広報いばらき

特集1

竹田

~歴史文化姉妹都市提携~

今月、茨木市と大分県竹田市は歴史文化姉妹都市提携を結びます。

大分県南西部に位置している竹田市は歴史や文化で深い関わりを持つ市です。

今月の特集では本市との関わりを中心に観光や文化など、竹田市の魅力をお伝えします。

問合先 文化スポーツ課 電話620-1608

岡城 茨木と竹田をつなぐ城 

 今からさかのぼること約400年。文禄3年(1594年)、茨木城主であった中川清秀の次男、中川秀成が豊臣秀吉の命により岡城に入城しました。茨木市と竹田市のつながりはここから始まります。

 岡城は、一説には源平合戦後、郷土の武将緒方三郎惟栄が、源頼朝と仲違いをした源義経を迎え入れるため、文治元年(1185年)に築城したと伝えられています。戦国時代には、3万7千人もの軍勢をわずか千人で撃退するなど、難攻不落の名城と称されました。豊臣秀吉をして、九州征伐の後「わが大軍をもってすれば、薩摩は10日、肥後は5日、その他は3日の仕事だと思っていたが、岡城を取ることは簡単でないことを知った。世の中には堅固な城もあるものだ」と言わしめたと伝えられています。

 岡城に入り岡藩の初代藩主となった秀成は、城の再構築と城下町の建設に着手しました。現在も残る城郭や城下町の基礎はこの時につくられたものです。

 明治に入り、取り壊された岡城ですが、再び脚光を浴びる時が訪れます。光を当てたのは瀧廉太郎。不朽の名曲「荒城の月」は、幼少期を竹田で過ごした瀧廉太郎が、よく遊んでいた岡城をモチーフに作曲したものです。

 現在、竹田市では時報のサイレンの代わりに「荒城の月」のメロディーが時を知らせています。茨木とゆかりの深い秀成が基礎をつくった風景。そして、そこで生まれたメロディーが、竹田市民の生活に溶け込んでいます。

キリシタン 共に守り続けた信仰

 茨木と竹田は、隠れキリシタンの里として有名な土地です。

 かつては共にキリシタン大名によって治められた地域をもち、日本におけるキリスト教布教の拠点でした。しかし、豊臣秀吉のバテレン追放令とそれに続く徳川家康の禁教令により状況は一変します。茨木や竹田も全国の例にもれず、キリシタンに対する弾圧が強まりました。しかし、こうした中でも、隠れて自らの信仰を貫いた人々がいます。それが隠れキリシタンです。彼らは自らの心を決して裏切ることをせず、信仰を守り続けました。

 先人たちが命を懸けて守り抜いた信仰の証として、キリシタンの里ではさまざまな遺物が見つかっています。茨木市では、国指定重要文化財「聖フランシスコ・ザビエル像」や現在国内に2点しか存在しない「マリア十五玄義図」などが発見されています。また、竹田市では「銅鐘」(サンチャゴの鐘)や「聖ヤコブ石像」などの遺物のほか、礼拝堂だったと考えられる洞窟や稲荷も数多く見られます。

 これらの発見は、世界的に見ても貴重なものです。

国指定重要文化財 「銅鐘」(サンチャゴの鐘)
同型の銅鐘は、国内では少数しか存在していない貴重なキリシタン遺物。元はサンチャゴ病院にあったと考えられており、病院が破壊された後、長崎奉行の竹中重義を経て、2代目藩主、中川久盛が竹田に持ち帰ったと推測されている。岡城取り壊しの際に発見された。表面には十字章と「HOSPITAL SANTIAGO 1612」と記銘。

川端文学 ゆかりの文豪

 茨木と竹田の両方にゆかりのある人物に、茨木市の名誉市民でノーベル文学賞を受賞した文豪川端康成がいます。

 康成は3歳から18歳までを茨木で過ごし、「十六歳の日記」など茨木を舞台にした作品も多数執筆しています。また、康成は昭和27年、竹田市の久住高原などを訪れたことがきっかけで、「千羽鶴」の続編「波千鳥」を執筆。主人公の父親の故郷を竹田とする構想を得て、小説新潮で連載を始めました。

 こうしたことから竹田市では、康成とともに川端文学は親しまれています。また、県立竹田高校では、次代を担う高校生たちに、康成が竹田にのこした足跡を伝え、地域を創造する活力を育むことをめざし、平成21年から毎年、「川端康成記念講演会」を開催しています。

交流 まちを知ることから

 竹田市は歴史・文化・自然など、さまざまな魅力にあふれたまちです。

 この魅力的な竹田市と歴史文化姉妹都市提携に至るまでには、岡藩を治めてきた中川家のルーツに興味を持った多くの市民が、長年にわたり関わってきました。

 自分が住むまちのことをよく知ることは、自分のまちをこれまでよりも好きになったり、今まで知らなかったことや人への興味につながるのかもしれません。

 本市にも歴史や文化、観光、特産など素晴らしい魅力がたくさんあります。こうした魅力を知ることは新たな出会いのきっかけです。自分のまちを知り、ほかのまちも知る。そこで生まれる交流は、皆さんの人生をより楽しく、豊かなものにしてくれることでしょう。

観光

竹田の歴史と文化を感じる城下町

絶え間なくこんこんと湧き出る竹田湧水群

広大な緑のパノラマが広がる久住高原

銀色の気泡に癒される長湯温泉など

竹田には見どころいっぱい楽しみいっぱい!

岡城跡・城下町 ー歴史と文化ー
岡藩時代、政治・経済・文化の中心地として繁栄を極めた城下町。まちを練り歩く大名行列や、格式ある武家屋敷通りは、今も往時の面影を感じさせます。
久住高原 ーグリーンパノラマー
久住高原は阿蘇くじゅう国立公園の中にあり、雄大な景色や四季折々の花々などの色合いが魅力です。春先の野焼きや、秋の牧草の干し草の香りは風物詩のひとつです。
長湯温泉・湧水・名水 ー名水のふるさとー
長湯温泉は、古くから炭酸泉の湯治場として親しまれています。祖母・阿蘇・久住を水源として、各地では1日数万トンともいわれる量の清水が湧く名水の地です。
名産品 ー名水に育まれた山の恵みー
大分が日本一の栽培面積と生産量を誇るカボスとサフラン。竹田でも市を代表する特産物です。椎茸は生産量、質とも県下トップクラス。竹田はおいしい水が育てた食材の宝庫です。

茨木と竹田をつなぐ

竹田市出身の茨木市民 阿南啓二さん

 実家が竹田市にあり、高校卒業まで竹田市で過ごした阿南さん。竹田市に住んでいた時は岡城跡で花見をしたり、白水の滝のあたりで川遊びなどをしていました。時報や駅の音楽で流れていた荒城の月を聞くと故郷を思い出すそうです。

 「茨木市には11年前に仕事の都合で引っ越してきました。茨木市は子育て・教育が充実していて住みやすいので来てよかったです。竹田市はあまり有名ではありませんが、景色はすごく良いですし、水も食べ物もおいしいです。ぜひ茨木市の皆さんも竹田市に興味を持ってもらいたいですね。」

茨木にゆかりがある竹田市民 能勢昭二さん・隆子さん夫妻

 中川秀成の家来の末裔という能勢昭二さん・隆子さんご夫妻。先祖代々の墓は、岡城跡の方角を向いているそうです。敬虔なキリシタンとして育った祖先と同じく、能勢さん夫妻もキリスト教を信仰しています。

 「歴史文化姉妹都市提携を結ぶことになって嬉しいですね。以前、わが家のルーツを知りたくて、関西方面を訪問したことがあります。今後、締結をきっかけに、竹田市でもキリシタンの歴史文化の正しい理解が広がることを期待しています。」

茨木ライオンズクラブ会長 木村忠兆さん

 茨木ライオンズクラブは、25年前から竹田市のライオンズクラブと交流をしてきました。交流のきっかけは、茨木市で行われた茨木城主中川清秀の400年祭に竹田ライオンズクラブが参加したこと。年に数回行き来をして、お互いの観光地を案内したり、特産品を交換したりしています。

 「クラブで培ってきた交流の歴史が、竹田市との姉妹都市提携に発展し、今後、さらに市民同士の交流につながれば嬉しいですね。竹田市には壮大な自然、文化遺産など見所がたくさんあります。ぜひみなさんも一度訪れてみてください。」

竹田市関連イベント

歴史文化姉妹都市提携調印式

 調印式では、盟約書の調印のほか、竹田市の紹介、大岩太鼓の演奏なども行います。ぜひご来場ください。

とき、11月16日(土曜日)、午前10時~11時30分、ところ、福祉文化会館文化ホール、対象、中学生を除く、15歳以上の市民、定員、先着50人、申込、11月1日から、電話で文化スポーツ課 電話620-1608

~郷土民俗資料展~ 茨木城と豊後竹田の岡城をめぐる中川家

とき、11月29日(金曜日)~12月1日(日曜日)、午前9時30分~午後4時30分(最終日は午後3時まで)、ところ、市民会館ドリームホール、問合先、社会教育振興課 電話620-1686