夏休みこども特集 第100回文化財めぐり
いばらき文化財発見!!
問合先 文化財資料館 電話634-3433
市内にたくさんある文化財を紹介してきた「文化財めぐり」。
平成14年5月号から連載を開始し、今月号で記念すべき第100回目!!
そこで今月号は夏休み中のみんなに楽しんでもらえるよう文化財の魅力を紹介します
「文化財めぐり」をふりかえってみよう♪
- 銅鐸の鋳型(東奈良遺跡出土)
- 紫金山古墳
- 金属製筒入り木製キリスト磔刑像
- 平縁半肉刻四獣鏡
- 塔心礎(万福寺)
- 如意輪観世音菩薩坐像(大門寺)
- 佐保の石槽
- 郡山宿本陣
- 石燈籠(春日神社)
- 小銅鐸(東奈良遺跡)
- 須賀神社のくす
- 将軍塚古墳(鎌足古廟)
- 忍頂寺五輪塔
- 権内水路(深山水路)
- 和田惟政供養塔
- 茨木童子貌見橋
- 小西篤好の農業余話
- 阿武山古墳
- 弥勒堂
- マリア十五玄義図
聖書の教えを絵にしたもので、聖母マリアとキリストの生涯の中で最も有名な15の出来事をあらわしています - 東奈良から発見された土器
- 大岩八幡宮五輪塔
- 土偶
- 耳原古墳
- キリシタン墓碑
- 六地蔵・十三仏板碑
- 木造十一面観音立像(蓮花寺)
- 総持寺
- 銭原の石風呂
- ぼろ塚
- 一ノ井堰と五社井堰
- 茨木街道
- 西国街道
- 亀岡街道
- 化粧地蔵
- 安威古墳群
- 海北塚古墳
- 青松塚古墳
- 将軍山古墳
- 弥勒堂の釈迦涅槃図
- 初田1・2号墳
- 白井河原の合戦跡
- 深鉢棺(耳原遺跡出土)
- いろいろな石包丁
- 斜縁半肉刻一仙五獣帯鏡
- 京への道標
- 石仏のある道標
- 佐保クルス山出土の石仏
- 磨崖仏
- 木村常陸介墓碑
- 太田廃寺
- 馬塚
- 弥生時代に描かれた絵画
- 片桐且元在城の碑
- 勾玉の鋳型
- 十王図
- 兵桝
- 田中の丸また
- 茨木遺跡の欄間
「幻の城」と言われた茨木城の欄間かも?! - 埴輪
- 釜谷の甘泉
- 皇朝十二銭
- 須恵器
- 松沢池
- 延喜式内社
- 村田季武縁者の墓
- 金環
- おさん茂平恋道中碑
- トロトロ石器
- 穂積廃寺
- 聖フランシスコ・ザヴィエル像
- 人面付き土器
- 市内の指定文化財
- 茨木と藤原(中臣)鎌足
- 椿の本陣文書
- 隠れキリシタンの里
- 東奈良遺跡出土の銅鏡
- 三宅廃寺
- 儀杖形木製品
- 亀岡街道の道標
- 福者フランシスコ・ザヴィエルのメダイ
- 木造四天王立像
- 郡山宿本陣に残る高札
- 土馬
- 観音縁起
- 玉櫛媛と五十鈴媛
- 太田太郎頼基の墓
- 耳原大池
- 天使讃仰図
- 織田信長朱印状
- オオサンショウウオ
ボクも文化財だよ - 行基と茨木
- 天水受け
- 地福寺石造五重塔
- 最も大きな道標
- 清阪街道
- 秀吉書簡(梅林寺文書)
- 真龍寺古墳
- 歯神地蔵
- いばらき文化財発見!!
文化財の魅力
「文化財」っていうことばを初めて聞いた人もいるかもしれないね。いったいどんなものなのかな?文化財資料館の梶原館長に聞いてみよう
文化財資料館 梶原館長
いばらきにはいろんな文化財があります。
みんなに興味を持ってほしいな。
守り伝えられてきた財産
みんなが生まれるずっと、ずーっと前に生まれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な財産が文化財です。文化財にはいろんな種類があります。建物など人の手で作られたものもあれば、動植物など自然にできたものもあります。例えば、昔の人が使っていたお茶碗や湯飲みも文化財です。
謎を解く楽しさ
人の手による文化財には、その時々の社会の状況などの影響を受けたもの、関わった人の思いがこめられたものがあります。茨木市では、古墳や隠れキリシタン関連の遺物がそうですね。例えば、市内にあった将軍山古墳は全長110メートルほどの古墳で、古墳が造られた時期や大きさなどから、この地域をおさめていた人のお墓だと考えられています。このように古墳について調べると、ほうむられた人がどんな人だったのかなどを知ることができます。そんな文化財の発見が積み重なって、地域の歴史の謎が解き明かされるのです。文化財を知ると今まで分からなかったことが分かる。何だか楽しくなってきませんか?
身近な文化財
文化財はみんなが思うよりずっと身近なものです。この特集を読んだら、家や学校の近くにどんな文化財があるか友だちといっしょに調べてみてくださいね。
茨木市にはいろんな時代の文化財があるんですよ。その中でも特にすごいものを紹介していきます。
いばらきのすごい文化財
いばらきにはすごい文化財がたくさんあるんだよ。さあ、見てみよう♪
三島地域で大きさNo.1! 太田茶臼山古墳
市内にはおよそ200基の古墳があったことが分かっています。その中でも太田茶臼山古墳(継体天皇陵)は三島地域で一番大きい古墳です。
日本でたったひとつ!! 銅たく鋳型
東奈良遺跡で発見された銅たく鋳型(銅たくを作る道具)は日本でたったひとつしかない完全な形で残っている石の鋳型です。
実は茨木で発見!! 聖フランシスコ・ザヴィエル像
教科書でおなじみの聖フランシスコ・ザヴィエル像は市内の民家で発見されました。
あの有名人のお墓?!
大化の改新で有名な藤原(中臣)鎌足は一時、市内に住んでいたと言われています。また阿武山古墳は鎌足の墓だと考えられています。
そして今、1番熱い文化財!! 立命館大学建設予定地で見つかった謎の土坑群
2012年(平成24年)5月から約1年間、立命館大学大阪茨木新キャンパスの建設予定地で、発掘調査を行いました。その結果、なんと、謎の穴の列(列状土坑群)が発見されたのです。
穴が発見されたのは、JR茨木駅の南側。中条小学校遺跡とよばれていて、穴はその南西部分で見つかりました。弥生時代の終わり頃のものと考えられ、約120個の穴が7列にきれいに並び、その長さは約80メートルにもなります。穴の近くには集落の跡があり、周りの様子から、穴は集落の端にあったようです。
不思議なのは、穴の中からは何も発見されなかったということ。お墓なら一緒におさめられた品や骨、ごみ捨て場なら捨てられた土器のかけらなどが出てくるはずです。土器を作るための土が欲しくて穴をほったのだとしても、わざわざ穴を並べる必要はありません。こんな穴は、日本中探しても、例がありません。何の穴か、みんなも考えてみてください。みんなが考えた答えの中に正解があるかも!!
文化財を支える
文化財を研究する人、文化財を守り伝える人。
それぞれ文化財の魅力について聞いてみよう
京都大学大学院教授 吉井秀夫さん
発掘や研究はたのしいよ
研究する人
室山一丁目の紫金山古墳の発掘調査をした京都大学大学院の吉井秀夫先生。吉井先生に発掘のことを聞いてみよう♪
調査内容は大切な資料に
2003年春・夏と翌年夏、紫金山古墳がどんな形をしていたのか調べるために発掘調査をしました。紫金山古墳は前方後円墳という、真上から見ると円形と四角形が合わさった形をしていることが分かりました。古墳の形を調べれば、どの時代に造られた古墳なのかが分かり、日本の同じ種類の古墳を調べる大切な資料になります。
土の中はわくわくがいっぱい
発掘をしていると時には思いがけない発見があります。
例えば私たちの調査で紫金山古墳から大阪府柏原市にある松岳山古墳と同じ形の埴輪が出てきました。このことから、古墳が造られたとき、大阪の河内地域と北摂地域の間にはこれまで知られていなかった交流があったことが分かりました。
このように土の中には、まだ誰も見たことがない、知らないものがたくさん埋まっています。まだ見ぬ宝物を自分の手で見つけ出し、それが予想と違えばどうしてそうなったのか自分でいろいろ考える。それが発掘のおもしろさです。土の中にはわくわくがいっぱいあります。
古墳を見に行ってみよう
古墳は、教科書にも出てくるくらい貴重でおもしろいものです。茨木市にはたくさん古墳があります。せっかくそんなすごい文化財が自分のまちにあるのだから、みんなも見学に行ってみてはどうかな!
紫金山古墳で発見された副葬品
- 筒形銅器
- 現在、日本と朝鮮半島で発見されているものの中で一番大きく、形が複雑で飾りが優れています。
- 方格規矩四神鏡
- 中国で作られた鏡。発見された鏡の中でこの鏡だけが、お墓に埋葬された人のそばに置かれていました。
- 貝輪
- 南西諸島の貝でつくられた腕輪。細かい模様があるのが特徴です。
ぷち★えぴそーど
紫金山古墳からはたくさんの副葬品(お墓に埋葬された人と一緒におさめられた品々)が発見されました。なぜかというと、お墓がドロボウに荒らされなかったからなんです。副葬品の配置など当時の状況そのままに残っていた、とてもめずらしい古墳なのです。
守り伝える人
文化財を守りながら、大切さを伝える総持寺の中西住職と郡山宿本陣の梶さんに話を聞いてみよう♪
まずは興味を持ってもらう
総持寺住職 中西隆英さん
近くの小学生が来たときはまず興味を持ってもらうために、言い伝えられている寺の始まりについて話します。どうしてこの寺ができたのかを知るとみんなおもしろそうに寺の中を見学してくれます。
総持寺は歴史上で有名な今昔物語にも出てくる寺で、藤原氏や伊達氏ともゆかりがあります。ひとつの文化財から関係する歴史について学べるのが文化財のおもしろいところだと思います。総持寺にある室町時代の窯などの文化財もぜひ一度調べてみてください。
ぷち★えぴそーど
総持寺は藤原山蔭という人が観音様のお使いである亀に助けられたことがきっかけで建てられたお寺です。日本で1つしかない亀に乗った観音像があります。観音像は、毎年4月15日~21日の間はみんなも見られるよ♪
郡山宿本陣を守り続ける
郡山宿本陣第17代当主 梶 洸さん
本陣とは江戸時代の参勤交代などのときに、大名などが泊まった宿です。京都から西宮を結ぶ西国街道で本陣が今でも残っているのはこの郡山宿本陣だけです。
これからもこの本陣を守り続けるためには皆さんの理解が必要だと思っています。そのために私は、皆さんが見学に来たときに少しでも本陣に興味を持ってもらおうと宿帳をもとに泊まった人のエピソードを話しています。例えば、お金持ちに見える大名でも安く泊まろうと値切った人がいるんですよ。
ほかにもいろいろな面白い話があるので皆さん見学に来てください。
ぷち★えぴそーど
本陣には昔、五色の椿が咲いていてとてもきれいだったので「椿の本陣」と呼ばれています。郡山宿本陣には江戸時代の有名なお殿様、浅野内匠頭も泊まったよ。そしてなんと梶さんは今も本陣に住んでいるんだ!!
文化財を知ろう
文化財の魅力、伝わったかな?まずはいろいろ知ることが大切ですね。最後に梶原館長から、みんなへメッセージがあるよ!
文化財と友だちになって
みんなは、どうやって友だちを作りますか?あいさつして、遊んで、その子の好きなものや嫌いなものを知って、どんどん仲良くなっていくでしょう。そして、そんな友だちは大切にしようと思いますよね。それと同じように、みんなが文化財のことを知ることで、好きになってくれたり、大切にしたいなと思ってくれれば、とてもうれしいです。
文化財資料館には、市内で見つかった文化財が約800点もあります。みんなが授業で習う土器や石器などの本物を実際に見ることもできます。また、分からないことがあれば学芸員が答えます。ぜひ夏休みの自由研究や日頃の勉強の調べものに文化財資料館を利用してください。みんなが文化財と「友だち」になれるのを、楽しみにしています。
文化財資料館に行ってみよう♪
- 開館時間
- 午前9時~午後5時
- 休館日
- 火曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌日(日曜日の場合は開館)
- 所在地
- 東奈良三丁目12-18
- 入館料
- 無料
- 問合先
- 文化財資料館 電話634-3433
- 文化財資料館にはおもしろいものがたくさん!たとえば…
- 銅たくの作り方を紹介!
- 手を動かすと3D画像が動く!
- 映像などでわかりやすく解説!
- …ほかにもいろいろ、あるんです♪
文化財資料館のイベント
- 文化財資料館ロビー企画展 「なぞの穴を探る~中条小学校遺跡発掘調査速報展~」
- とき、8月7日(水曜日)~10月28日(月曜日)、内容、立命館大学大阪茨木新キャンパス建設に伴い、岩倉町で行われた発掘調査の速報展
- 文化財資料館オリジナルのミニチュア銅たく販売開始
- とき、8月1日(木曜日)から、内容、東奈良遺跡出土の銅たく鋳型をもとにつくられた銅たくのミニチュアを販売、費用、3,000円