特集1 パラリンピックで銅メダル
茨木ゆかりの芦田さんを紹介
リオデジャネイロパラリンピック陸上で走り幅跳びに出場、そして、陸上男子4×100メートルリレーで銅メダルを獲得した芦田 創さん（早稲田摂陵中・高等学校卒業）。茨木にゆかりのある芦田さんを紹介します。
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リオデジャネイロパラリンピック
男子陸上4×100メートルリレー・走り幅跳び
芦田 創さん
右腕のがんを乗り越えて
芦田さんは、5歳のとき右腕にデスモイド腫瘍というがんを発症します。毎年手術や入退院をくり返し、治療を続けますが、15歳のときには、医師から、腕の切断の可能性を告げられます。腕に負担をかけないよう、激しい運動を制限していた芦田さんは「当たり前にできることができないのは嫌だ。どうせ腕がなくなるなら思う存分動きたい」と思い、陸上を始めます。直後から、市内の大会で優勝するなど成果が現れ、陸上に夢中になっていきました。
そんな芦田さんに奇跡が起こります。がんを克服し、腕の切断を免れたのです。「陸上を始めたおかげだったのかな」と芦田さんは当時を振り返ります。しかし、治療の影響で、右腕は小学5年生から成長が止まり、ひじも曲がらないままです。
陸上を続ける中、高校の陸上部の合宿で講師として招かれた山本 篤さんに出会います。後にリオデジャネイロパラリンピックのリレーでともに走る山本さんに誘われ、高校3年生で、障害のある選手が出場する大会に出場します。そして、400メートル走で日本新記録で優勝し、芦田さんは「この世界でやっていける」と確信しました。
パラリンピックの切符を手に
しかし、大学受験などで練習に打ち込めず、ロンドンパラリンピック出場の夢は叶いませんでした。「もう陸上をやめよう」とあきらめかけますが、パラリンピックで活躍する選手たちをテレビで見て奮起し、リオデジャネイロパラリンピックをめざすことを決意します。
その後、練習に打ち込みますが、成績は伸び悩み、スランプの日々が続きます。大学3年生の冬の就職活動をきっかけに「自分の夢は何だろう」と改めて考えます。芦田さんは「自分にしかできないことがしたい。それはパラリンピックで金メダルを獲ることだ」と自身の障害を前向きにとらえ、夢を再認識します。その後、さらに練習を重ね、スランプを脱出した芦田さんは、リオデジャネイロパラリンピックの切符を手にします。
悔しさの残るリオ
ロンドンから4年、パラリンピックの舞台に立った芦田さんは、まず4×100メートルリレーに出場。日本記録を出し、見事に銅メダルを獲得しました。「日本がやっとリレーでメダルを取れてよかった」とうれしさを語る芦田さん。
リレーの2日後、自身の得意種目である走り幅跳びに出場しました。しかし、1回目の跳躍を失敗。芦田さんは「頭が真っ白になった」と実力が発揮できず決勝に進むことができませんでした。「個人種目でメダルを取りたかった。あの時、試合に集中できなかったことが本当に悔しい」と振り返ります。
東京パラリンピックに向けて
「障害は神様からの贈り物。個性であって特徴です。僕が頑張る姿で、障害がある人に勇気を与えたい」と語る芦田さん。最後に「市民の皆さん応援ありがとうございました。リオでは悔しい思いもしました。この悔しさを力に変え、東京では金メダルを取りたい。これからの4年間は厳しい目で応援してください」と意気込みを述べました。
早稲田摂陵高校2年 吉村一輝さん
芦田さんには、走るときの腰の動かし方やバネの使い方などを教えてもらいました。身振り手振りを交え分かりやすく教えていただき、さすが世界に通じるアスリートだと思いました。
母校に凱旋
11月5日、芦田さんは早稲田摂陵中・高等学校を訪れ、生徒たちに銅メダル獲得の報告会を行いました。その後、グラウンドで陸上部員の後輩たちを指導しました。
慣れ親しんだグラウンドで当時を思い出した芦田さんは「部活が終わった後に、ショッピングセンターへ行き、友人と映画をよく見ました」と懐かしんでいました。
キラリいばらき大賞
スポーツ活動等において多大な功績をあげ、広く市民に夢と希望と感動を与え市政の発展に貢献した市にゆかりのある人に贈る「キラリいばらき大賞」。特集で取り上げた芦田さんのほかにも贈呈した人を紹介します。
寺島成輝さん（市内在住）
野球の国際大会U18アジア選手権で優勝。また、投手部門で3つの個人表彰を受賞（「人キラリ」参照）。
吉田胡桃さん（追手門学院大学卒業）
リオデジャネイロオリンピック・シンクロナイズドスイミング（チーム）銅メダル獲得。
中牧佳南さん（追手門学院大学卒業）
リオデジャネイロオリンピック・シンクロナイズドスイミング（チーム）銅メダル獲得。
和田伸也さん（市内在住）
リオデジャネイロパラリンピック陸上競技3種目（1500メートル、5000メートル、マラソン）のすべてで入賞。