広報いばらき

特集2 命を救う応急手当

 もしも目の前で誰かが倒れていたら、あなたはどうしますか。救急の場面では、適切な判断・手当が重要です。いざというときに大切な命を救うために、応急手当の知識を深めましょう。

問合先 救急救助課 電話622-6959

あなたの行動が命を救う

あなたの行動が救命のカギ

 急病や事故など、救急の場面に居合わせたら、あなたの行動が救命のカギになります。

 人は心臓が止まってから15秒以内に意識がなくなります。119番通報することで救急隊員が現場に向かいますが、救急隊員がその現場に到着するまでの間に、心臓や呼吸が止まった人に何も手当をしなかった場合と、居合わせた人が応急手当を行った場合では、命を救える可能性が変わり、また、その後の社会復帰の可能性も大きく変わります。

 正しい応急手当の知識を身に付け、迅速な手当を行うことで、後遺症を防ぎ、命を救うことができます。

AEDだけが応急手当ではない

 応急手当はAEDを使用することのみで良いと思っている人が多いかもしれませんが、AEDと平行して、胸骨圧迫(心臓マッサージ)などの心肺蘇生を行うことが重要になります。救急隊員が到着するまでの間、私たちにできる正しい応急手当の手順を、次のページで確認しましょう。

いざという時のための応急手当のやり方

1 反応と呼吸を確認助けを呼ぶ

 周囲の安全を確保し、耳元で声をかけながら肩を軽く叩き、意識があるかを確認をします。10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを確認し、また呼吸が苦しそうではないかを確認します。呼びかけなどに反応がなければ119番通報とAEDの手配を近くにいる人に求めます。

ONE POINT
知らない人でも互いに協力を

119番通報とAEDの手配を分業することでき、何よりも協力者がいることで落ち着きを取り戻すことができます。

2 心臓マッサージ人工呼吸

 両手を重ねて胸の中心を圧迫します。1分間に100~120回のテンポで、約5㎝沈むほどしっかり圧迫します。次は人工呼吸を行います。あごの先を指先で持ち上げ、気道を確保します。鼻をつまみ、胸が膨らむ程度に、息を約1秒かけて吹き込みます(人工呼吸はためらう場合は省略可)。

ONE POINT
意識が戻るまで続ける

AEDで電気ショックをした後に、心臓マッサージ等をやめてしまうケースがあります。電気ショックの有無に関わらず、意識が戻らなければ、救急隊員の到着まで必ず続けましょう。

3 AEDの使用

電源を入れ、音声ガイドに従って電極パッドを傷病者の胸に貼ります。AEDが自動的に心電図の解析を行い、電気ショックが必要と判断したら、誰も傷病者に触れていないことを確認し、ショックボタンを押します。意識が戻らなければ、心臓マッサージ等を再開します。

ONE POINT
新型のAEDもあります

一般的に知られている、電極パッドが2枚に分かれているAEDのほかに、新しいタイプのAEDも普及しています。音声ガイドに加え、モニターのイラスト等で心肺蘇生の手順を確認できます。

Interview 1
あなたが生きている喜び

大池に住むAさん(20歳)は中学生の時、突然倒れた母親に、父親と協力して懸命な応急手当を行い、命を救いました。その時の様子をAさんに聞きました。

 5年前の11月、2階の自室で勉強をしていると、キッチンから大きな物音がしました。驚いて駆け寄ると母がうつ伏せで倒れており、何度呼びかけても何の反応もなかったので、ただ事ではないと思いました。同じく異変に気付いた父がすぐに人工呼吸を行いました。懸命に助けようととしている父の姿を見て、自分もできる事をやらなければという気持ちになりました。普段なら動揺して何もできなかったかもしれません。でも、3日前に中学校で、応急手当講習会を受講し、実際に胸骨圧迫の練習をしたばかりだったので、習ったことを落ち着いて、スムーズに実践できました。

 今回このような経験をしたことで、いざというときに大切な命を救うためにも、胸骨圧迫や人工呼吸などの応急手当を学んでおくことは本当に大切だと、身をもって知りました。今後も講習会の内容を忘れないように、定期的に復習をしたり、講習を受講しなおしたりしていきたいと思っています。

 手当をためらわなかったこと、救急隊員が到着するまで続けたこと、協力して行ったこと。今の元気な母の姿を見ると、あの時家族が一致団結し、行動できて本当に良かったと思います。自分たちの勇気と行動で大切な命を救えることを、より多くの人に知ってもらいたいです。

Interview 2
勇気を出して手を差し伸べる

救急救助課(救急救命士)大玉拓男

 昨年の市内における傷病者の第一発見者が、胸骨圧迫や人工呼吸を必要とする場面で、それらを実施した割合は約50%となっています。偶然でも、救急の場面に居合わせた場合、あなたの行動で大切な命を救える可能性を高めることができます。経験のない手当をするのはだれでも緊張するものですが、まずはためらわずに、自分のできる範囲で応急手当を行ってください。応急手当のやり方がわからなくても、救急隊員が119番の電話を通じて、しっかり伝えます。あわてず指示を聞きながら、応急手当を行ってください。

 実際に心肺停止などに陥った人の中で、社会復帰できたケースは、偶然近くに居合わせた人が、迅速に応急手当を行った場合が多くなっています。応急手当を行うことは、後遺症を防ぎ、命を救うための重要な要素です。そのため、倒れている人を見かけたら、勇気を出して手を差し伸べることが非常に大切になってきます。救急現場にあなたが居合わせたら、私たち救急隊員が到着するまで落ち着いて応急手当を行い、大切な命をつないでください。あなたと私たちの連携プレーで、大切な命を救いましょう。

大切な命を救うために

あわてない気持ちが大切

 実際に救急の場面に直面すると、気が動転してしまうことがあります。あわてず落ち着いて、まず119番に通報してください。現場の情報はどんなに小さなものでも、現場に向かっている救急隊員の到着後の処置などに役立ちます。1分1秒を争う緊急事態では、なるべく冷静に、救急隊員の質問に答えるように心がけ、協力して大切な命を救いましょう。

日頃の準備が命を救う

 緊急を要する時に、瞬時に適切な対応を行えるようになるために、実際に応急手当の体験をすることが大切です。市では、市民の皆さんに応急手当の正しい方法を身に付けてもらうために、応急手当講習会を開催しています(下記参照)。一度参加したことがある人でも、新たな発見や、手順の復習をすることができますので、定期的に受講しましょう。

応急手当講習会
とき
毎週土曜日・日曜日
対象
市内在住・在勤・在学者
内容
下記参照
備考
詳細はお問い合せください。パソコンで受けられる「応急手当Web講習」もご利用ください。
申込
救急救助課 電話622-6959 FAX621-0119 メールアドレスo40000091@osaka.qq-net.jp、市ホームページ・から電子申込も可
救命入門コース(90分)

胸骨圧迫とAED の使い方・実技体験

普通救命講習(3時間)

心肺蘇生法(一人法)、止血法、AEDを使用した心肺蘇生法など

上級救命講習(8時間)

普通救命講習の内容に加え、心肺蘇生法(二人法)、小児・乳児・新生児を対象にした心肺蘇生法、熱傷の手当、搬送法など

自分にできる救命処置を

 万が一、誰かが倒れていたら、あなたはまず何をしますか。瞬時に行動に移すためには、普段から少しでもそういった状況を意識しておくことが大切です。大切な命を救うためには、救急隊員や医療従事者の力だけではなく、あなたの協力が必要不可欠です。偶然居合わせたあなたの行動で、命が救われる可能性を高めることができます。たとえその人があなたの全く知らない人だとしても、落ち着いて、勇気を持って行動してください。突然の救急の場面でも、大切な命を救うことができるように、この機会に応急手当の知識を深めましょう。

AEDの場所を確認しよう

 自分の住んでいる地域や普段よく行く場所などのどこにAEDがあるのかを確認しておきましょう。AEDは図書館や体育館など市の公共施設153か所に設置しています。消防署・分署のAEDは、24時間使用できるようになっています。その他設置場所の詳細や使用可能時間は市ホームページまたは消防署・分署で配付している「市公共施設AED設置一覧表」で確認してください。

応急手当をした人の悩み相談窓口

 応急手当を実施したことで心的ストレスがかかり、不安を抱いたり気持ちの落ち込みなどが生じることがあります。これらの症状は時間とともに緩和していきますが、悩みがあればご相談ください。なお、傷病者の個人情報に関することはお答えできません。問合先 救急救助課