広報いばらき

文化財めぐり

問合先、文化財資料館 電話634-3433

Vol.108

寒天造りの道具

細寒天造りの流れ

替越(かえごし)
小槽(こぶね)に海藻の煮汁を移し変える道具
小槽
海藻の煮汁を冷まして固めるための道具
マグワ
冷え固まったトコロテンを同じ大きさに切る道具
切ったトコロテンを入れ、細く押し出す道具

 寒天は、昼夜の気温差を利用して、材料である海藻の煮汁を固めてできたトコロテンを凍結・融解させ、その繰り返しで乾燥させて製造します。寒天造りは、原料となる海藻の洗浄・釜焚きに始まり、数多くの工程が存在します。そこでは、さまざまな道具が用いられました。紹介している道具は、文化財資料館に保管されています。

 茨木では、冬の気候が寒天造りに適していたこともあり、天明2・3年(1782・83年)に太田で製造が始まりました。その後、上音羽や大岩、車作など市北部を中心にして、盛んに製造されるようになりました。しかし、釜に使う燃料代等の高騰による採算の悪化、需要の変化などによって市内の寒天業は停滞します。明治の後期には市内に50以上の釜がありましたが、昭和40年代には10に満たなくなり、ほとんど見ることができなくなりました。とは言え、かつては確かに茨木の風土産業であったことは、こうした道具たちが今に伝えてくれています。