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剣道 錬士
西尾茂富さん(78)(穂積台)

 日本を代表する武道の一つである剣道。近年、剣道は世界的に普及しつつあります。今回紹介する西尾茂富さんは、ベトナムで剣道を指導し、剣道の素晴らしさを世界に伝えています。

剣道の指導で和の心を世界に

西尾さんが剣道と出会ったのは52歳の頃。体育館で見かけた面を打つ動作の美しさにひかれ、稽古を始めました。稽古を積むにつれ腕前も上達し、平成13年(2001年)には、60歳以上のスポーツの祭典「ねんりんピック」に、府の代表選手として出場するほどの実力に。「剣道の魅力の一つが達成感。それまでできなかった技が努力してできるようになったり、昇段したりした時は、やりとげたなと感じますね」と西尾さんは話します。

 西尾さんは10年ほど前から、海外に行って現地の人と試合をする剣道旅行に定期的に参加しています。ほとんどの海外の道場には日本人指導者がいますが、ベトナムで出会った青年たちには日本人の指導者がいませんでした。彼らに「私たちに剣道を指導してください」と懇願され、その熱い気持ちに心打たれた西尾さんは、ベトナムで指導することを決意しました。「剣道に言葉の壁はありません。一所懸命学ぼうとする相手に、こちらも真剣に応えれば、互いに通じ合えるのです」と西尾さん。毎年ベトナムに行き剣道を指導するだけでなく、「ハノイ正剣館」を現地で立ち上げたり、教え子を日本に招いて昇段試験を受けさせたりするなど、ベトナムでの剣道のさらなる発展に貢献しています。

 「剣道はスポーツではなく武道。国籍に関わらず、礼義と作法を大切にする和の心を、剣道を通して学んでほしいです」と真剣な眼差しで西尾さんは語りました。