広報いばらき

文化財めぐり

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Vol.112

上寺山古墳

 上寺山古墳は、名神高速道路建設に伴って、下穂積にある上寺山と呼ばれる丘陵の頂上近くで発見されました。その後、昭和36年(1961年)に短期間の調査が行われました。調査の結果、この古墳がいくつかの珍しい特徴があることが分かり、一躍注目を集めました。

 1つめの特徴は、丸太で組まれた横穴式木室と呼ばれる墓室であったこと。2つめは、埋葬後に火をかけられた状態で発見されたことです。いずれも全国に例が少ないものであり、貴重な調査事例となりました。

 発掘前は、幅約3メートルにわたって焼けた土があったことから、須恵器を焼いた窯跡であると考えられていました。しかし、焼けひずみのある須恵器がほとんどなく、完成度の高い器が多かったことや、木の棺に使われることの多い鉄釘が多数見つかったことから、古墳であると分かりました。

 現在、上寺山古墳は日本にある横穴式木室の代表例として知られています。横穴式木室の復元図がこの調査によって全国で初めて作られるなど、この調査をきっかけに、古墳時代の横穴式木室や「火葬」について研究が進みました。