4月18日 鯛を華麗にさばく伝統行事 総持寺で「山蔭流庖丁式」

18日、正午から、高野山真言宗補陀洛山（ふだらくさん）総持寺（総持寺一丁目）の伝統行事の一つ「山蔭流庖丁式」が行われました。

この行事は、同寺の本尊造立の際、開山中納言藤原山蔭が本尊を彫る仏師に千日間にわたり、毎日異なる献立の料理でもてなしたことから、毎年、本尊開扉法要と同じ4月18日に行われています。現在の形式は室町時代から伝えられており、当主が賓客を前に、座敷にまな板をおき、料理をして見せたことに由来しています。

式は料理の神様として慕われる中納言を祀る境内の庖丁式殿（開山堂）で行われました。毎年、山蔭流京奉会（代表 茅ヶ迫正治さん）から選ばれる、調理師が腕前を披露し、今年は、普段クサツエストピアホテルで統括料理長を務める清水 誠さんが大役を担いました。

直垂（ひたたれ）、烏帽子などといった平安時代の装束に身を包んだ清水さんは、右手に長さ約30センチの庖丁、左手には真魚箸（まなばし）を持ち、今年奉納する鯛を前に、華麗な庖丁さばきを披露した。堂内に流れる雅楽の調べに合わせて、鯛に手を一切触れずにさばくさまは圧巻で、観客からは拍手と歓声があがりました。庖丁式を終えて、清水さんは、「独特の雰囲気の中で行うので、今回で4度目ですが何度経験してもすごく緊張します。無事にやり遂げることができて、ホッとしました」と語りました。

昨年の大阪北部地震や台風21号により、庖丁式が行われた開山堂も東に3センチメートルほどずれるなど大きな被害を受け、お堂へ続く階段の位置を変えるなどの修繕等を行いました。住職の中西隆英さんは、「地震や台風で開山堂も被害を受けましたが、今年も無事庖丁式を開催することができ、ひと安心です」と話しました。