広報いばらき

文化財めぐり

問合先、文化財資料館 電話634-3433

Vol.116

高坏形土製品

 高坏形土製品は、銅鐸などの製品を作るために溶けた青銅を鋳型に流しこむ道具として弥生時代に使用されていたものと考えられています。高坏と聞いてまず思い浮かぶのは、仏前に食物、茶湯を捧げるために使われている飲食供養具ではないでしょうか。市内の東奈良遺跡から出土した高坏形土製品は、高坏と似ていますが用途は異なり、脚部と坏部の間に把手が付いていることや、厚手の作りであるなどの特徴があります。

 東奈良遺跡では、他にも青銅の成分が付着した細かい粒子の土である真土が出土しています。この真土は緩やかに湾曲していることから、銅鐸を作る際の青銅を入れる前に高坏形土製品の内面に塗られていたものと考えられています。東奈良遺跡で出土した高坏形土製品は、他の近畿地域の遺跡で出土したものの中で最も古く、弥生時代中期(紀元前1世紀頃)に使用されていたものと考えられ、貴重な資料です。

 文化財資料館では、8月3日から9月5日まで「発掘された日本列島2015里帰り展 東奈良遺跡ってすごい!」を開催しています(イベント参照)。そこでは、高坏形土製品をはじめ、市の指定文化財に登録されている小銅鐸など、東奈良遺跡の出土品を展示しています。ぜひ一度、足を運んでみてください。