広報いばらき

文化財めぐり

問合先、文化財資料館 電話634-3433

Vol.110

郡山伊勢講文書

 市には、市内各地から寄贈された伊勢講の資料が数多くあります。

 そのうち、昨年度、市に寄贈された郡山伊勢講文書は、郡山地区の伊勢講について記したものです。

 伊勢講とは、伊勢信仰に基づいた信者の集団のことで、参加者は講員と呼ばれ、江戸時代から日本各地で結成されました。茨木でも、市内各地に伊勢講が存在し、講員で旅費を出し合って伊勢神宮へ参拝していました。

 木箱の中に保管されていた郡山伊勢講文書には掛軸と古文書があり、掛軸には、「天照皇太神宮」「八幡大菩薩」「春日大明神」と示され、講員は掛軸に向かってお参りしました。一方、寛政6年(1794年)から昭和18年(1943年)の古文書は、御伊勢講算用書、講中勘定帳、伊勢講之帳、萬覚帳、諸事買物帳、参宮買物帳、伊勢講勘定帳があります。ここには、伊勢参りをするのにかかった旅費や、酒代、食事代などの費用が記録されています。また、講員や、講の代表として伊勢に参宮する代参の人の名前も記されています。

 郡山伊勢講文書は、江戸時代から昭和初期にかけて、一つの地区で長期間にわたって記録が残っている貴重な史料です。昔の茨木で伊勢講がどのような活動をしていたか、ここからひも解くことができます。