広報いばらき

文化財めぐり

Vol.103

問合先、文化財資料館 電話634-3433

羽口

 銅鐸鋳型が出土したことで知られる東奈良遺跡。鋳型が出土したことにより、ここで銅鐸が作られていたことが明らかになりましたが、鋳型以外にも、銅鐸鋳造の際に使用されたと考えられるものが出土しています。

 それは、ふいごの「羽口」です。ふいごとは、銅鐸の原料である青銅を炉で溶かす際、炉の温度を高温に保つための空気を送る送風機です。そして羽口とは、ふいごと炉を結ぶ送風管です。

 残念ながら当時のふいごは現存していませんが、過去の文献から、皮製であったのではないかと想定されています。一方、羽口は東奈良遺跡から140点以上見つかっています。羽口は土製で、アルファベットの「J」の字の形のものと直線状で片方の先端がすぼまっているものがあったことがわかっています。出土品はすべて破片ですが、完全な形になるとおおよそ30センチメートルほどだと推測されます。また、根元に溝をいれている羽口もあり、ふいごを装着するためのものと考えられています。

 東奈良遺跡から出土した大量の羽口には、まだまだ研究の余地があります。一つひとつを調査して得られた情報の積み重ねにより、新たな発見につながることが期待されています。