人キラリ
キラリと光る市民紹介コーナ−
製管師 中村銀越さん(71)(鮎川四丁目)
かつて、中国から日本へ伝わった木管楽器、尺八。しかし、「本家」である中国では、何百年も前にその技術は一度廃れてしまいました。
今回紹介する中村銀越さんは、尺八を作る製管師。中国での尺八復活に一役買った功労者です。
尺八をもっと気軽に
今から18年前、中国で、尺八の技術を復活させるための国家プロジェクトが立ち上げられました。中村銀越さんは、そこへ招かれた日本の技術者の1人。尺八の製作と演奏、どちらも50年以上の経験を持つ、大ベテランです。
「もともと、尺八に関することなら何にでも首を突っ込んでいました。日本伝来当時の尺八と現代の尺八とでは作り方も演奏方法も違うんですが、それを学んでいたことで、中国でのプロジェクト参加の声がかかったんです」と中村さんは話します。現在は中村さんの弟子が中国での活動を続けており、その甲斐あって、現地での尺八職人は200人ほどに増えたそうです。
「尺八は難しいものと思われがちですが、私はもっと気軽にやればいいと思っています」という中村さん。子どもでも使いやすいよう、プラスチック製の尺八を作るなど、若い世代への働きかけも行っています。「尺八は、急に人気が出るようなものではありません。でも、まずは広く知ってもらわないと始まらない。たくさんの人に知ってもらって、その中から尺八の道を選ぶ人が出てくればいい。そう思います」。
日々、尺八の製作や修理・調律をこなしながら、技術の伝承も欠かさない。中村さんの尺八の音色は、国境を、世代を超えて響いていきます。