広報いばらき

市史編さん室だより

費用の記載がない場合は参加無料。定員・申込などの記載がない場合は事前申込不要または当日直接会場へ。

其ノ23

問合先、市史編さん室 電話622-2184

94年前、茨木に「ジャイアン」出現

 市史編さん室では、市史編さんのための基礎的な作業の一つとして、市域を中心とした過去の新聞記事の収録作業を行っています。

 ある日のこと、その作業を行っている若い研究者の声が同室に響き渡りました。「えーっ、ジャイアン?」。

 1919(大正8)年12月23日の「大阪朝日新聞」に、当時の三島郡の有馬松之助郡長が、その年亡くなった二女の香典返しとして、郡下の小学校に「ジャイアン」を寄贈したという記事があったのです。

 このジャイアンがあの国民的アニメの愛すべきガキ大将でないことはすぐに分かりましたが、ではこのジャイアンは何なのか。同室では、学校に寄付したのだから何かの教具だろうとか、言葉の響きがジャイロスコープに似ているのでコマか何かではないかなどとさまざまな意見が出ましたが、そのときは分からずじまいでした。

 その後、茨木小学校の古い記録を調べていたとき大正8年の記述に「有馬松之助氏ヨリ鉛筆削器一個(価格約四円)ヲ寄贈セラル」という記事があるのに気づきました。これはと思い調べると、ジャイアンというのは当時最先端の外国製鉛筆削り器だったということが分かったのです。

 過去の新聞記事の収録作業の成果は『新聞にみる茨木の近代』として発刊・頒布しています。残念ながらジャイアンの記事は収録できませんでしたが、現在、明治から大正までの巻が完成しました。この間の茨木市域のできごとを新聞記事でたどることができます。ぜひ一度ご覧ください。