○茨木市環境基本条例

平成15年3月31日

茨木市条例第27号

私たちが暮らす茨木は、京阪神を結ぶ要路にあり、さらに、北摂の山々と清らかな流れをもつ、水と緑に恵まれた地であり、この良好な「環境」は市民全体の共有の財産である。

しかしながら、私たちは日常生活や事業活動において、物質的な豊かさや便利さを追求するあまり、大量の資源やエネルギーを消費し、環境への負荷を著しく増大させてきた。その影響は地域の環境にとどまらず、すべての生命の生存基盤である地球環境を脅かすまでに至っている。

私たち人類は、生態系の一部として存在し、自然から多くの恵みを受けていることを改めて自覚し、環境と密接にかかわる私たちの生活のあり方を見直さなければならないという共通の課題に直面している。

安全かつ健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を享受することは、すべての市民が共有する権利であり、かけがえのない地球環境と健全で恵み豊かな地域環境を保全し、将来の世代に引き継いでいくことは、すべての市民の責務である。

このような認識に立って、これまでの生活や事業活動を自ら問い直し、市、事業者及び市民が互いに連携し、協働することによって、人と自然が共生する、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を創造するために、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民が安全かつ健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生じることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が安全かつ健康で文化的な生活を営むことのできる良好な環境を確保するとともに、これを将来の世代へ継承していくことを目的として行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、微妙な均衡を保つことにより成り立つ自然の生態系に配慮するとともに、自然環境を適正に維持し、向上させることによって、人と自然が共生する都市を実現することを目的として行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、環境資源の適正な管理及び循環的な利用を図ることによって、持続的発展が可能な循環型社会を構築することを目的として行われなければならない。

4 環境の保全及び創造は、社会経済活動における環境への配慮その他の環境の保全等に関する行動が、市、事業者及び市民の公平な役割分担の下に協働して行われることによって、環境への負荷の少ない都市を構築することを目的として行われなければならない。

5 地球環境の保全は、市、事業者及び市民のすべての活動において、自らの課題として、積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、基本理念にのっとり、事業者及び市民の自主的な環境の保全及び創造に関する活動への取組を支援する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、自らの責任において、公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講じる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他の環境の保全に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(施策の基本方針)

第7条 環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本方針として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 大気、水、土壌等を良好な状態に保持することにより人の健康を保護し、及び生活環境を保全すること並びに地域の特性を活かした良好な都市景観の形成等により快適な都市環境を創造すること。

(2) 野生生物の生息及び生息環境への配慮等により豊かな生態系を保持すること、河川、森林等の自然環境を適正に保全すること及び人と自然との豊かな触れ合いを保つこと。

(3) 廃棄物の減量、資源の循環的な利用、エネルギーの効率的利用その他の省資源及び省エネルギーを徹底することにより、天然資源の消費を抑制すること。

(4) 市、事業者及び市民すべてが、事業活動及び日常生活において環境に十分に配慮するなど自主的かつ積極的に行動することにより、環境への負荷を低減すること。

(5) 地球温暖化の防止、オゾン層の保護等に積極的に取り組むことにより、地球環境を良好な状態に保持すること。

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標及び総合的かつ長期的な施策大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 環境基本計画を策定するに当たっては、事業者及び市民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。

4 環境基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ第24条に規定する茨木市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画との整合)

第9条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るものとする。

(年次報告)

第10条 市は、毎年、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する施策の実施状況について年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(環境影響評価)

第11条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行う事業者が、あらかじめその事業の実施に伴う環境への影響について自ら調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講じるものとする。

2 市長は、環境の保全及び創造を図るため必要があると認めるときは、前項の事業者に対して必要な指導又は助言を行うことができる。

(規制の措置)

第12条 市は、環境の保全及び創造を図るため必要があると認めるときは、必要な規制の措置を講じるものとする。

(資源の循環的利用等の促進)

第13条 市は、環境への負荷を低減するため、事業者及び市民による廃棄物の減量、資源の循環的利用、エネルギーの効率的利用等が促進されるよう必要な措置を講じるものとする。

(公共施設の整備等)

第14条 市は、公共下水道、廃棄物処理施設その他の環境の保全及び創造に資する施設の整備を推進するものとする。

2 市は、公共施設の建設及び維持管理に当たっては、資源及びエネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量のために必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(監視体制の整備)

第15条 市は、環境の状況を把握するために必要な監視、測定及び検査の体制の整備に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第16条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的に推進するための体制を整備するものとする。

(自主的活動の支援)

第17条 市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「市民等」という。)が自ら行う環境への負荷の低減その他の環境の保全及び創造に資する活動を促進させるため、技術的な指導又は助言その他の必要な措置を講じるものとする。

(環境教育、環境学習の推進)

第18条 市は、市民等が環境の保全及び創造について関心と理解を深めるとともに、その自主的な活動が促進されるように、環境に関する教育及び学習の振興について必要な措置を講じるものとする。

(情報の収集及び提供)

第19条 市は、環境の保全及び創造に関する市民等の自主的な活動を促進するため、必要な情報の収集及び提供に努めるものとする。

(市民等の参加)

第20条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するに当たり、市民等の参加、協力等を得るために必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(苦情の処理)

第21条 市は、公害その他の環境の保全上の支障に係る苦情について、迅速かつ適正な処理を図るように努めるものとする。

(財政上の措置)

第22条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。

(地球環境の保全等)

第23条 市は、市民等と協働して、地球環境の保全に資する施策を推進するものとする。

2 市は、地球環境の保全その他広域的な取組を必要とする施策の実施に当たっては、国及び他の地方公共団体等と協力して、その推進に努めるものとする。

(環境審議会)

第24条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、茨木市環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する基本的事項

3 審議会は、前項各号に掲げる事項に関し、市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員12人以内で組織する。

5 委員は、市民、学識経験者その他の者のうちから市長が委嘱する。

6 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。

7 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(茨木市の環境保全に関する条例の廃止)

2 茨木市の環境保全に関する条例(昭和47年茨木市条例第28号)は、廃止する。

(茨木市報酬及び費用弁償条例の一部改正)

3 茨木市報酬及び費用弁償条例(昭和40年茨木市条例第17号)の一部を次のように改正する。

別表図書館協議会委員の項の次に次のように加える。

環境審議会委員

日額 7,400円

(茨木市建築協定に関する条例の一部改正)

4 茨木市建築協定に関する条例(昭和51年茨木市条例第22号)の一部を次のように改正する。

第1条中「茨木市の環境保全に関する条例(昭和47年茨木市条例第28号)第2条に規定する」を「茨木市環境基本条例(平成15年茨木市条例第27号)の理念にのっとり、」に改める。

茨木市環境基本条例

平成15年3月31日 条例第27号

(平成15年4月1日施行)