広報いばらき

特集 みんなで子育て
~地域で支える茨木の未来~

 「自分の時間がとれない」「子どもがなかなか寝てくれない」など、子育ての悩みはつきることがありません。それに加えて近年では、核家族化の進行や地域での人間関係の希薄化などにより子育て世帯の孤立化も進んでいます。

 5月5日~11日は児童福祉週間です。これを機に、子育てへの理解をより深め、自らできる子育て支援について考え、子育てしやすい環境づくりをすすめましょう。

問合先 こども政策課 電話620-1625

社会とともに変わる子育て

減少する人口進む核家族化

 現在、日本全体で人口が減少し、高齢者の割合が増加しています。本市はまだ少しずつ人口は増加していますが、市人口ビジョンでは、2年後には減少に転じ、全国と同様に、ますます高齢化が進んでいくものと予測しています。

 こうした社会の変化に加え、核家族化が進行し、近所付き合いも少なくなってきています。日常の生活で、子どもと接する機会が少なく、親になるための準備ができないまま、親になる人が少なくありません。中には、初めて触れ合う赤ちゃんが自分の子どもだという人もいるのではないでしょうか。

求められるのは子育てしやすい環境

 平成25年度に、市が子育て中の保護者を対象に行った「市次世代育成支援に関するニーズ調査」の結果では、子育てについて「楽しいこととつらいことが同じくらい」または「つらいと感じることのほうが多い」と答えた人が、全体の約3割もいました。

 また、「楽しいと感じることの方が多い」と答えた人のうち、「子育てをする中で有効だと感じる支援・対策」は「子育てしやすい住居・まちの環境面での充実」と答えた人が4割以上で、最も多い回答でした。その次に「地域における子どもの活動の拠点の充実」「仕事と家庭生活の両立ができる労働環境の整備」と続き、子育てしやすい環境を求める声が多いことが分かります。

「子育てをする中で有効だと感じる支援・対策」の上位回答(複数回答可)

子育てしやすい住居・まちの環境面での充実 約42%

地域における子どもの活動の拠点の充実 約37%

仕事と家庭生活の両立ができる労働環境の整備 約36%

子どもを対象にした犯罪・事故の軽減 約33%

子育ては不安がいっぱい

 「子育てだけでなく、仕事や家事などで忙しく自分のやりたいことができない」「だっこをしてもオムツを替えても泣き止んでくれない」など、子育てには悩みがいっぱいです。

 また、保護者の働き方や家族構成、地域との関わり方など、子育てを取り巻く環境も複雑多様化し、周りの人から受ける影響も小さくありません。そのような中で、どうやって子育てをしたらいいのか不安になってしまう人はたくさんいます。

Interview

木下栄一さん、和花さん、日和さん

 私も今は「親」として育児に関わってますが、「父親が子育て」というと、良くも悪くも特別な目で見られるのはつらいですね。また子育てに関する書類や案内チラシなどの説明やイラストが母親向けになっていたりすると、父親が子育てすることに壁を感じ、関わることに躊躇してしまいます。最近では、そのようなことも少しずつ減ってきてはいますが、父親も母親同様「親」として、子育てに関わることがごく当たり前の社会になるといいな、と願っています。

石河いしこ愛子さん、朋幸さん、浩幸さん、泰幸さん

 子どもを連れて出かけると、いろいろな人が声をかけてくれるので、子どもを通じてまちとつながることができ、嬉しいです。一番下の子はまだ小さくて、よくぐずってしまうのですが、通りがかった人がこの子を見て、「ぐずっちゃうときもあるよね」といった感じで、うんうんとうなずいてくれたことがあります。そのとき私はすごくほっとしました。私たち親子を温かい目で見てもらえて、このまちは子育てしやすい環境なんだなと感じました。

つどいの広場

 つどいの広場は、乳幼児の保護者が集い、子育てや育児について語り合うことができる場所で、市内に15か所あります。事前予約の必要がなく、気軽に通うことができます。また、就学前児童を一時的に預かったり、親子体操・手芸・子育て講座など、さまざまなイベントを実施している広場もあります。

スタッフに聞きました

 私は元々はふくろう広場の利用者でした。市外から引越してきたので、地域での友達作りや子育ての相談でとてもお世話になりました。保護者がリフレッシュできる場所なので、ぜひ一度遊びに来てください。

ふくろう広場 大内久美子さん 葉月さん

こども食堂

 地域のボランティアが運営するこども食堂では、子どもに安価で食事を提供しています。保護者が忙しくて、家で子どもだけで過ごしている小・中学生が集まって、みんなで食事をします。食事の前に勉強する時間や子どもたちが交流する時間などを設けている食堂もあり、子どもたちが安心して過ごせる場所となっています。

スタッフに聞きました

 自分の子どもたちが大きくなり、子育てが落ち着いたので、少しでも役に立てればと思いお手伝いしています。クリスマスにイベントをするなど、ただご飯を食べる場所ではなく、居心地の良い居場所となるよう、工夫をしています。

かるがも子ども食堂 松尾佳芳さん

多世代交流センター

 多世代交流センターは、子どもや高齢者が自由に利用できる施設で、市内に5か所あります。高齢者と子どもたちが趣味などを通じて交流することで、高齢者にとっては健康で生きがいのある人生を過ごすための憩いの場として、子どもたちにとっては、地域の高齢者との交流と体験の場として利用されています。

参加者に聞きました

 小さい頃から将棋が大好きで、子どもたちと将棋を指していたら、とても元気になります。この教室には私自身が楽しくて参加していますが、その時間が少しでも保護者がゆっくりできる時間にもなれば幸いですね。

子ども将棋教室 青木宏一さん

子育てサロン

 子育てサロンは市内各所にあり、主に0~3歳の未就園・学児とその保護者が、仲間を作る場所です。遊んでいる子どもたちを地区福祉委員を中心にボランティアが見守ってくれるので、安心して、保護者同士の交流ができます。

子育てサークル

 子育て中の保護者が、それぞれの地域を拠点に活動する団体です。ふれあい遊びや絵本の読み聞かせなど、さまざまな活動を通じて、保護者同士が交流し、情報交換をしながら、一緒に子育てを楽しんでいます。

ぷらっとホーム

 ぷらっとホームは、地域住民が気軽に相談できたり、集まって話ができたりする、地域の活動拠点です。子育て中の保護者が集まって、おしゃべりや工作など、交流を深めたり、子育ての相談もできます。

子育てのサポート私たちがします

子育て世帯の孤立化を防ぐ

 子育てをしていれば、悩みや心配事があるのは、当然のことですが、その不安を誰にも相談できずに、一人で抱え込んでしまうケースも少なくありません。

 こうした孤立は近所付き合いが少なくなってきていることが原因の一つです。これを防ぐためには、地域での支え合いが必要です。

頼りになる地域の子育てパートナー

 地域で子育て世帯を支援する取組みはたくさんあります。子どもと保護者が集まって、気兼ねなく遊んで、ストレスを発散する場を提供したり、子育ての相談ができる場を設けたりと、支援の形もさまざまです。ほかにも、各小学校の放課後子ども教室で自由遊びやスポーツ・文化活動などを行う地域のボランティア、登下校時の通学路に立って、子どもたちの安全を守る「子どもの安全見守り隊」も大切な子育てパートナーです。

ぜひ一度ご参加を

 「参加したいけれど、勇気がいる」と思っている人もいるでしょう。しかし、参加者からは「もっと早く参加していればよかった」「みんなも私と同じようなことで悩んでいたんだ」との声をよく聞きます。子育て中の皆さん、気軽に遊びに出かける感覚で、地域の子育て支援の場に、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

「子育てしやすい」は「みんなが暮らしやすい」

若い世代も企業も子育て支援

 子育てを応援できるのは大人だけではありません。子どもをだっこしている人の荷物を持ってあげたり、トイレに行きたい保護者の代わりに、少しの間子どもを見てあげたりなど、小・中学生でもできることがたくさんあります。市では若者に対して、子育てに関心を持ってもらうため、さまざまな取組みを行っています。こうした取組みは、子育ての楽しさや大変さを学びながら、自分たちの将来のことを考える機会になっています。

 また、子育てをするうえでは、仕事と家庭の両立も大切です。子育て中の社員が勤務時間の短縮や休暇をとれるように、働きやすい職場の環境づくりに積極的に取り組んでいる企業も増えてきています。

完璧じゃなくても大丈夫

 子育て中の保護者がつらいと感じるのは、その多くが、自分が思い描く理想とは違うと感じるからです。「ほかの人はうまくやっているのに、どうして私はできないのだろう」と悩んだりしていませんか。はじめから完璧な保護者なんていません。みんな失敗してまわりから支えてもらいながら、子どもと一緒に成長していくのです。

みんなが暮らしやすいまちへ

 子育てには、まわりの協力が必要不可欠です。つらそうにしている人がいれば、一声かけてみませんか。悩みがすぐに解決できるようなアドバイスはできなくても、話を聞くことで共感できるかもしれません。共感してもらえれば、つらさが緩和され、心が落ち着き気持ちが軽くなるものです。悩んでいるのは私だけではなかったと気づくきっかけになるかもしれません。

 子育てがしやすいまち。それはきっと、子どもから高齢者まで、みんなが暮らしやすいまち、誰にでもやさしいまちのこと。私たちのまちがそのような温かいまちになっていくよう、ちょっとしたことから取り組み、やさしさであふれるまちにしていきませんか。

Interview

辰巳工業社長 辰巳 毅さん

 若手の社員も増えてきて、子育て中の社員にとってより働きやすい環境づくりが重要になってきました。我が社は製造業で、社員への負担も少なくありません。だから、社員へのサポートは特に大切にしています。福利厚生では、住居手当や家族手当、医療費の自己負担分への補助などさまざまな補助を行っています。金銭面だけでなく、職場の雰囲気づくりにも力を入れています。一人が一つの製造工程しかできないとなると、休暇を取得しずらいので、みんながさまざまな製造工程に携われるよう、職場の管理体制にも配慮し、休暇を取得しやすくしています。プライベートが充実しなければ、仕事に身が入らなくなりがちです。若い力が会社を引っ張っていけるよう、今後も社員へのサポートに力を入れていきたいです。

赤ちゃん先生

 0~3歳の赤ちゃんと触れ合ったり、お世話をしたり、母親から直接話を聞いたりすることで、命の大切さ、子育ての楽しさや大変さを学びます。育ててくれた親への感謝の気持ちや、妊婦さんや子ども連れへの思いやりの心も培います。

ふたりの出会い・子育ていいとこくらべ

 人生のパートナーとの出会いから、ともに歩み始めるまでのエピソードと、子育てをする中で得た喜びや家族のすばらしさを感じたエピソードを市民から募集し、その中から選ばれた各17作品を掲載しています。結婚や子育ての実話から、自分の将来を考えたり、子育て世帯への理解を深めるきっかけになる冊子です。市ホームページに掲載しているほか、こども政策課や市民課待合室に設置しています。

トータルライフデザイン

 大学生を対象に、少子化・結婚・子育てをめぐる社会の変化やお金の面からライフプランを考える講義と合わせて、子どもとその母親・父親たちと交流する講座をモデル実施しました。赤ちゃんや小さい子どもと触れ合う経験がない学生たちもいる中で、子育ての模擬体験をしながら、保護者から結婚・子育て・生活の実情を聞き、これからの生き方や働き方など自分の将来について考えました。

 その他にも若者とこれから出産を控えた夫婦などが、赤ちゃんとその母親・父親と交流するイベントも実施しました。

子育て世代包括支援センターを開設

 安心して子育てができるよう妊娠期から切れ目のない支援をめざして、こども健康センターに利用者支援事業(母子保健型)を新設し、子育て支援総合センターの利用者支援事業(基本型)と連携し、妊娠・出産・育児の総合相談窓口として「子育て世代包括支援センター」を両センターに開設しています。

問合先 こども健康センター 電話621-5901
子育て支援総合センター 電話624-9301

主な業務内容