文化財めぐり
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Vol.114
教皇グレゴリオ14世のメダイ
メダイは、キリストやマリア、聖人が描かれたメダル状の信仰の道具です。日本には数多くのメダイが伝わっており、隠れキリシタンの里として知られる市北部の千提寺地区では、16世紀後半から17世紀前半に作られたメダイが8枚見つかっています。
その中のひとつ、教皇グレゴリオ14世のメダイは、直径約4.5センチメートルの円形で、真ちゅうで作られています。表面にはローマ教皇グレゴリオ14世の肖像と、その周辺に「GREGORIVS・ⅩⅣ・PONT・MAX」、下方に「AN・Ⅰ」のラテン語が見られます。「PONT・MAX」とは、最高の司教、すなわち教皇のことです。「AN・Ⅰ」は教皇在位の第一年という意味です。裏面には右にキリスト、左にマリアの横顔があり、その間に聖霊を表す鳩が表現されています。2人の上方には「IN・GRAM・PHILIPPINARVM」、下方には「ROMAE・AN・1591」の銘文があります。「GRAM」は、厚意のことで、ローマカトリック教会が多いスペインの植民地であったフィリピン諸島への恵みという意味です。また、「ROMAE」はローマの意味で、「1591」は教皇からメダイ製造の許可が出された年号と考えられます。
キリシタン遺物史料館では、4月11日まで、企画展「メダイの流通と茨木のキリシタン」を開催中です。このメダイを含む8枚のメダイの実物はもちろん、成分分析の結果をふまえて製作した、約400年前の輝きを放つ復元品も展示しています。ぜひお越しください。