特集 みんなでつくろう!考えよう
茨木の未来はどんなまち?
皆さんは、シティプロモーションやブランドメッセージという言葉を聞いたことがありますか。いずれも、まちの将来をつくっていく上で重要な言葉です。例えば、これらの付箋は、茨木の未来がどうなってほしいか、何を大切にして暮らしているかを、多くの市民に書いてもらったものです。ここに書かれた想いは、市のブランドメッセージをつくる材料になります。
今回の特集では、それらを中心に市の魅力発信に関する新しい事業について取り上げます。
問合先 まち魅力発信課 電話620-1602
シティプロモーションはまちを元気にする
背景のひとつは人口減少
シティプロモーションとは、まちの魅力を発信し、まちを活気づける取組みです。この取組みを目にするようになった背景のひとつは、少子高齢化に伴う人口減少です。全国的に人口が減っていく中で、まちとしての機能が低下し、自治体として成り立たなくなる地域が増えていく恐れがあると考えられています。本市は、今のところ毎年人口が少しずつ増加していますが、2年後には減少に転じると予測しています。その中で、自分たちのまちはどうやって活力を維持していくのか、この大きな課題に対する今後の方針が問われているのです。
シティプロモーションの意味は多様
シティプロモーションとは、直訳すると「まちの販売促進」で、非常に意味の幅が広い言葉です。各自治体でその解釈や位置づけは異なり、あるまちは温泉や歴史遺産などを生かして観光に力を入れたり、あるまちは緑豊かな大自然を生かして定住促進を図ったりと、その目的や手法はさまざまです。各自治体は近年、自分たちのまちの強みを分析し、どのような形で誰にPRしていくのかという戦略を立ててシティプロモーションを実践しています。
茨木のシティプロモーションは多くの人が茨木を好きになること
こうした状況をふまえ、本市では昨年度からシティプロモーションの取組みを本格的に始めました。多くの人へのアンケートや聞き取り調査を基に、市シティプロモーション基本方針(市ホームページなどで閲覧可)を策定し、その目的を下記のとおり定めました。
つまり、市では、単純に人口さえ増えれば良いという考え方ではなく、市民も、市外から訪れる人も、より多くの人が茨木というまちを「好きになる」ことを、まずめざします。茨木に好感が持てると、市内のイベントに参加したり、お店に立ち寄ったり、仲間と一緒に活動を始めたりと、まちとの関わりが増えます。市内のあちこちでそうした人が増えると、まち全体が活気づき、人もまちも元気になっていきます。茨木というまちが好きで、少しでもまちにかかわりたいと思う人が増えるよう、まち全体でシティプロモーションに取り組みたいと考えています。
目的
市内外の人が
茨木をもっと好きになり、
茨木との関わりをもっと増やし、
茨木をもっと、ずっと元気にすること
市のシティプロモーションへの アドバイザー
摂南大学教授 鶴坂貴恵さん
シティプロモーションとは、まちの魅力を発信し、伝え、共感を呼ぶことです。私は、茨木の中心市街地の活性化に関連する事業に関わってきました。多くを語らず、まちの良さはそこに来た人、住む人がそれぞれに感じ取るという品の良さが好きです。しかし、今やインターネットやSNSが普及し、行政も積極的に発信していく姿勢が求められるようになりました。茨木も、市の魅力を抽出し、整理し、共通認識として言葉で表現する必要性が出てきました。今こそ、シティプロモーションが茨木のまちには必要です。
理想は、市民の市民のための市民によるシティプロモーション。難しく考える必要はありません。市民一人ひとりが自分の事としてとらえ、まず自分が住んでいるこのまちを好きになることが大事です。それから、友達を招待したり市内のお店やお気に入りの場所を勧めたりして、魅力の発信をする。28万人の市民の一人ひとりが動き出せば、大きな力になると思います。
茨木のブランドメッセージを考えよう
ブランドメッセージはまちづくりの合言葉
ブランドメッセージとは、シティプロモーションをどのような方向性で進めるのかを、簡単かつ明確に示した言葉です。大人も子どもも、誰もが分かりやすく、自分たちの住むまちに誇りを持って語れる点が重要です。そのまちが、どのような強みを押していくのか、どのような姿をめざすのかを、市民も、市外の人も、みんなが共通して認識するための、いわば合言葉です。
そして、ブランドメッセージは、全ての人の関心を引くためのものではなく、共感した人の参画によって広まっていくことも大きな特徴です。まちのブランドメッセージは、そのメッセージに共感し、一緒にそのまちの将来をつくっていきたいという人が自然と集まる目印の役割も果たします。
- 魅力発信に関するワークショップ。市の強みや弱みを把握するため、付箋を貼って分析。
- 子育て世代向けのワークショップ「おやこのたのしいじかん」。就学前児と保護者の両方が楽しめるふれあい遊びのほか、保護者が考える市の自慢や、イメージカラーなどを答える。
- kokoフェスティバルでの付箋ツリー。子育てを通して将来の市に期待することを付箋に書き、ツリーを完成させていく。安威川フェスティバルや環境フェアなどでも実施。
- 立命館大学の授業。フィールドワークをもとに各自で考えた市のブランドメッセージを発表。
ブランドメッセージづくりはたくさんの市民の参加を重視
市では、多くの人の協力のもと、ブランドメッセージづくりを今年度から始め、現在、最終段階にきています。
作成の流れは、大きく分けて上記の3ステップ。その中でも特に、ステップ1のキーワードの抽出に力を入れました。多くの市民が作成の段階で関わり、みんながブランドメッセージを自分の事としてとらえられるよう、さまざまな取組みを行いました。
例えば、魅力発信に関するワークショップや、就学前児と保護者向けのワークショップを企画。茨木の強みや自慢を発表するなど、参加者が改めて自分たちの住むまちについて考える時間を設け、交流しました。また、立命館大学の地域ブランドについての授業に大学と一緒に取り組み、学生の意見にも耳を傾けました。
こうしたワークショップ等への参加のほか、イベント中の付箋へのメッセージの記入、インタビュー等で、協力していただいた皆さん、ありがとうございました。
ブランドメッセージづくりの3ステップ
Step01 キーワードの抽出(昨年4月〜11月)
- 茨木の魅力は何か、強みは何か、市民は茨木のどんなところが好きか、将来どんなまちになることを望んでいるかなど、イベントの場を活用したり、意見交換の機会を設けたりする中で、多くの市民の想いを収集
- 同じ質問を繰り返すだけでなく、質問を変え、尋ねる相手を変え、あらゆる角度で市民の想いに耳を傾けて、キーワードを抽出
Step02 ブランドメッセージ案の作成(昨年12月)
- 集まったキーワードの数は、600以上
- それらを総合し、想いを再構築して、小塚泰彦さんがブランドメッセージの候補を3つ作成
Step03 市民投票等でひとつに決定(2月〜3月)
- ブランドメッセージ案とその投票方法については、次のページへ!
ブランドメッセージの3案を作成
ブランディングディレクター 小塚泰彦さん
私は、青春時代を茨木で過ごしました。今回、改めてまちを歩くと、高校生のころから変わっていないなと実感。さまざまなイベントやワークショップでたくさんの市民に会い、意見を聞いて集めた情報と、これまで学んできた市の歴史や人口の推移、住む人の未来を想像したものなどを合わせてブランドメッセージを作りました。
作成したブランドメッセージは、市民が気づいていなかった市の魅力を、市民の声から紡ぎ出したものです。新しい気づきを得れば、市民はそれを核として、持続的にまちが発展していくような暮らし方ができるはずです。茨木のことを思う人にとって、大切な言葉になってほしいですね。
Profile
茨木高校の卒業生。大学院修了後、株式会社博報堂へ入社し、言葉を操るコピーライターと、デザインを統括するアートディレクターとしてブランディングに従事。その後独立し、ロンドンと日本を拠点に活躍する。
魅力発信に関するワークショップに参加
岡村久美子さん
茨木は交通の便が良く、図書館や公園、カフェなども多くて、いろいろと便利です。また自治会や子ども会など地域活動が活発で、住民間のつながりが深いのもいいところです。都会の便利さと田舎のような温かさ、その両方があるまちですね。
おやこのたのしいじかんに参加
山崎綾子さん
花音ちゃん
碧泉ちゃん
茨木は自然が多いですし、近所に同世代の子どもが多いので好きです。今回のイベントは楽しかったですし、つどいの広場にもよく行きます。子どもたちの将来のために、環境がいいことはそのままで、さらに安全なまちになってほしいですね。
立命館大学の授業を受講
奥山諒也さん
茨木の北部は、自然がいっぱい。高槻や箕面の山間部と違う点は、千提寺地区が隠れキリシタンの里であり、キリシタン遺物史料館があるところだと思います。「いばきた」に行けばその歴史とロマンを感じることができる。それが魅力だと思います。
投票しよう!
共感できるブランドメッセージはどれ?
判断基準は、共感できるか 胸を張って紹介できるか
いよいよ、ブランドメッセージづくりの最終段階です。この3案のうち、皆さんがこれだと思うものに投票してください。投票結果をもとに市で検討し、決定します。
投票の判断基準は、ずばり共感できるか。「これ、ほかのまちではなく茨木のことを言っているな」「茨木のことをうまく表現していて、分かる分かる」「私も前から茨木のことをこう思っていた」など、市のブランドメッセージとして親しみを持てるか、胸を張ってほかの人にこのブランドメッセージを紹介できるかを考えてください。
ブランドメッセージはみんなで活用するもの
ブランドメッセージが決まると、そのブランドメッセージが表す「なりたい茨木市」を想起しながら市の事業が展開されます。また、ブランドメッセージを活用するのは行政だけではありません。市民、事業者、通勤・通学者、茨木のまちに関わる人が、このブランドメッセージを使い、自分たちの便利なようにアレンジを加えて使うことができます。
さらに、来年は、市制施行70周年。このブランドメッセージを活用した多種多様な取組みを計画中です。
これからの茨木をつくるのはあなた
ブランドメッセージは、市のめざすべき姿に向け、まちづくりを推進する言葉として表されます。これからの茨木をつくっていくのは、茨木のまちに関わる全ての人。つまり、あなた自身です。さあ、投票を通じて、一緒に茨木の未来をつくっていきませんか。
みんなの想いがつまった
ブランドメッセージの3案はこれだ!
エントリーNo.1
このメッセージに込めた想い
- 大都市や大自然ではなく、ちょうどいい中間にあるからこそ、健康的に、美しく、というバランスを茨木らしさに据えた
- IBARAKIの「I」を並べ、「個(I)」の連携を表現
- 「いばらきし」の5文字を5本線で表現
茨木は、そこに住まう人が健康美になるまち。
都市に近いから、便利にストレスなく暮らしが流れる。
自然に近いから、澄んだ空気が心とからだを包み込む。
土地の産物と都市の製品が、心地よく調和する。
安全な環境はエクササイズにも抜群だ。
ちょうどいいバランス。
それは、健やかに美しくなるために欠かせない。
そして、時代の変化とともに
これから未来の健康美も変わっていくだろう。
衣服、食事、住居、教育、安全、仕事、環境。
色んなことを「ちょうどいいバランス」に調和する。
色んなことの中間的な、茨木だからこそできるはず。
ちょうどいい、茨木バランス。
それは新しい「未来の健康美」を実現する
茨木ならではの価値。
茨木は、そこに住まう人が健康美になるまち。
老若男女、健康美で幸せになるまち。
エントリーNo.2
このメッセージに込めた想い
- 「茨」の漢字の中に「次」がある「次」は、市の過去・現在・未来をつなぐ意味が込められている
- 明るい黄色と右上方向の傾斜線は、未来を表し、多様に変化していく様子を表現
- 市旗の紫紺に対し、補色の黄色を使用して、互いに際立たせる
次なる茨木へ。
茨木には、次がある。
大阪市・京都市に次ぐ街。
自然と都市が次いでいる街。
次世代を育む学生が多い街。
次々とひろがる、はてしない未来。
黄色い斜めのストライプ。
その角度は、地球の「地軸」と同じ23.4度。
地軸の傾きは日本に四季をもたらし、
次々と、この街を未来へいざなっている。
次なる茨木は、どうなるだろう。
次なる茨木は、何をするだろう。
次なる茨木へ。
茨木市の新しいメッセージです。
エントリーNo.3
このメッセージに込めた想い
- 高齢化に伴って「加齢する」のではなく「華麗する」ためのまちづくりを展開
- バラがモチーフのロゴ
- 「五感」を表す五角形で五感が重なりながら深まっていく様子を表現
茨木の名は、薔薇(バラ)に由来しています。
古来、人はバラの香りに引き寄せられてきました。
バラには「幸福感」をもたらす香りの成分が
あるといわれています。
かぐわしいそのバラの香りは、人を幸福へと導く香り。
バラは、人を若々しく、人の心を落ちつけ、
人の魅力を高めます。
茨木市に暮らす老若男女に、
どんどん華麗になってほしい。
ここで暮らし、年を重ねることを、
加齢とは言いません。
茨木市は、華麗するまち。
目に見える贅沢や豊かさから
ほどよく心地よい距離のある
茨木市だからこそ、
目に見えない「かぐわしさ」を大切にしたい。
かぐわしき、いばらきし。
投票はこちら
茨木の未来をつくるのはあなたです!
投票期間 2月1日(水曜日)〜19(日曜日)
以下の方法で、1人1回投票ができます。市外在住者も投票できます。(2)は、各施設の開館時間内で受け付けます。
(1)市ホームページから投票
(2)市役所、各図書館、各市民体育館、ローズWAM、クリエイトセンター、竜王山荘などに設置の投票箱へ投票
そのほか、駅前でシールを使った簡易投票も実施予定