市史編さん室だより
費用の記載がない場合は参加無料。定員・申込などの記載がない場合は事前申込不要または当日直接会場へ。
其ノ20
問合先、市史編さん室 電話622-2184
みこし山伝承
星見町に「みこし山」と呼ばれる小さな丘があります。
地元の言い伝えでは、溝咋神社の祭神玉櫛媛命と高槻の三島鴨神社の祭神事代主命(大物主命)とは夫婦神で、古くは祭日の10月14日に両社から神輿の渡御がありましたが、玉川あたりの石橋でぶつかりけんかが絶えなかったので、神輿をみこし山に埋めたといわれています。また、みこし山は玉櫛媛命の父親溝咋耳命の墳墓とする説(天坊幸彦「溝咋神社由緒」など)もあり、「神輿塚」とも呼ばれています。茨木高等女学校郷土研究室編「溝咋神社記」では、直径8メートル、高さ2メートルぐらいの古墳であったと言い伝えられています。
玉櫛媛命は、神武天皇の后となる五十鈴媛命の母親であり、大物主命は国譲り神話で有名な出雲の神です。このような大和朝廷創成にかかわる神話の重要な登場人物が「みこし山」伝承の主人公なのです。
以前は見えにくい場所にありましたが、最近、みこし山の周囲が住宅開発され、その時に地元有志によって「神輿山伝承の碑」が設置されました。住宅地の中に隠れて分かりづらくなっていたみこし山が外からも見えるようになりました。
はるかな神話の世界に思いをはせながら、一度みこし山を見に出かけてみてはいかがでしょうか。
(「新修茨木市史第10巻民俗」131・132ページ)