広報いばらき

文化財めぐり

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Vol.113

井於神社の算額

 井於神社(蔵垣内三丁目)には算額が奉納されています。算額とは、日本独自の数学「和算」の専門家である和算家が、自身が解いた問題を額に描いて神社に奉納したものです。この風習は江戸時代初期から始まったとされ、神仏に解決を感謝するとともに、問題を広く伝えるという意図があったようです。

 井於神社の算額は弘化3年(1846年)に宇野辺村の山野光之助という人物により奉納されました。光之助のことはほとんど分かっていませんが、吉志部村(吹田市)の吉田氏に和算を学んだ人物であることがこの算額から読み取れます。この算額は昭和25年(1950年)の台風により一度破損しましたが、のちに色合いもそのままに復元されました。

 算額には通常、複数の問題が描かれていますが、井於神社の算額には問題が9つもあり、ここまで多いものはめずらしいです。

 現存する算額は少なく、この算額を見るために高校生が遠くから訪ねて来ることが度々あります。また、井於神社の算額の問題は良問で、中学校の数学の教科書で取り上げられているものもあります。数学に自信のある人は、ノートとペンを片手に、井於神社を訪ねてみてはいかがでしょうか。