広報いばらき

人キラリ

キラリと光る市民紹介コーナ−

ユーモア造形作家

江口 宏さん(69)(下穂積一丁目)

 愛嬌のある紙粘土の人形が並ぶ作業机。泣いたり笑ったりと表情豊かな作品ばかりです。今回紹介する江口さんは、ことわざや四字熟語を、おもしろおかしく目で見える形で表現する芸術家です。得意の言葉遊びを使って、思わずくすっと笑えるような、元気が出る作品を作り続けています。

言葉遊びでユーモアあふれる作品を

 個人塾を経営していた江口さんは、生徒がくれた小石の上に紙粘土で人形を作って乗せ、「これが『石の上にも三年』だよ」と見せたところ、大好評。もともと手先が器用なこともあり、作品を作っては生徒を喜ばせていました。

 そんな中、転機は53歳のときに訪れます。江口さんの作品が知り合いを通して東京の百貨店の担当者の目に留まり、展示スペースで個展を開くことが決まりました。「急な話でしたが、一生に一度しかないチャンスだと思い、3か月で50点の作品を作りました」と江口さんは振り返ります。一週間で約2,000人が来場し、たくさんの新聞や雑誌、ラジオの取材を受けました。「東京では、オリジナリティが人の心をつかむ。ことわざをベースにしたユーモア作品を作るのは私だけだったので、注目されたのでしょう」。これをきっかけに、江口さんは紙粘土の人形やイラスト、漫画などの作家活動を始めました。

 作品作りで大切にしていることは、「ばかばかしくておもしろい」こと。江口さんは言葉遊びでそれを表現します。「例えば、『十人十色』をもじった『十人十福』。10人の福助人形が組体操のピラミッドをする作品です。一人ひとりの表情が全部違う。まさに十人十色ですよね」と江口さんは語ります。今後は、見て楽しむ作品だけでなく、実用的なものもデザインしていきたいと言う江口さん。ユーモアのセンスに磨きをかけ、これからも創作活動は続きます。