いばらき市議会だより

市長の施政方針に各会派が代表質問

3月1日に市長の施政方針の説明が行われ、その際、市長の隣で手話通訳が実施されました。
3月3日、6日に行われた施政方針に対する各会派の代表質問の主な内容は次のとおりです。

日本共産党

大嶺さやか〔質問者〕
朝田  充
畑中  剛

国のマイナンバーカード運用への意見を

マイナンバーカードと健康保険証の一体化について、国会ではカードが無くても代替物が発行され医療を受けられるとの答弁があったが、このような情報は市民に周知すべきではないか。また、国はカードの交付率により地方交付税に差を設けるとしているが、このような問題のある仕組みはやめるよう、国に意見すべきではないか。

カードが無くても医療が受けられることの周知については、国と連携しながら適切に対応していく。交付率を踏まえた交付税の算定については、本市への影響等について注視していく。

交通政策の見直しを

彩都東部地区に工場や物流センターの立地が進み、各企業が運行する通勤バスにより、駅周辺が混雑している。早急に交通政策を見直すとともに、駅を拠点とする市内のバス交通網のあり方を検討する時期ではないか。駅前以外の場所に交通結節点を設け、市内を縦横に移動できることで暮らしや観光を発展させるようなまちづくりに取り組むべきと考えるがどうか。

彩都バス輸送協議会において、モノレール彩都線の廃止区間の代替手段として、彩都西部地区から東部地区のバス輸送を検討するとともに、進出企業による共同バスの運行を検討するなど、駅周辺に大きな影響を与えないようバス輸送計画を検討している。また、総合交通戦略の見直しに当たっての現況調査や将来予測等を踏まえ、交通事業者とも連携を図りながら、適切な交通ネットワークを検討していく。

国政・府政に対する認識は

現政権が最新鋭の兵器に税金をつぎ込み、自衛隊と米軍が一体となって軍事演習を行っていることは、憲法9条の趣旨を逸脱している。また、5年間で43兆円に達する防衛費に関しては、世論調査でも反対の声が多く、軍事費を確保するための増税はやめるべきと考える。これらのことについて、市の認識はどうか。さらに、府のカジノIR計画は、軟弱地盤に高層建築物を建てることの安全性など多くの問題があると考えており、公的事業として進めるべきではなく、計画中止を府に意見すべきと考えるがどうか。

防衛費等の国政に対する認識について、市としての見解は差し控える。また、国政やIR計画に対し、市として意見を述べる考えはない。

自由民主党・絆

上田 光夫〔質問者〕
福丸 孝之
永田 真樹
塚   理
下野  巖

JR・阪急両駅前再整備のデザインは

JR茨木・阪急茨木市両駅の駅前再整備については、多額の公金を投入すると想定されることから、次世代にも評価されるクオリティとなるようデザインにこだわるべきであると考える。建築コンペを実施するなど、作家性がある施設をめざし、ありきたりなハード整備にならないよう工夫してはどうか。

駅前という公共性の高い立地においては、デザイン面やしつらえの工夫が必要であると認識しており、今後、整備の進捗に応じて、魅力ある都市空間の確保ができるような方策を検討していく。

誘致病院の緑地環境確保を

誘致病院については、立地が阪急茨木市駅前となることから、病院機能もさることながら周辺環境との接続エリアの工夫が重要となる。そのため緑地環境を十分に確保する必要があると考えるがどうか。

事業者候補者からは、関係法令等や用途地域の要件を踏まえ、必要な緑地面積を確保しつつ、積極的な緑化に努め、潤いのある外部空間を創出する旨の提案が出ている。

広い視点での多文化共生促進を

多文化共生について、引き続き外国人住民等の居場所づくりなどの取り組みを進めるとのことだが、多文化共生に必要なのは、互いの文化の相互理解であると考える。弱者支援という側面もあるが、それだけでは本来持っている可能性を狭めると考える。世界史的激動期にある今、地方自治体こそが国際交流や異文化交流を促進し、対立する人間の感情を緩和させることができると考えており、広い視点で取り組んでいく必要があると思うがどうか。

外国人住民の方が増加している現状において、言葉や文化の違いによる生きづらさの解消はもとより、互いの文化を尊重し、新たな価値を創造できるような共創社会の実現を目的とし、広い視点で事業に取り組むことが必要だと考えている。

「共創」のキーパーソンは

春日丘高校出身の現代美術家であるヤノベケンジ氏は、平成21年に大阪文化賞を受賞するなど、現代美術家として最前線で活躍していることから、まちの「共創」に必要なキーパーソンの一人と考えるがどうか。

「共創」とは、主体的な活動により、自らの可能性や創造性を発揮し、互いに共感し合い、また、その活動同士が組み合わさることで新しい価値が生み出されることと捉えており、ヤノベケンジ氏も本市に関わる一人として、共創のキーパーソンであると考えている。

アトリエmaruの評価と今後は

「アトリエmaru」事業は、障害のある、ないに関わらず、美術を通して場を共有し、一人一人がこれまでの価値観にとらわれず、新しい発見を楽しみ、好きなことを見つけることができる。本事業は、応募者数が多く、参加できない方もいたとのことである。障害の有無に関わらず、子どもの居場所として、今の時代に求められる事業と考えるが、本事業の評価と今後について、どのように考えているのか。

障害の有無に関わらず、児童・生徒の創作活動や発表の機会を確保することで、文化芸術活動を通じた社会参加の促進が図れたものと評価している。今後については、参加希望者のニーズ等を検証し、取組手法を検討していく。

大阪維新の会

円藤こずえ〔質問者〕
岩本  守
萩原  佳
長谷川 浩
大野 幾子

少数派の意見への向き合い方は

第5期次世代育成支援行動計画の策定に向けて調査を行うとのことだが、「土日に一時預かりを利用したい」、「出産退職後の復職相談の受け皿がない」等、これまでにも出た少数派の意見が何年も放置されている。このような意見には今後どのように向き合っていくのか。

緊急度などを考慮しながら、優先順位を検討して施策を展開している。今後も、市民の声を受け止め、施策のさらなる充実を図っていく。

ダムパークいばきたつり橋周辺整備は

ダムパークいばきたの整備について、公園内に日本一長いつり橋の建設が予定されているが、渡った先には何の施設もないとのことである。渡った先に簡易トイレしかないという状況では、多くの観光客やリピーターを生むことは難しいと考える。以上の点について、市はどのように考えているのか。

現地の地形条件から、用地及び上下水道等の機能の確保が難しく、開通当初の段階においては、大規模な施設整備は難しいと考えている。今後、利用状況や利用者の声に応じて施設整備ができるよう、事業者と協議していく。

中核市移行の検討を

府内で、中核市へ移行できる条件が整っているにも関わらず移行していないのは本市のみである。中核市になれば独自に保健所を設置することも可能となり、コロナウイルスの感染症法上の分類が2類相当から5類へ変更されようとしている今、中核市への移行について具体的に検討する時期になったと考えるがどうか。

移行により一定のメリットは想定されるものの、既に本市に保健所が所在するメリットがある一方で、財政負担や人員面などの課題が多いことから、現時点では慎重に考えている。移譲事務や財政面等の基本的な整理に加え、コロナウイルスの感染症法上の分類変更の影響も踏まえ、今後も総合的な見地から検証していく。

学校給食のアレルギー対応や無償化は

学校給食について、一人も見捨てない施策とするため、アレルギー対応はきめ細かに対応していくべきと考えるがどうか。また、他市では学校給食の恒久的無償化を図るとのことであるが、本市では無償化についてどのように考えているのか。

アレルギー対応については、安心・安全な学校給食の提供に向け、国・府の食物アレルギー対応マニュアルに基づき、適切に対応している。恒久的な無償化については、現在のところその考えはない。

誘致病院周辺道路の渋滞対策を

病院誘致の予定地周辺は道路が狭く、一方通行の部分もある渋滞多発地帯である。誘致に伴い、府道枚方茨木線の整備を府に働きかける等、周辺道路の渋滞緩和策を今から検討する必要があると思うが、市の考えはどうか。

阪急茨木市駅高架沿いの市道双葉町主原線の一方通行区間を一部対面化することで、交通の分散を図ることとしている。また、現在、府道枚方茨木線をはじめ、阪急茨木市駅周辺の交通実態の調査・分析を進めており、具体的な渋滞対策を進めていく。

公明党

河本 光宏〔質問者〕
岡本 壱郎
大村 卓司
青木 順子
松本 泰典
坂口 康博  

今後のコロナウイルス感染症対策は

国は、5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の分類を2類相当から5類に引き下げると決定した。分類の変更により対策が大きく変わることや、世界的にさまざまな変異株が流行していること、また、後遺症などの懸念もあり、今後を不安視する声もある。このような声に、市はどう対応していくのか。

市民から相談があった場合には、保健師等の専門職が対応するとともに、各医療機関や、府の「新型コロナ受診相談センター」を案内するなど、適切な対応に努めている。今後も国の動向を注視しつつ、市民への適切かつ迅速な情報提供に努める。

物価高騰への支援施策は

物価高騰の中、支援策として行ったプレミアム付商品券や小学校給食の無償化は特に市民に喜ばれている。プレミアム付商品券は、今後も継続して実施するのか。また、市税収入の増加見込みや社会情勢等を考慮し、小学校給食を恒久的に無償化してはどうか。

プレミアム付商品券については、社会経済状況や市内事業者等の現況を勘案した上で、必要に応じて実施する。また、小学校給食の恒久的な無償化については、現在その考えはないが、引き続き、社会情勢を見極めながら必要に応じて支援を検討していく。

誘致病院の小児救急体制は

本市の地域医療資源調査分析報告書において、小児医療を支援する体制として、「現在の初期小児救急医療提供体制を維持しつつ、子どもの急な病気等への対応、適切な受療行動など必要な知識の普及・実践を推進する」等の記載がある。誘致病院には、小児救急とともに深夜や休日の応急診療についても市民の強い期待があると思うが、市の考えはどうか。

小児初期救急((一次救急):主に自力で来院する軽症患者への夜間や休日の外来診療)については、三島二次医療圏における広域での対応を基本としており、誘致病院では二次救急医療(入院・手術を必要とする重症患者への診療、応急処置及び救命救急医療機関への紹介・移送)体制が原則となる。なお、小児救急体制については、市内二次救急医療機関等との連携・役割分担などについて、事業者候補者と協議、調整していく。

平和への取り組みは

ロシアのウクライナへの軍事侵攻等で価値観等の違いが露呈したと思うが、市の平和への思いと具体的な取り組みはどうか。また、本市が非核平和都市宣言を行っていることを踏まえた考えや、新たな取り組み等はあるのか。

ウクライナへの軍事侵攻後、ロシア連邦大統領に対して抗議文を送付した。引き続き、非核平和都市宣言の理念に基づき、核兵器の不使用と戦争の一刻も早い終焉を、市民とともに発信していく。

多様性が尊重される社会の構築を

多様性を認め合い、尊重される社会の構築について、市は人権の観点からはどのように考えているのか。また、社会に根付いていくことが肝要であると考えるが、方向性など、実現するための具体的な考えはあるのか。

一人一人がかけがえのない存在として尊重され、誰もが個性や能力を生かして自己実現を図ることのできる社会を構築することが必要であると認識している。それぞれの個性や価値観、生き方等の違いを認め合い、多様性を尊重することを、さまざまな人がつながり合う日常の人間関係の中で体得し、行動において実践できることをめざして取り組みを進めていく。

発達状況に応じた支援は

国の調査では、通常学級に在籍する小学生・中学生の8.8%に、学習面や行動面に困難のある発達障がいの可能性があることが分かり、個性に応じた支援策の充実が課題と指摘されている。本市においては、集団療育や個別療育について、子どもの特性や状況に応じた十分な対応ができる環境にあるのか。

療育の入口として、小集団で療育を行う「すくすく親子教室」や、「あけぼの学園」を含めた2か所の児童発達支援センター、個別療育の委託事業所をはじめ約50か所の事業所があり、さまざまな取り組みを行っている。また、保護者向けの事業所説明会や事業者向けの研修会等も実施し、連携を深めながら療育全体の充実を図っている。

いばらき未来の会

稲葉 通宣〔質問者〕
西本 睦子
安孫子浩子

重層的支援体制整備の進め方は

社会情勢の変化により複雑化・複合化した生活課題に対し、世代や分野を超えた支援体制を構築する「重層的支援体制」整備事業の取り組みを進めることを期待している。これまでの課題であった参加支援事業や地域づくり事業についてはどのように進めていくのか。

参加支援事業と地域づくり事業は密接に関連し、また、両事業とも地域との関係性の構築などが重要であることから、両者を有機的に連動させる仕組みの構築を進めていく。

児童遊園の今後の対応は

公園の人と人とをつなぐ役割や必要性が高まる中、大人向けの健康増進を図る器具を設置するなど、幅広い世代が利用できる工夫をしていることを評価する。一方で、高齢化が進む地域では、児童遊園の地域管理が難しくなってきており、市として今後の対応を検討するべきと考えるがどうか。

地域にも協力いただきながら、その維持管理に努めているところだが、高齢化が進む地域などで課題があることは認識しており、現在、地域を対象に調査をしている。

公共交通のあり方と移動支援は

本市においても、年々高齢者の免許返納が進んでいるとのことだが、誰もが安心して暮らせるまちづくりに移動手段の確保は欠かせないと考える。本市の中長期的な公共交通のあり方や次年度の移動支援の取り組みについて、どのように考えているのか。

高齢化や生活様式の変化、技術の進展等に対応した、より効率的な移動手段が求められており、利便性のみではなく、経済性や持続性も重視し、交通事業者と連携した検討が必要であると認識している。次年度は、総合交通戦略の見直しに当たり、現戦略の進捗確認やデータ収集を行うとともに、市民と意見交換する機会も設けたいと考えている。