特集1
消費者トラブルSTOP
~高齢者が被害に遭わないために~
問合先 消費生活センター 電話624-0799(相談専用電話624-1999)
社会に氾濫する、悪質商法や不当・架空請求などの消費者トラブル。特に高齢者を狙ったものが多く、その被害は後を絶ちません。では、どうすれば被害を避けられるのでしょうか?今月の特集では、トラブルや被害の現状を紹介し、予防策をお知らせします。
狙われる高齢者
昨年度に、市消費生活センターに寄せられた消費者トラブルに関する相談は2092件。そのうち、60歳以上の相談者は763件と、全体の36.5%に上ります(下記参照)。高齢者は若年者と比べて昼間の在宅率が高く、訪問や電話による勧誘の対象となりやすい環境にあります。
うまい儲け話を持ちかけて金融商品を売り付ける利殖商法や、注文していない健康食品の「送りつけ」、親切なふりをして家のリフォームや水道の修繕など高額な工事を勧める点検商法など、「お金」・「健康」・「孤独」という高齢者が抱える3つの大きな不安要素に付け込む手口が次々と現れています。こうした状況の中、全体としては相談件数が増えていない一方、高齢者の相談件数は増加しています。これは、高齢者が悪質な業者や詐欺に狙われていることを示しています。
市消費生活センター
昨年度消費生活相談件数
年間 2,092件
30歳未満 165件
30歳代 300件
40歳代 382件
50歳代 324件
60歳代以上 763件
不明 78件
団体等 80件
被害の現状を知る
トラブルを避けるためにまずは被害の現状を知ることから
大きなダメージ
60歳以上の消費者トラブルによる1件あたりの被害額は約29万円で、その他の世代の約8.5万円と比較すると、3倍以上にもなっています(昨年度)。中には1件の被害額が1千万円を超える大きな額のものも報告されています。被害に遭うことで、経済的な損失はもちろん、精神的に受けるダメージもとても大きなものです。さらに、悪質業者や詐欺の被害に遭ったことが原因で、配偶者や家族と不仲になるケースがあるなど、悪い影響が色々な方面へと波及していくことがあります。
気づかない、相談しない、繰り返す
高齢者が被害に遭うケースの特徴としては、だまされていることに気づいていないという点があります。業者の人間と親しくなり、油断したところで契約を勧められるといったケースでは、被害に遭った後でも「あの人は本当にいい人だ」と信じている場合があります。また、被害に遭っても、恥ずかしい、周りに心配をかけたくないという気持ちから、誰にも相談しない人が多いという傾向があります。さらに、一度だまされた人が以前契約をした商品・サービスについて「解約してあげる」「損を取り戻してあげる」などという言葉に乗せられて、繰り返し被害に遭ってしまう二次被害、三次被害といった例も見られます。
巧妙になる手口
悪質業者や詐欺の手口は、その時代や社会情勢を反映して、常に巧妙になってきています。最近起きている金融商品のトラブルでは、「二酸化炭素排出権」や外国の土地利用権といった、グローバルで内容の分かりにくい商品を扱った手口や、「震災で透析ができる病院が不足している」などと、東日本大震災の被災地の復興支援を名目に「医療機関債」への出資を求める勧誘のような、社会貢献意識を利用した手口も現れています。では、これらの被害から身を守るための予防策には、どのようなものがあるのでしょうか。
ヒヤリ!!
市民インタビュー もう少しで被害に遭うところでした
送り付け
先日、北海道のカニかサケを送るのでどちらがいいかという電話がありました。どちらも注文した覚えが無かったので「頼んでいません」と答えると、「こちらはもう発送の段取りをしているんだから、そう言われても困る」と強い口調で言われて困ってしまいました。勇気を出して断って電話を切ったら、それ以降何もありませんでしたが、後で調べてみると、悪質な業者が強引に商品と請求書を送りつけて支払わせる手口だと分かりました。
還付金詐欺
昨年、ある月末の日に市役所の職員を名乗って、後期高齢者医療の保険料に還付があるという電話がありました。こちらの名前をフルネームで知っていましたし、「本当かな?」と少し考えました。でも、「月末なので、手続きは今日中にしてください」というあまりに急な内容に「これはおかしい!」と感じたんです。そこで一旦電話を切り、市役所に確認をしたら私の世帯に還付は無いということが分かりました。信じていたら振り込みをさせられていたかもしれません。
日常の予防策を学ぶ
本人の心構え・周囲の気づきと適切な相談で被害を未然に防ぐ
市消費生活センター所長 前原 啓
まずは自分の心構え
被害を防ぐには、何といってもまずは自分自身の意識を高く持つことです。悪質業者や詐欺の手口は日々新しくなっています。広報誌のコーナー「消費生活だより」や、消費生活センターのリーフレットでは、相談や報告例の多い手口を中心に紹介しています。また、自治会や老人会などを対象に、相談員による出前講座も開催していますので、最新の情報を手に入れる機会として、ぜひ活用してください。日頃から被害を避けるための心構えのポイント(下記参照)をしっかり確認しておくことで、トラブルを未然に避けることができます。
家族や周囲の気づきと見守り
次に大切なのは、家族をはじめ周囲の人の気づきや見守りです。センターでは被害にあった本人からだけでなく、家族や本人と関わりがある民生委員、ホームヘルパー、ケアマネジャーといった人から相談を受けることがあります。ただ、その多くは既に何らかの被害が起こってしまってからの相談なんです。周りの人が早い段階で要注意のサイン(下記参照)に気づくことができていれば、被害を未然に防げたかもしれません。どんな人でも、お金の話はなかなかしにくいものです。普段から幅広くコミュニケーションがとれる関係の中でこそ、ささいな変化に気づくことができるのだと思います。
人とのつながりも大切
また、自分から進んで色々な人と関わる機会を増やすことも有効な予防手段です。自分だけでは手に入らない情報に出会ったり、困りごとの相談相手ができたりと、良い点がたくさんあります。ご近所づきあいや趣味のサークルでもいいですし、世代の違う人たちと交流できるような場なら、なお良いかもしれませんね。
被害をなくしていくために
迷ったら相談を
大切なのは、困ったときに適切な相談機関の存在を知っておくことです。もしも被害に遭ってしまったり、疑わしいと感じた時は、すぐに消費生活センターに相談してください。一般的に、消費者トラブルの被害者のうち、相談等によって把握できている数は、全体の約1割程度だと言われています。つまり、残り9割の人たちは今も泣き寝入りをしたり、被害に気づかずにいたりするということです。より多くのトラブルを把握し、解決するために「迷ったら相談」を心がけてください。
トラブルの無い地域へ
誰しも自分が被害に遭ったことを人に話すのは嫌なもので、相談に勇気が必要な場合もあります。でも、相談をすることでさらに被害を重ねることを防げたり、悪質な業者や詐欺とその手口を発見できたりと、個人の利益の回復だけでなく地域全体として被害を減らすことにもつながっていきます。
あなたやあなたの身の回りの人は今、消費者トラブルで困っていませんか。そこに目を向ける勇気と気配りが、トラブルや被害の無い、安心して暮らせる地域をつくっていきます。
自分たちで心がける予防策
心構えのポイント
被害を避けるための4つのポイント
- 業者の言うことをうのみにしない
- 必要ないものはきっぱりと断る
- その場ですぐに判断や契約をしない
- 疑問に思ったら信頼できる人に相談する
見落とさないで! 要注意のサイン
あなたの周りにこんな人がいたら、相談が必要かもしれません
- 最近、見慣れない人物が家によく出入りしている
- 何かの説明会によく出かけるようになったが、表情が浮かない
- 長時間、訪問販売員や業者からの電話の相手をしている
- 羽毛布団や健康食品など、見慣れないものが多くある
- 必要以上に倹約し始め、お金に困っている様子が見られる
あなたの生活の身近な味方 消費生活センター
消費生活センターでは、専門的な知識と経験を持つ相談員が消費生活に関する相談に応じ、問題解決のための助言やあっせんを行っています。
- ところ
- 駅前四丁目6-16(クリエイトセンター内)
- 開所時間
- 月曜日~金曜日=午前8時45分~午後5時15分
- (相談は午前9時~午後4時30分)
- 第2・4土曜日=午前8時45分~正午
- (相談は午前9時~正午)
- 問合先
- 電話624-0799
- (消費生活相談 電話624-1999)
情報提供
消費者からの問い合わせに対して情報提供を行います。また、弁護士や司法書士等の専門家の支援が必要な場合は、適切な機関を紹介します。
自主交渉の助言
訪問販売で買った商品のクーリングオフの方法などを助言します。まずは、自分の力で問題を解決できるようにサポートします。
あっせん
勧誘方法や契約に問題があった場合など、必要に応じて相談員が事業者との話し合いのお手伝いをします。適切な解決方法が見つかるよう協力します。