しています。中村町は865世帯が加入している大きな自治会で、私たちと14人の区長等の役員を中心に、楽しくお互いが関わって助け合える、安全・安心なまちをめざして日々活動しています。

 中村町は自治会単独で運動会をしていて、毎年約200人が参加します。自治会単独で運動会を行うのは市内でも珍しく、昨年からは地域に住む立命館大学の学生とのつながりから、たくさんの学生たちが参加してくれてますますにぎわっています。ほかにも、2月にこども会と一緒にもちつき大会を毎年開催するなど、さまざまな活動を通して地域のつながりを高める機会にしています。

 このように普段から地域の人と顔見知りになる機会が得られる自治会活動は、本当に大切です。先日の地震の際には、町内の高齢者を中心に会員の安否確認を行いましたが、皆さん自主的に声を掛け合っていました。その光景を見て、普段からさまざまな自治会活動をしていてよかったなと感じています。これからも自治会の活動を続けていき、今よりもっと地域の人がお互い助け合っていけるまちにしていきたいと思います。

地域活動に参加しよう

 自治会については、住んでいる地区の自治会長等を通じて加入するか、市民協働推進課にご相談ください。また、以下に自治会以外の地域団体の一部を紹介します。加入する場合は、住んでいる地区の各団体の会長等にご相談ください。相談先が分からない場合は各担当課にお問い合わせください。

老人クラブ

 地域の高齢者が自主的に結成し、生きがい・健康増進・社会奉仕・仲間づくり等の活動を行っています。

対象 主に60歳以上の市民、問合先 地域福祉課 電話620-1634

こども会

 創造性・協調性・実践力を養い、自ら学び考える「生きる力」を身につけることを目的に、地域の子どもが、遊びを中心とする異年齢の集団活動を行っています。

対象 主に小学生、問合先 社会教育振興課 電話622-5180

こども会で子ども同士、親同士がつながれる

緑ヶ丘こども会会長(西小学校区) 児玉 夢さん

 こども会では、色々な活動を通して、子ども同士、親同士のつながりができます。子どもにとっては学年を越えた縦のつながりができ、そこから多くを学ぶことで成長にもつながります。また、つながりによってたくさんの親に見守ってもらうことができ、子どもが安全に暮らせると思っています。親にとっても、幼稚園や中学校の制服を譲り受けたり、色々な情報を共有できたりします。地震ではガスが止まった際、こども会のママ友たちから「業者がガスの開栓に回っているよ」と教えてもらって、とても助かりました。また、ガスコンロの貸し借りで頼り合うなど、つながりが発揮できた場面だったと思っています。