私と茨木 茨木ゆかりの人々

各界で活躍する茨木市ゆかりのある人々に、茨木の思い出や茨木の好きなところについて語っていただきました。

岸本 力さんの写真

バス歌手

岸本 力さん

プロフィール
昭和22年茨木市生まれ。福井小―養精中―春日丘高校出身。東京藝術大学卒業、同大学院修了。昭和47年第41回日本音楽コンクール第一位。昭和48年、日本フィル「第九」、大阪フィル「森の歌」でバス歌手としてデビュー。昭和59年文化庁芸術祭優秀賞。平成22年文化庁長官表彰賞受賞。平成24年2月17日、ロシア大統領メドベージェフより、日本人歌手として初の「プーシキン・メダル」(ロシア文化勲章)を受章。同年本市市民栄誉賞贈呈。

子どものころから、声が低めで、高い声はあまり出なかったんです。だからはじめは、音楽の授業が苦手でした。でも、当時の小学校の先生が「高い声が出なくもいい。好きなように歌ったらいい」と言ってくれて、自由に歌う楽しさを知りました。音楽が好きになりましたよ。子ども時代には、音楽はもちろん、スポーツをしたり、農繁期には家の手伝いをしたりと、のびのび過ごしていました。

高校生のころはダム建築士になりたかったんです。ただ理数科目が苦手で…。どうしようかと思っていたら、「声がいいから声楽をしたらどうか」と先生方から言われまして、それが歌手を目指したきっかけですね。東京藝術大学への進学を希望しましたが、ピアノは弾けないし、音符も読めないし、当時はとても大変でした。

大学への進学をめざしたときはもちろん、大学在学中、日本ではメジャーではないロシアの民謡を歌うこと、いろいろ悩みや苦悩、そして希望がありました。振り返ってみると、いい先生、いい友人、いい仲間に恵まれているんだなと思います。たくさんの人が励ましてくれて今の私がいます。これも少年時代に福井で学んだ“義理人情”によるものだと思います。

私が歌うとき、心にあるのは“福井の秋”です。寂しいけれど、どこか心地よい、ほっとするような情景がそこにあるんです。