広報いばらき

特集 安全と信頼の水をあなたに

〜茨木の水道の未来〜

 市域で水道水の供給を始めて約90年。以来、安全で安心な水道水を供給してきた水道事業は今、水需要の減少や水道管等の老朽化などの課題に直面しています。これらの課題に対応し、これからも皆さんの暮らしを支えていくため、市では4月に「市水道事業ビジョン」を改定しました。今回は改定したビジョンに沿って、水道の未来を紹介します。問合先 水道部総務課 電話620-1690

安全・安心な水を届ける水道事業

茨木の水道

 市の水道事業は、昭和4年(1929年)に、約1万人への給水を目標に、茨木町営水道として始まりました。それまでは井戸水が一般的で、水質や衛生面で課題がありましたが、水道水の普及により、そういった課題は解消されました。

 その後、人口の増加に伴って水需要が増加し、浄水場等の水道施設の増設や水道管の布設等を重ねてきました。現在、市内には茨木から青森まで達する長さに相当する約800キロメートルの水道管が張り巡らされていて、約28万人に安全・安心な水を届けています。

水需要の減少と水道管等の更新需要の増加

 これまでは人口の増加に伴い、水道事業の拡張を進めてきましたが、市の人口が減少へと向かう今後、水道の利用者である給水人口も2021年度をピークに減少に転じる見込みです。また、近年の節水機器の普及等により、水需要は一層減少することも予測されています。水需要の減少は、水道料金収入の減少に直接つながり、水道事業の経営状況が厳しくなることが予測されます。

 さらに、2034年度には老朽化した水道管の更新がピークを迎えるとされ、水道管や水道施設の維持・管理等への資金の確保が必要になります。

市水道ビジョンを改定し市水道事業ビジョンに

 このような課題に対応するため、2009年に策定した「市水道ビジョン」を、4月に「市水道事業ビジョン」に改定しました。

 市水道事業ビジョンは、2018年〜2027年度の10年間を計画期間として水道事業の将来像を掲げ、将来においても、これまでと同様に安全・安心で信頼される水道を維持できるよう「安全と信頼を未来につなぐ水道の実現」を基本理念としています。

 取り組む施策は、国の示す政策課題「安全」「強靭」「持続」の3つの観点を踏まえています。次に、この3つの観点に対応するための施策の一部を紹介します。

Interview

未来のために準備を

立命館大学政策科学部特別任用教授 仲上健一さん

 今、全国的に水道事業は転換期を迎えています。これまでは人口の増加に伴って水道事業の拡張を行ってきましたが、これからは人口減少の時代に入ります。それにより、水道事業も拡張の時代から、維持・管理が重要な時代になっています。維持・管理には膨大なお金が必要です。一方で、人口の減少は水道水の供給量の減少につながり、水道料金収入の減少に影響します。つまり、日本全体で、水道事業が厳しい時代を迎えることになります。これは茨木でも同じ状況でしょう。

 今回、茨木では水道事業ビジョンが改定されました。私も改定に携わりましたが、今から未来のために、ビジョンすなわち将来像を考えて準備することはとても大切です。しかし、これはあくまでもビジョンであって、今後、厳しくなるであろう財政運営に対して、何からコストダウンを図るのか、どのような数値目標を立てるのかなど、より具体的な施策を練っていく必要があります。水道事業が変わっていく今、皆さんにも水道のさまざまなことについて関心を持ってほしいです。

水道コラム 知っていますか?

茨木の水道料金は安い

 本市の水道料金は標準的な一般家庭の平均である、口径20ミリのメーターで1か月に20立方メートルを使用した場合2,376円です。北摂7市の中では2番目に、府内でも5番目に安くなっています。

(※各項目、市名、水道料金(4月1日現在)の順で)

吹田市
2,311円

茨木市
2,376円

高槻市
2,376円

豊中市
2,451円

池田市
2,602円

摂津市
2,728円

箕面市
2,958円

水道水は安全な飲料水

 水道水は水道法で定められた51項目の基準を満たさなければ供給できません。市では毎日、水道水の水質を検査していますので、安心して飲むことができます。また、市販のミネラルウォーターと比べてもとても安価です。

ビジョンに示すこれからの水道事業

 「市水道事業ビジョン」で示している、「安全」「強靭」「持続」の3つの観点から取り組む施策の一部を紹介します。なお、ビジョンの詳細は、市ホームページまたは情報ルーム・各図書館・北辰出張所で見ることができます。

安全 キレイで安全な水の供給

いつでもどこでも安全においしく飲める水道水を、将来にわたって届けます。

24時間365日、水質等を監視

 水道水を安定して供給するため、十日市浄水場中央監視室では、24時間365日体制で水道施設の運用や市内の水質に問題がないかを監視しています。なお、平成12年度に導入した中央監視設備をリニューアルし、今年度から運用しています。

持続 バランスの取れた事業経営

給水人口や給水量が減少すると予測される将来においても、健全で持続可能な水道事業の実現をめざします。

サービスの向上

 手続き等の利便性の向上を図るため、クレジットカード払等の料金支払方法の多様化や、各種申込の電子化等を検討します。また、定期的にアンケートを実施することで利用者のニーズを把握し、今後の計画等の参考にします。

経営基盤の強化

 減少する水需要を見込んだ水道施設の統廃合や、サイズダウン等を加味した更新計画の策定、窓口業務の民間委託を検討するなど、より一層の効率化を図り、経営基盤の強化に努めます。

強靭 ライフラインとして必要な強さの確保

大規模地震等による被害を最小限にとどめ、被災した場合であっても迅速に復旧できる、強くしなやかな水道を実現します。

水道管等の耐震化

 老朽化した水道管や水道施設の更新・耐震化を計画的に行います。更新する水道管は100年使用でき、地震の揺れでも管の継ぎ目が離脱しにくい耐震管を採用しています。また、人命の安全確保を図るため、特に水道水を必要とする、重要給水施設(救急病院や応急救護所が設置される学校等)への水道管を優先的に更新・耐震化していきます。

城の前町から庄一丁目で水道管布設工事

 区間で更新・耐震化を進めている水道管布設工事は、市街地東部約10万人分の給水を担うもので、来年中に完了する予定です。工事はシールドマシンを用いて、地下の固い地盤をトンネル状に掘り進むシールド工法を採用。この工法は地盤沈下が起こりにくく周辺の環境に影響を与えにくいことが特徴です。

訓練等による危機管理体制の強化

 地震等で水道管等が被害を受け、給水できなくなった場合に備え、応急給水訓練等を自衛隊や関係機関と連携して行います。また、災害時に備えて、応急給水場所を市ホームページ等で市民に周知します。

茨木の水道の未来

市水道事業経営戦略の策定

 市では、「市水道事業ビジョン」で掲げた、水道事業の将来像、目標を実現し、予想される厳しい財政状況に対応していくため、今年度に、「市水道事業経営戦略」を策定します。経営戦略では、水道管等の更新などさまざまな投資に対する費用の試算と、水道料金収入等の財源に対する試算を均衡させた収支計画を定め、経営のさらなる健全化に取り組みます。

未来もずっと安全な水を

 市は、ビジョンの改定を行い、さらに経営戦略を策定し、戦略を実行していくことで安全な水道水を供給し続けます。今後も、より一層市民から信頼されるような水道づくりを推進していきます。

 8月には、未来へと歩みを進める茨木の水道を知る機会として、「いばらきの水かふぇ」を開催します。ぜひお越しください。

いばらきの水かふぇ 市制施行70周年関連イベント

水道の事、もっと知りませんか?

とき
8月3日(金曜日)、午後3時〜7時、4日(土曜日)・5日(日曜日)、正午〜午後5時
ところ
いばらきスカイパレット(JR茨木駅東口駅前広場)
内容
水道水とミネラルウォーターの飲み比べ、水道事業の紹介(地震に負けない水道管、危機管理の取組み、水道水ができるまで)、飲み物等の販売(シルバー人材センター等)ほか