広報いばらき

特集 大雨に備えて

 6月になり、雨が降りやすい季節を迎えました。近年の異常気象により、ゲリラ豪雨や台風が全国各地で大規模な水害・土砂災害を引き起こし、多くの犠牲者が出ています。本市においては、昭和42年に起こった北摂豪雨によって大きな被害に見舞われた経験があります。被害を最小限に抑えるためには、日ごろの備えや避難行動の確認が大切です。改めて皆さんで水害・土砂災害に対する防災について考えましょう。

問合先 危機管理課 電話620-1617

知識が命を守る

 梅雨を前に、水害・土砂災害などの怖さや、いざというときの避難行動などについて、今回は、災害研究の第一人者で、関西大学特別任命教授の河田惠昭さんにインタビューしました。

茨木は地形的に雨が多い

 茨木の水害といえば、昭和42年の北摂豪雨災害を思い出す人も多いのではないでしょうか。茨木は地形的に雨が降りやすく、特に6月から10月までは梅雨前線や台風などの影響で大雨になりやすい特性があり、当時も集中豪雨の影響で、大きな被害を受けました。

 当時に比べて、安威川の堤防などの整備は進んでいますが、近年の異常気象により、北摂豪雨を超えるような大雨が降っても不思議ではなく、それ以降大きな被害がなかったことは幸いであったと思うべきでしょう。昨年は、北海道に一週間で3つも台風が上陸するなど、普段大雨の少ない地域でもこれまでにないような水害・土砂災害が発生しています。今後茨木でも、安威川の堤防が決壊し、家が流されるといった不測の事態が起こるかもしれません。大雨が降ったら、どういうことが起きるかイメージすることがポイントです。

大雨が降った時に取るべき行動

 大雨は、ある程度事前に予測ができるので、天候が悪化する前に早めの避難行動が大切です。しかし、道路に水があふれだす状況であれば、歩いて移動するのは危険です。特に、夜間は視界が悪く、慣れた道でも危険です。実際に、そういった状況で避難所に向かい人的被害が発生してしまったこともあるので、状況に応じて自宅の2階など高いところに避難することも考えなければなりません。

 また、山沿いでは土砂災害による被害を避けるため、山と反対側の2階の部屋で身を守るなど臨機応変に行動すべきです。

災害に役立つ知識を

 では、どうしたら臨機応変に行動できるか。それは、災害時に身を守る知識をできるだけ多く習得することです。日ごろから、防災について家族で話し合ったり、インターネットや防災講座などで得た知識が命を守るのです。

 また、障害者や高齢者などは災害時に一人での速やかな避難が困難なので、自分だけで災害に備えるには限界があります。自主防災組織や自治会、PTAなど地域で相談し合い、情報共有をしておくと、知識が増えるだけでなく、災害時に協力しやすいコミュニティにつながるでしょう。

災害の怖さを再確認してほしい

 多くの人は、被災してからはじめて災害の怖さを知ります。被災者の多くが「何十年も住んでいるがこんなことは初めて」と話します。災害とはそういうものです。今一度、災害の怖さを真正面からとらえるべきです。できるなら、被災地に足を運ぶなど、自分の目で見て災害の怖さを知って下さい。そうすることで防災の意識も強くなるでしょう。

 何もしないと災害の怖さや防災への意識は薄れます。防災は継続することが大事です。自分の命を自分で守るためにも防災・減災の知識を増やし事前にあらゆる備えをしておくべきと考えます。

関西大学特別任命教授
河田 惠昭かわた よしあきさん

2002年に人と防災未来センター長に就任。2009年に京都大学名誉教授になり、同年に関西大学の教授に就任。2012年には関西大学社会安全研究センター長に。現在も防災研究の第一人者として全国で講義を行うなど精力的に活動している。

本市の水害

甚大な被害が発生した北摂豪雨

 昭和42年7月に起こった集中豪雨(北摂豪雨)は、1日の降雨量が約250㎜という非常に激しい雨を記録し、市内でも山崩れや河川の氾濫が発生しました。全壊家屋10戸、床上浸水1892戸、家屋等の一部損壊18か所など甚大な被害が出ました。

 当時と比べ、排水設備などの都市基盤は整備されています。また、安威川ダムの建設など水害を防止する取組みを進めています。しかし、絶対に安心ということではありません。近年の異常気象により、北摂豪雨を上回る時間雨量が市内で記録されるなど、水害の危険性は高まっています。

本市の水害の特徴

 本市は、縦に長く、北部は山地、南部は平野になっており、この地形によって、北と南での災害の発生傾向が違います(下記参照)。

 北部では大雨に伴うがけ崩れや土石流、地滑りなどの土砂災害が、南部では市内を流れる安威川や本市に隣接している淀川の氾濫に加え、短時間の集中豪雨などで水路や下水道があふれる内水氾濫などの水害が想定されます。

 このようなことから、住んでいる地域で、どのような災害が起こりやすいのか知ることが大切です。

本市の地形と水害の発生傾向
山地部やがけの近く(北部) 

 土砂災害が起きやすいため、大雨の時は早めに山やがけから離れた場所へ避難することが大切です。

安威川等の河川の近く

 川が氾濫すると、住宅地や田畑などに水が流れ込み、あふれ出す恐れがあります。周りの状況に応じて、近くの高い場所や避難所に避難しましょう。

市街地(南部)

 短時間の集中豪雨などで雨水がたまりやすく、下水道などから水があふれ出す恐れがあるため、道路の冠水や低い土地の浸水に注意しましょう。

水害は予測できる

前もって準備ができる

 水害は、大雨によってもたらされる災害なので、地震などの予期せぬ災害とは違って、天気予報などである程度予測することができます。

 また、事前に大雨が降るとわかっていれば、避難する際に必要なものを前日から準備したり、水害に備えて、どういった行動が必要なのかを確認し、対策をとることができます。

水害に備えて事前に確認しましょう

 皆さんは、災害が起こった時に避難する場所を把握していますか。「そういえば調べていないな」と思った人も多いのではないでしょうか。

 そこで次では、避難場所の確認や、皆さんに知っておいてもらいたい水害への備えを貴田さん一家と、一緒に考えましょう。

実際に事前の準備をしましょう

避難行動を決めておく

 大雨や河川の氾濫、土砂災害などの発生時に、スムーズに避難行動を取るため、どこへ避難するか、自宅がどのような所にあるのかを知っておく必要があります。洪水・内水ハザードマップで、避難場所や地域の浸水の危険度を調べておきましょう。そして、避難場所への経路や所要時間などを実際に歩いて確かめてみましょう。

知識・情報を入手

 災害時には、テレビやラジオ、パソコン、携帯電話などでの最新情報の入手が重要です。事前におおさか防災情報メールなどのサービスにも登録しておきましょう。

家族の状況を確認

 水害は予測できますが、発生の正確な時間までは分かりません。雨の日だけでなく、普段から家族とコミュニケーションをとることで、お互いの予定などを確認し、いつでも連絡がとれるようにしておきましょう。

家周りの点検・掃除

 家の周りの側溝などに落ち葉などが溜まっていませんか。側溝がきれいにされていないと、雨が降ったときに落ち葉や砂などが詰まって水があふれ出し、家への浸水の危険性が高まります。避難の妨げにもなるので側溝などは定期的に点検し、掃除をするように心がけましょう。

避難時の荷物の確認

大雨などの避難時の荷物を用意しておきましょう。

 
あると便利!

大雨が降ったら

自分のいる場所の危険性を確認

 実際に大雨が予想される時は、どのような行動をすればよいのでしょうか。

 まずは、テレビやパソコン、スマートフォンなどで、今後の雨の降り方や、警報・注意報など気象情報を確認しましょう。

避難行動へ

 市は、災害発生の危険性に応じて、避難情報を発表します。

 自分の住む地域に避難情報が発表されたら、事前に準備した荷物を持ち、速やかに避難行動を取りましょう。

 避難所へ行くときは左記の「避難時の心得」をよく読み、できるだけ複数で行動してください。

避難行動は避難所へ行くことだけではない

 しかし、道路に水があふれていると、水の流れに足をすくわれたり、足元が見えにくくなるため、避難所への移動は危険です。

 その場合は、避難所ではなく、自宅の2階など高いところに、また、山沿いの家では山とは反対側の2階の部屋などに移動しましょう。

さあ!!命を守るための行動を

 災害に対しては、雨の降り方などに関わらず「自分は災害にあわない」「自分は大丈夫」と思い込む傾向があります。避難情報などにより速やかに行動することが大切です。

 事前の準備や適切な避難行動などに関する知識があなたの命を守ります。防災について学ぶため、洪水・内水ハザードマップや防災ハンドブックを見たり、防災イベントに参加したりするなど、具体的な行動を今から実践しましょう。

避難時の心得

「浸水が始まる前に」「避難先は自主判断で」「徒歩で」

 自分のいる場所が避難所に向かうより安全と考える場合は、必ずしも避難所に行く必要はありません。

浸水が始まる前に避難を

 浸水が始まると、水深が浅くても足をすくわれることがあり、足元が見にくく側溝などに転落する恐れがあります。夜間はさらに注意が必要です。

避難は自主判断

 気象情報や市が発表する避難情報などの防災情報をもとに、どこに避難するかは自主的に判断しましょう。

避難は徒歩・動きやすい服装・複数で

 歩きやすい運動靴で避難しましょう。車などは渋滞に巻き込まれることがあるので徒歩で移動しましょう。また、助け合えるように複数で行動しましょう。

屋外への避難が 危険だと感じたら
自宅の2階以上の部屋や、山の近くでは山と反対側の部屋に移動して身を守りましょう。

防災知識を身につけましょう

避難情報の名称がかわりました

※高齢者等が避難を開始する段階であるということを明確にするため「避難準備情報」が「避難準備・高齢者等避難開始」に、また、人的被害が発生する危険性が非常に高い場合に発令する「避難指示」が「避難指示(緊急)」に変わりました。避難勧告については名称の変更はありません。

避難準備・高齢者等避難開始

 災害発生が予想されるときに、避難の準備を呼びかけるとともに、避難に時間がかかる高齢者、体の不自由な人、小さな子どもがいる人、その避難を支援する人に避難行動が必要な時に発令します。

 なお、避難場所への避難が困難な場合は、近くの安全な場所へ避難してください。

避難勧告

 災害が発生する可能性が高く、多くの人が避難行動をとる必要があるときに発令します。

 大雨による浸水などで屋外が危険な場合は、屋内の高いところに避難してください。

避難指示(緊急)

 災害が発生している、または災害が発生する危険性が非常に高く、すぐに身を守る行動が必要な時に発令します。

 大雨による浸水などで屋外が危険な場合は、屋内の高いところに緊急に避難してください。

避難情報のお知らせ

おおさか防災情報メール

気象情報や避難情報などの配信サービス(touroku@osaka-bousai.netに空メールを送信)。

市ホームページ、防災行政無線、市facebook、twitterなど

 さまざまな媒体で情報発信を行っています。

防災イベント

身近なもので子どもを守るなるほど防災術

一時保育あり(原則有料、詳細は事前にお問い合わせを)

とき、7月22日(土曜日)、午後1時30分~3時30分、ところ、ローズWAM501・502、対象、子育て中の親、祖父母等、定員、先着60人、内容、子育てグッズを防災グッズとして活用するなど、子育てにも役立つアイデア満載の講座(アウトドア流防災ガイド あんどうりすさん)、備考、一時保育は7月10日までに要申込、申込、7月10日までに、電話でローズWAM 電話620-9920

淀川の洪水情報が緊急速報メールで配信

配信開始:
6月15日(木曜日)から
配信地域:
市内全域
配信情報:
国土交通省から淀川が氾濫するおそれがある、または 氾濫したという情報
問合先:
淀川ダム統合管理事務所 電話072-856-3131

 緊急速報メールは避難情報や災害情報などを市域の携帯電話やスマートフォンに知らせるサービスです。登録は不要ですがご利用の機種により、対応していない場合があります。

防災気象情報WEBサイトを開設

 6月中に、防災気象情報サイトを開設します。注意報・警報、現在の雨量や河川の水位情報など防災に関係する情報を掲載したWEBサイトです。ぜひご活用ください(市ホームページトップから閲覧できます)。

土砂災害警戒区域等の指定が完了

 府内の土砂災害警戒区域等の指定が、昨年完了しました。新たに指定された区域や解除された区域があります。詳細は府ホームページを参照、または7月中に、本市地図情報サイト(いばなびマップ)で公開します。

防災ハンドブックや洪水・内水ハザードマップの活用を

 水害などの災害に備えるため防災ハンドブックやハザードマップを配布しています。危機管理課や情報ルームに設置しているほか、市ホームページでも見ることができます。