人キラリ
キラリと光る市民紹介コーナ−
ウド農家
後藤一雄さん(80)(千提寺)
市の特産物「三島ウド」。市内山間部を中心に江戸時代から栽培されてきましたが、ここ数年、商業用として栽培しているのは後藤一雄さんだけでした。今年、長年続けてきた栽培を後継者に譲りましたが、後継者の活躍を見守りながら、現在も三島ウドの発展に努めています。
選んでくれる人のために
後藤さんが本格的に三島ウドの栽培を始めたのは昭和62年(1987年)ごろ。三島ウドを栽培している農家に生まれた後藤さんは、就職し仕事の傍ら父親の農作業を手伝っていましたが、父親が亡くなったことをきっかけに、本格的に兼業農家として栽培を始めました。「以前は商業用として栽培していた農家はたくさんいましたが、今ではうちの畑だけです」と後藤さんは話します。
30年近く三島ウドを栽培してきた後藤さんですが、簡単に収穫できた年は一度もなかったと言います。「三島ウドの特徴は色が白いことです。ウドの上を干し草と稲わらで覆うことでまっしろなウドになります。この干し草と稲わらの発酵熱を利用して、うまく温度を保たなければなりません。日によって気温や天候は全く違うので、毎日が勉強でした」。その一方で、「ウドは農家一軒ごとに味や太さに違いがはっきり出ます。そんな中から私のウドを選んでくれる人たちがいてくれたことは、とても誇らしいことです」と後藤さんは笑顔を見せました。
後藤さんは今後について「三島ウドは、酢の物にしたりお肉と合わせてもおいしい。そんな三島ウドの栽培を若い世代に引き継ぐことができて嬉しいです。三島ウドがたくさんの人に親しんでもらえるように、私の経験や知識をいかして、今までとは違ったかたちでも貢献していきたいです」と力強く話しました。