広報いばらき

市史編さん室だより

費用の記載がない場合は参加無料。定員・申込などの記載がない場合は事前申込不要または当日直接会場へ。

其ノ26

問合先、市史編さん室 電話622-2184

柔道の源流 茨木専斎

 皆さんは柔道の起源といわれている柔術の祖が茨木にいたことをご存じでしょうか。柔道の創始者、嘉納治五郎は江戸時代に盛んであった起倒流の柔術を学び、これに工夫を加え近代柔道を完成させました。

 この柔術起倒流の祖は茨木専斎、フルネームを茨木又左衛門尉俊房といいます。出自の詳細は分かりませんが、戦国時代の末に茨木に住んでいた武芸者だったようです。

 寛永19年(1642年)に専斎が著した「起倒流乱授業目録」のなかに、「余 遠くは茨木の城を出 近くは柳生の室に入りて 工夫ようやく熟し台覧を感得す」と書かれています。「茨木の城を出た」とありますから、まだ茨木城のあった頃、誰かに仕えていたが何らかの理由で茨木を出たことが読みとれます。その後、武者修行のため諸国をめぐり歩き、やがて柳生道場で柔術を学び、奥儀を悟って、起倒流柔術を興したようです。

 起倒流柔術を始めとする柔術は、甲冑武者が相手を倒すための武術で、組討で戦うことを主体としながら、槍や長刀などさまざまな武器も使いました。嘉納治五郎は、柔術に工夫を加え、柔術から武器の使用や危険な要素を除き、柔道を心身の鍛練を目的とする武道に育てました。この柔道が、日本だけでなく世界でも親しまれているスポーツになっていくのです。