広報いばらき

特集 あなたを、応援したいから。

ご存じですか?市の産業振興制度

 私たちが日常の中で利用する、たくさんのお店や会社。それらが、市内にどれくらいあるか、想像したことはありますか?

 国の経済センサス活動調査(平成24年実施)によると、市内の事業所の数は、実に9687。全国に1700以上ある市町村のうち、茨木市は、事業所数の多さで99位にランクインしています。

 市には、それらの事業所を支える制度など、産業振興のための支援制度が数多くあることを、皆さんはご存じですか?

 産業の振興は、市の発展に欠かせないもの。今回の特集では、「人」と「事業所」に焦点を当てながら、市の産業振興のための制度を紹介します。 問合先、商工労政課 電話620-1620

1 人を支える。

働く意欲のある人がいきいきと働けるように

 経済センサス活動調査で、市内の民営事業所の従業者数は10万247人(平成24年2月1日現在)。こんなに多くの人たちが、市の産業を支えています。

 どのような事業所も、人がいなければ成り立ちません。それぞれの職に就く人たちが、それぞれの職場でいきいきと働けてこそ、市の産業の基礎が築かれます。

 しかし、今日の日本において、誰もが容易に望む職に就けるわけではありません。中には、働きたい気持ちがあるのに、なかなか就労に結びつかないという人もいるでしょう。資格や経験がない、年齢が採用条件に合わない、条件に合う会社の探しかたが分からない。市の窓口を訪れる相談者の多くが、そんな悩みを抱えています。

就職活動の支援を総合的に実施

 就労に関する悩みを解決するためには、就労までの道のりの各段階に応じたサポートが必要です。市では、求職者の就職活動の支援を総合的に実施する就職サポート事業を行っています。

 たとえば、合同就職面接会や各種セミナー・講習会(下記参照)の開催、教育訓練の受講費用に対する助成金の交付などにより、就労機会の向上や職業能力の開発を図っています。また、就職サポートセンターでは仕事に関するさまざまな相談を受け、専門機関などにつなぐことで、就労を妨げる要因をできるかぎり軽減・解消しています。

 就職についての悩みは人それぞれ。個々の悩みに寄り添い、「その人が就職するためには何が必要なのか」を見極めながら就労をサポートする取組みを、今後も進めていきます。

注目イベント

市合同就職面接会・相談会

とき、5月29日(木曜日)、午後4時~7時(受付は午後3時30分~6時)、ところ、市民会館ドリームホール、対象、求職活動中の人、内容、合同就職面接会、中高年齢者就労相談、若年者就労相談、備考、合同就職面接会参加希望者は面接希望企業数分の履歴書(写真貼付)持参、参加企業は茨木商工会議所ホームページで公開

就職支援セミナー

とき、5月29日(木曜日)、午後2時~3時30分、ところ、福祉文化会館202号室、対象、求職活動中の人、定員、40人、内容、採用担当者が見ている面接のポイント(株式会社アイデム人と仕事研究所 小野山哲朗さん)、申込、商工労政課

就職サポートセンターでお待ちしています

とき、毎週火曜日・水曜日・木曜日、午前10時~午後4時
ところ・問合先、市役所本館7階(商工労政課内) 電話620-1620

仕事なんでも相談員

林 敏夫さん

 就職サポートセンターは、就労などについての悩みを聞いて専門機関へつないだり、市の制度を紹介したりする場所です。就職できない事情は人によって違います。どこに相談すればいいか分からない人もいるでしょう。そんなときはセンターを頼ってください。センターは、仕事に関する相談窓口の分かりやすいシンボル。「仕事のことで困ったら、とりあえず就職サポートセンター」という気持ちで、何でも相談してほしいと思います。

利用の流れ
(1)相談 仕事なんでも相談(無料相談ページ参照)で相談
(2)就職活動の準備 相談員が個別の就職プランを作成し、各種支援制度の情報提供や、履歴書の書き方、面接の受け方などをアドバイス
(3)就職活動の開始 ハローワークや求人情報誌等を通した求人へのアプローチなどをアドバイス
(4)就職後のサポート 就職後も継続的に働くことができるよう、職場での悩みなどについても相談に応じます

2 事業所を支える。

創業を支援

夢がある人のために

 新しいことを始めるには、勇気が必要です。ましてやそれが「自分の店を開く」こととなると、なかなか踏み出せない人もいるでしょう。

 市では、そんな人を支援するため、創業促進事業補助制度として、専門家によるアドバイスや改装工事費の補助などを行っています(下記参照)。この制度を活用し、平成25年度には12件の店舗が営業を開始しました。

くつろげる場所を

 真新しい白い壁、ガラスの扉から差し込む柔らかな明かり。昨年12月、春日商店街にオープンした「カフェ・レードル」は、自家焙煎のコーヒーとパンケーキが売りのお店です。店主である久保田潤児さん(43歳)は、同制度を活用した一人。「この制度がなかったら、開店がもっと遅くなっていたか、もしかすると創業を諦めていたかもしれません」と話します。

 久保田さんは、以前はコーヒーを取り扱う会社で働いており、いつか独立したいと思っていたそうです。「PTAの役員をしていた時、お母さんたちが子どものために頑張る姿を見ました。だから、そんなお母さんがくつろげる場所を作りたかったんです」。

宝物の創業計画書

 しかし、実際に創業するとなると、資金面や経営方法などの悩みに直面しました。そんなとき、商工会議所の相談会で、市の補助制度のことを知ったそうです。

 「制度を利用して嬉しかったのが、市の職員や経営アドバイザーが親身になって話を聞いてくれたこと。より良い店にするため一緒に考えてくれたことが支えになり、創業に向けてやる気がかき立てられました」。そう話す久保田さんは、20ページにわたる創業計画書を見せてくれました。「これ、最初に作った時は5ページだったんですよ。職員やアドバイザーとの話し合いの中で、経営に必要なことは何かを学び、それを反映していくうち、より充実したものになったんです。何より、この計画書を作ったことで、なぜ自分は店を開きたいのかを明確にできたのが本当に良かったですね。『市に補助してもらった』というより、『市と一緒に店を作り上げた』という気持ちでいます。今もこの創業計画書は宝物ですよ」。

 カフェで過ごす時間を一つのライフスタイルに--。創業計画書に綴られた久保田さんの熱い思いは、現実になろうとしています。

事業を支援

企業を支える制度

 企業の市内への立地促進だけでなく、設備等への投資支援など、既存企業への支援も市内産業の発展に必要なことです。市には企業を支えるための制度が数多くあります。

 市北部の丘陵地に位置する「彩都」。そのシンボルゾーンであるライフサイエンスパークに拠点を置く「株式会社ジーンデザイン」も、市の制度を活用した企業の一つです。

 同社は、次世代の医薬品として注目されている核酸医薬について、日本で初めて医薬品製造業の許可を取得しました。核酸医薬は世界的に開発が進められていますが、関連市場はまだ発展途上。その中で、同社は先駆者的存在です。そんな時代の最先端を行く企業は、14年前、たった数人の社員からスタートしました。

 「最初は普通のビルの一室を借りていました」と振り返るのは、代表取締役の湯山和彦さん(61歳)。元々は、研究用の機械の販売会社を経営していたそうです。「大学との取引の際、最先端の研究を目の当たりにし、『自分も未来につながる技術開発に貢献したい』と思ったんです。それで、起業を決意しました」。

 ただ、経営のノウハウがあったとはいえ、挑戦するのは未知の分野。設備をそろえるのにも苦労したそうです。「そこで、市の企業立地促進制度や市税の軽減措置(下記参照)などを活用して、少しずつ設備や人員を整えていきました。小さなベンチャー企業でしたので、そういった補助は非常に助かりましたね」。

産業のすそ野を広げるために

 湯山さんは、「新しい分野には夢がある」と語ります。「まだ誰も成しえないことを成し、やがては世界に羽ばたけるかもしれない。そんな夢が、会社を動かす原動力となります。でも、新しい分野を開拓するのは小さなベンチャー企業の場合がほとんど。資金面等の支援が必要ですが、日本で未知の事業に投資する人は多くありません。だからこそ、自治体の支援は重要だと思います。新しい分野の開拓が進めば、産業のすそ野は広がるのですから」。

注目の制度

創業促進事業補助制度

対象、営利を目的として、初めて事業を興す(市内に限る)人、内容、専門家によるアドバイス、改装工事費の一部(限度額50万円)およびテナント賃借料の一部(限度額月5万円)を6か月間(商店街や中心市街地で小売業・飲食店を創業する場合は12か月)補助、備考、事前相談要

企業立地促進制度(奨励金)

対象、企業・法人など、内容、市内で自己の事業のために使用する次の不動産等に課せられる固定資産税・都市計画税相当額の2分の1の額を、初めて課税される年度から5年間支給、(1)新たに取得した500平方メートル以上の土地(1年以内に建物の建設に着手)、(2)新築・建替え・増築した延べ床面積500平方メートル以上の建物、(3)新設した取得合計額が5千万円以上の設備等、備考、その他一定の要件あり、事前相談要

国際戦略総合特区における税制制度

対象、特区地域(彩都西部・東芝大阪工場跡地・大阪大学吹田キャンパスの茨木市域)において、ライフサイエンス分野、新エネルギー分野関係事業、または両分野を支援する事業のうち府の特区事業計画の認定を受けた事業、内容、法人市民税、固定資産税、都市計画税の軽減(最大5年間全額免除、その後5年間は2分の1)、備考、詳細は商工労政課

「お役立ち帳」の活用を

企業支援の各種制度を記載。商工労政課などに設置しています。

3 事業所と市民をつなぐ。

つなぐサイト「あい・きゃっち」

 「自分の店やサービスの存在を、もっと周知したい」。そう思うのは、事業者の皆さんにとっては当たり前のことでしょう。一方、消費者の立場からしても、自分が利用しやすい店やサービスがどこにあるのかをすぐに調べられる手段が欲しいと思っている人は多いはずです。

 そんな事業所と市民をつなぐのが、市産業情報サイト「あい・きゃっち」です。サイトでは、市内の企業やお店・サービスなど、市内で展開されている産業をまとめて詳しく紹介しています。

事業所と市民両方に便利なサイト

 サイトの特長は、「市内の事業所について、消費者のニーズに応じた検索が簡単にできる」ということです。

 事業者は、サイトに事業所を登録することで、商品やサービスの情報を随時掲載することができます。

 また、市民を始めとする消費者は、探したい店があるとき、このサイトにアクセスすれば、業種や地域など、さまざまな方法で検索することができます。さらに、各事業者のお得な情報や、商品・イベントなどの最新ニュースを見ることができ、「いま知りたい情報」をいち早くキャッチすることが可能です。

 このように、「あい・きゃっち」は市内の事業所が情報を掲載し、「市内の店を探したい」という人が訪れるサイトです。通常のウェブ検索より需要と供給が一致しやすいため、事業所と市民両方に便利なサイトとなっています。

あい・きゃっちを使ってみましょう!

ホームページ(http://www.ibaraki-catch.jp/)にアクセス(市ホームページからアクセス可)

登録を希望する事業所は、トップページの「新規登録はこちら」から申込(登録無料)

ここが便利!

(1)用途別アイコン
「ビジネス・企業」、「ショッピングとサービス」、「創業・企業誘致」に分かれており、それぞれの用途に合わせて情報を検索することができます。

(2)市に関する最新情報
イベントや補助制度についてなど、市からの最新情報をお知らせしています。

(3)各分野のニュース
「企業」、「商店・サービス」、「求人情報」のニュースを掲載しています。

(4)ミニコーナー
「本日の茨木絶品グルメ」「地場産品」などを見ることができます。

4 あなたが作る、新しいカタチ。

新しい産業振興の形

 「人」、「事業所」、「事業所と市民」。いずれも、その活動が活発になれば市の産業の発展につながります。そして近年、新しい産業振興の形として注目を集めているのが、産・官・学の垣根を飛び越えて行う事業です。

 企業(産)は商品の開発やサービスの向上を、大学等(学)は研究などを通じた知識の蓄積や人材育成を、そして国や自治体(官)は公共サービスの充実や地域の魅力アップをめざしています。これまで独自に活動していた3者が協力して1つの事業に取り組むことで、それぞれの長所がより一層いかされ、地域の産業が活性化することが期待されています。

深まる連携、新たな局面

 市内でも市と企業や商工会議所、大学の連携は深まっており、例えば昨年度は「スイーツフェア」や「茨木宙いもプロジェクト」など、市の魅力の向上につながる取組みが実施されました。また、今年度についても、「うまいもん市in万博」(下記参照)が開催されるなど、多彩な事業が予定されています。さらに、中小企業者と大学の連携を支援するため、新たに「産学連携スタートアップ支援事業補助金」(下記参照)を設けるなど、市の産業振興は新たな局面を迎えています。

あなたがつくる明日の市の産業

 いま、就職や仕事について、悩んでいる人はいませんか。事業所などの運営について、困っていることはありませんか。

 皆さんが抱える、多種多様な悩みやニーズ。解決策も多種多様です。でも、共通して言えることは、「個」として解決できないことであっても、新しいつながりを持てば道が開ける場合があるということです。その「つながる」窓口のひとつとして、ぜひ、市の制度を利用してください。今回紹介したのはほんの一部。皆さんを応援するための制度はまだまだあり、毎月の広報誌などでお知らせしています(商工・消費生活ページ参照)。

 制度を活用して、1人でも多くの人が新しい段階へ進んだら…。それは確実に、明日の市の産業につながっていきます。

注目の制度&イベント

市内中小企業者と大学の連携による商品開発などを支援
(産学連携スタートアップ支援事業補助金)

対象、市内に事業所を有する中小企業者(個人事業者を含む)、内容、市内の大学等と連携して行う(1)~(3)の事業、(1)新技術、新製品、新サービスの研究開発事業、(2)業務改善、販路拡大など経営革新に係る事業、(3)その他地域産業の振興に寄与すると認められる事業、費用、対象経費の2分の1以内(上限500万円)、備考、事業実施前に要申請、申込、5月1日~6月13日に所定の用紙(商工労政課に設置、市ホームページからダウンロード可)を持参し、直接、同課窓口

うまいもん市in万博

とき、5月16日(金曜日)・17日(土曜日)、午前10時~午後5時、ところ、万博記念公園お祭り広場、内容、市内店舗が出店する茨木の地酒・饅頭・豆腐など北大阪地域のうまいもん約140ブース、北海道・和歌山県・島根県など地方の物産店、大道芸など、備考、JR茨木駅から15分間隔で無料送迎バスあり、問合先、株式会社大阪彩都総合研究所 電話631-2233