施政方針

更新日:2023年03月01日

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 施政方針とは、市長の市政運営に対する基本的な姿勢や重点施策について、考え方を述べるものです。 

令和5年度施政方針

令和5年3月定例市議会の開会に際し、令和5年度当初予算並びに諸案件のご審議をお願いするにあたりまして、市政運営についての所信と施策の概要を申し述べ、議員の皆さま並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたく存じます。

 

新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックから3年。ようやく市民の皆さまの活動が戻りつつあり、国において感染症法上の位置付けを5月に変更する方針が決定されるなど、コロナと共存する社会へと移行が進んでおります。

医療を筆頭に、福祉、教育等、様々な分野の皆さま、何より市民の皆さまのこれまでの長きにわたるご尽力に対しまして、改めて敬意と感謝を申し上げる次第であります。

 

ロシアの暴挙から1年が経過しました。いまだ収束の見通しも立たず、コロナ禍に追い打ちをかける経済不安、物価高騰が、市民や事業者の皆さまの暮らしや事業活動を直撃しております。

本市では、コロナ禍、物価高騰に対して即応性の高い支援に努めてまいりました。今後とも、基礎自治体の使命として、迅速かつきめ細かい対応を図り、市民や事業者の皆さまを支えてまいります。

 

【おにクル】

本市にいくつもある魅力・強みの一つとして、市民活動が盛んなことが挙げられます。

ずっと過去から今に至るまで、各地域やまちの中心で、未来を担う子どもたちや生きづらさを抱える方々のために、地域のつながりやまちの活力、愛着を生み出すために、多くの皆さまで紡ぎながら、色とりどりの活動が織りなされてきました。

そうした茨木らしい“顔の見える”活動も、コロナ禍の影響を大きく受けております。

コロナと共存する社会の中で、皆さまの活動を取り戻していくとともに、新たなプレイヤーを巻き込みながらさらに高めていく「共創」のまち、ワクワクがぞくぞくの「次なる茨木」へと歩みを進めてまいります。

 

ワクワクがぞくぞくの一番手、「次なる茨木」の象徴とも言うべき、文化・子育て複合施設「おにクル」が、いよいよ11月26日に開館いたします。

 

鬼さんも来たくなる「おにクル」は、図書館やカフェ、芝生広場など、多様な機能を備えます。

「おにクル」は、多くの皆さまのニーズにお応えするとともに、日々の責任や忙しさから解放される第3の居場所、サードプレイスとしての役割を発揮してまいります。ご利用される皆さまそれぞれに共感や関わりしろが生まれ、暮らしの豊かさの実感につながるよう、取組を進めてまいります。

 

「おにクル」は、“つなぐ”場であり、「共創」の中心地、実験場、見本市であります。

7層を貫く吹き抜け空間である「縦の道」が、各フロアやオープンスペース等で行われる活動をつなぎ、ある目的で訪れた人々に、目的にない偶然の出会いをもたらします。

そんな「日々何かが起こり、誰かと出会う」場となるように、IBALAB@広場での様々な実験的な取組から得られた知見をいかし、新たなプレイヤーとともに、「共創」を発展・昇華させてまいります。

 

「おにクル」の核の一つが子育て支援であります。

「妊娠・出産・子育て」に関する全ての相談窓口であるネウボラに、「おにクル」内の様々な機能と連携させる「ネウボラ+(プラス)」の取組を展開することで、まち全体で子育てを行う土壌、子育てへの安心感を育んでまいります。

 

もう一つの核が文化芸術の振興であります。

「おにクル」を中心として、人と人、人と文化をつないで市民の文化を「あみだす」、ホールだけではなくまちに「はみだす」ことにより、幅広く文化芸術を感じ、親しむきっかけを提供し、日常・非日常の中で文化芸術が息づくまちづくりを進めてまいります。

 

「おにクル」から生み出されるにぎわいを、JR・阪急両駅前エリアを含む中心市街地全体に面として広げてまいります。

人が中心の歩いて楽しいまち、活動が景色となるまちに向けた取組を進めてまいります。

 

【ダムパークいばきた】

本市の魅力・強みの一つとして、「やま半分、まち半分」、北部地域「いばきた」の豊かな自然が挙げられます。

美しい里山の景観、新鮮な農産物といった地域資源を備え、「見山の郷」、野外活動センター、里山センター、竜王山荘、キリシタン遺物史料館といった拠点施設が点在しております。

 

ワクワクがぞくぞくの二番手が、安威川ダム周辺に令和6年中のオープンを予定している公園、「ダムパークいばきた」であります。

「ダムパークいばきた」は、やまとまちを“つなぎ”ます。

歩行者専用としては長さ日本一となるつり橋のほか、多くの方々が憩い、楽しむことができる広場など、やまとまち両方の皆さまが、様々な活動、ワクワクを通して交流できる空間づくりをめざします。

「やまとまちをつなぐハブ拠点」として、多様な形で地域と関わりを持つ「共創」人口を創出し、ひいては、北部地域全体の活性化につながる場となるよう、整備を進めてまいります。

 

「まちづくりは人づくり」であります。

まちは人がいてこそのまちであり、人の営みなくしてまちは成立しません。地域の強みや課題を把握したうえで、そこに関わる人が育ち、多様な人がつながる場づくりが大切であります。様々な主体をつなぎ、手を取り合って「共創」することで、地域課題の解決や新たな価値を生むことにつながります。

市民の皆さまや本市に関わる一人ひとりが、様々なものごとに自分事として関わり、やりたいこと・思いに共感してくれる仲間とつながり、まちづくりに携わっていく、その一歩を踏み出すお手伝いをし、皆さまと一緒に「共創」のまちづくりを進めてまいります。

コロナ禍による様々な制約の中、元茨木川緑地リ・デザイン、救急病院の誘致、中学校全員給食の実現に向けた取組なども進めてまいりました。

令和5年度も、市民の皆さまに安全・安心で、豊かさや幸せを実感できる「次なる茨木」に向けて取り組んでまいります。

 

以上を踏まえまして、令和5年度の市政運営にあたり、市民の皆さまとお約束をしました、政策6本柱に沿って、諸施策の概要を申し述べます。

 

第1に、「人と自然が共生する持続可能なまち」についてであります。

 

【中心市街地のまちづくり】

中心市街地のまちづくりにつきましては、「次なる茨木・グランドデザイン」の「人・プロセス重視」の取組を踏まえながら、「2コア1パーク&モール」の都市構造による、人が中心の歩いて楽しいウォーカブルなまちに転換していきます。

まず、「2コア1パーク&モール」の中心に位置する「パーク」につきましては、その中核施設である「おにクル」の11月の開館に向けて、内装・外装工事を着実に進めるとともに、「育てる広場」のコンセプトのもと、図書館や文化、子育てなどの異なる機能間の連携により、開館後の展開をイメージした様々なプレ事業を実施するほか、オープン時には、記念式典や市民の皆さまにご参加いただくイベントを開催します。

IBALAB@広場につきましては、「おにクル」に配置予定のコーディネーターが多様な活動や人をつなぎながら、市民の皆さまが集い交流する、ここちいい場として活用します。

「元茨木川緑地リ・デザイン」につきましては、「おにクル」の整備にあわせ、隣接する区間のリニューアルに向けた整備に取り組むとともに、引き続き、市民参画による活用や社会実験を通じた魅力向上に努めます。

「2コア」であるJR・阪急両駅前の再整備につきましては、人が中心の歩いて楽しいまちの起点となるよう、誰もが快適に過ごせる魅力ある都市空間づくりに向け、地権者をはじめとする多様な関係者との協議を進めます。

「モール」につきましては、中央通りと東西通りで実施している「茨木みちクルプロジェクト」を引き続き公民連携で展開し、人が中心の歩きやすく、歩きたくなるような魅力的な景観形成の指針となるガイドラインの策定等を行います。

これら中心市街地における取組が、一体感をもって「人中心」のまちなか形成をめざし、多様な主体との価値観の共有・共感と各事業の連携・連動を図るため、将来イメージや取組方針・進め方などを示す、「(仮称)ウォーカブル戦略」を策定します。

【都市計画】

都市計画につきましては、将来を見据えた都市づくりの方向性を示す「都市計画マスタープラン」の改定及び「立地適正化計画」の中間見直しに取り組みます。

景観形成の上で重要な要素である屋外広告物につきましては、本市の特性等を踏まえた規制・誘導が図られるよう、条例制定に向けた取組を進めます。

南目垣・東野々宮土地区画整理事業「イコクルいばらき」につきましては、地域のにぎわいづくりと防災機能の向上等に向け、引き続き、土地区画整理組合等と連携・調整しながら事業を推進します。

【北部地域のプロジェクト】

北部地域のプロジェクトにつきましては、「やまとまちをつなぐ」をテーマとして、この地域の将来を確かなものとするため、関係自治会や団体の皆さまと地域への思いを共有し、地域の資源や魅力を地域内外へ発信することで、多様なつながりを生み出し、地域主体の取組へとつなげます。

彩都東部地区につきましては、先行エリアで物流業や製造業等の企業立地が進み、現在、2地区の土地区画整理事業が施行されています。残りのエリアは、府等と連携して、事業化に向けた地権者の主体的な活動の支援を行い、北大阪のポテンシャルをいかし、時代の変化に対応したまちづくりを進めます。

安威川ダム周辺整備につきましては、「ダムパークいばきた」において、民間活力によるにぎわい施設の整備を進めるとともに、北部地域活性化のハブ拠点として、地域に関係し、活動する方々が集う魅力的な空間づくりに努めます。

【交通政策】

交通政策につきましては、渋滞ゼロをめざしたまちづくりとして、国・府と連携して進めてきた国道171号の西河原西交差点が立体交差化され、この3月13日に供用開始する予定です。今後とも、府道「茨木寝屋川線」の未供用区間が早期に整備できるよう府へ働きかけるほか、交差点の改良を進めます。

道路整備の推進につきましては、交通環境の向上を図るため、市の南北軸である都市計画道路「駅前太中線」の整備を進めるほか、市道「総持寺駅前線」等の早期完成をめざすとともに、歩道のバリアフリー化や自転車レーン整備により、歩行者等の通行環境を確保し、誰にもやさしいまちづくりをめざします。

公共交通の維持・充実につきましては、山間部におけるあい乗りタクシーの試験運行や交通に係る基礎調査の結果を踏まえ、「総合交通戦略」の見直しに着手します。

【街路樹の整備】

街路樹の整備につきましては、街路景観の形成や安全の確保を図るため、適正な維持管理・更新等の方向性を定める再整備の方針策定に取り組みます。

【公園の整備】

公園の整備につきましては、老朽化した施設の更新だけでなく、様々なかたが利用できるよう公園施設の改良を進めるとともに、西河原公園等において民間事業者等による利活用の可能性についての検討を進め、魅力ある公園づくりに努めます。

【上下水道事業】

上下水道事業につきましては、将来にわたる安定的な事業継続に向け、「水道事業ビジョン・経営戦略」及び「下水道等事業経営戦略」に基づき、施設及び管路の計画的な更新等に取り組むとともに、より一層経営基盤の強化に努めます。

【環境・ごみ処理】

環境にやさしいまちの形成につきましては、「環境基本計画」の改定に向けた取組を進めるほか、脱炭素の取組のさらなる推進を図るため、「地球温暖化対策実行計画」を修正し、新たに市域全体の再生可能エネルギー導入目標を設定します。

ごみ処理施設につきましては、摂津市との基本合意書に基づき、4月1日から広域処理を開始するとともに、適切な維持管理と効率的かつ安定的な運営に努めます。

 

第2に、「次代の茨木を担う人を育むまち」についてであります。

 

【待機児童・保育・学童保育】

待機児童ゼロの取組につきましては、新たに201人の保育の受入体制を確保するほか、令和6年度以降の受入体制の拡充に向けて、私立認定こども園の新設、公立幼稚園の認定こども園化等を推進します。今後とも、保育需要を見極めながら、待機児童「ゼロ」の維持に向けた施設整備に取り組みます。

保育環境の充実につきましては、私立保育園等における子どもの安全確保や保育士の負担軽減を図るため、登園時等の繁忙な時間帯や園外活動時に、スポット的に保育支援者等を配置する経費を補助します。

学童保育につきましては、待機児童の解消に向け、庄栄小学校内に学童保育専用施設を建設するほか、民間の放課後児童健全育成事業者に対する施設整備費の補助制度を創設します。

保育所等の子育て支援施設における感染症対策につきましては、公立施設において感染予防用品の購入や施設改修を実施するとともに、私立施設の取組に対する経費を補助します。

【次世代育成支援】

次世代育成支援につきましては、全ての子どもが将来にわたって幸福な生活を送ることができる地域社会をめざし、「次世代育成支援行動計画(第5期)」の策定に向けた調査を行います。

子育て支援につきましては、「おにクル」において、こども健康センターと子育て支援総合センターの機能を「こども支援センター」として一体化するとともに、館内のその他の機能と連携しながら、乳幼児の健康及び子育てに関する切れ目のない包括的な支援を実施します。また、屋内こども広場につきましては、「まちなかの森」を基本コンセプトに木育を展開するとともに、クラウドファンディングを活用した木製遊具の制作等にも取り組みます。

生きづらさを抱える子ども・若者への支援につきましては、関係機関との連携を強化し、早期支援・早期困難解消を図るため、ユースプラザの開所日を拡充するほか、ヤングケアラーの早期発見、切れ目のない支援体制の構築に向けてコーディネーターを配置します。

【教育】

一人も見捨てへん教育につきましては、4年目となる「茨木っ子プランネクスト5.0」に基づく取組を進めます。

いじめ不登校対策の充実につきましては、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの配置を拡充し、小中学校における教育相談体制の充実、きめ細かな家庭支援、迅速な課題対応により、一人ひとりに寄り添った支援を図ります。

ともに学びともに育つ教育の推進につきましては、障害のある児童生徒の学びの場の充実、通常の学級における支援が必要な児童生徒の支援体制の充実を図るため、市費常勤講師の採用や通級指導教室の増設、スクールサポーターの増員を行います。

医療的ケア等が必要な児童生徒への支援につきましては、医療介助員の研修や物品を充実させ、支援体制を整備します。

豊かな人間性を育む教育の推進につきましては、京都芸術大学との連携により、対話による芸術鑑賞を取り入れた授業プログラムを一層充実させ、非認知能力の育成につなげます。

ICT活用につきましては、児童生徒が1人1台端末を活用する場を広げるとともに、教職員の授業、教材研究、会議等のデジタル化を進めるため、通信環境の充実を図ります。また、保護者や地域へ、学校園からの様々な情報をタイムリーに発信するため、新たなホームページ管理システムを導入します。

【学校給食・環境整備】

中学校給食につきましては、令和7年中の全員喫食実施に向け、中学校給食センターの工事に着手するほか、各校での配膳室の整備を計画的に進めます。

学校施設の整備につきましては、平時の教育環境及び災害時の避難所環境の改善を図るため、体育館への空調設置について、令和6年度末の全校設置をめざすほか、教育環境の向上や施設の老朽化対策を図るため、トイレ改修、エレベーター設置、校舎の外壁改修・屋上防水などを計画的に進めます。

【スポーツ推進】

スポーツの推進につきましては、子どもたちの健やかな育成のため、一日に様々な種目が体験できるキッズスポーツデーを拡充します。

また、スポーツ施設の整備につきましては、スポーツ環境の充実と避難所としての環境改善を図るため、市民体育館第1体育室の空調設備の整備を進めます。

【図書館】

図書館につきましては、中条図書館を「おにクル」へ移設し、「おにクルぶっくぱーく」として新たに開館します。施設内の各フロアに本を配置し、新たな本との出会いを創出するとともに、市民の皆さまが気軽に訪れ、好きなスタイルで過ごすことができる「本の公園」のような空間をめざします。

【青少年健全育成】

青少年の健全育成につきましては、地域の皆さまの協力を得て、引き続き、放課後子ども教室を実施するほか、野外活動センターにおいて、対象や内容を充実させた多様なキャンプ事業を実施し、体験活動の機会の充実を図ります。

 

第3に、「ともに支え合い・健やかに暮らせるまち」についてであります。

 

【地域医療】

救急を含む持続可能な地域医療体制の充実につきましては、誘致病院に関する基本協定の締結に向け、より具体的な医療機能等の内容を協議するなど、丁寧な事業展開に努めます。

【保健福祉の総合的な施策の推進】

保健福祉の総合的な施策の推進につきましては、本市の地域福祉、高齢者福祉、障害者福祉、健康・食育、自殺対策等を総合的・体系的に推進する「総合保健福祉計画(第3次)」を策定し、各分野における施策・取組を進めます。

【包括的な支援体制の推進】

包括的な支援体制の推進につきましては、社会情勢の変化による複雑化・複合化した生活課題に対して、高齢者、障害者、子ども、生活困窮など、世代や分野を超えた支援体制を構築するため、アウトリーチ支援員等を増員するなど、重層的支援体制の整備を進めます。

地区保健福祉センターにつきましては、東・西・南圏域に加え、4月からは中央圏域にも開設し、地域における保健と福祉のさらなる連携の強化に努めます。

【高齢者福祉】

介護予防につきましては、短期集中的に理学療法士等の専門職による機能訓練サービスを提供する事業所を5か所から6か所に、体力の低下を感じる高齢者を対象とした短期集中運動教室を4か所から5か所に、それぞれ拡充します。

また、理学療法士に加え、作業療法士と管理栄養士を増員し、生活機能や低栄養状態の改善などの指導・助言等を行う訪問指導を拡充します。

【障害者福祉】

障害者への支援につきましては、障害者福祉サービスの利用増加に対応するため、円滑な申請受付と適正なサービス提供に向けて、事務体制の強化を行います。

障害者の就労支援につきましては、就労支援センターかしの木園における一般就労を支援する事業や、関係機関との一層の連携強化により、一人でも多くの障害者が自らに合った方法で企業等へ就労し、定着できる環境づくりを推進します。

【就職困難者の就労支援】

障害者や生活困窮者への就労支援につきましては、スマイルオフィスにおいて雇用定員を増員するほか、就労準備支援員が伴走支援を行いながら、就労機会の拡大を図ります。

【健康づくり】

健康づくりの推進につきましては、子宮頸がん・乳がんの早期発見・早期治療のため、巡回検診の実施場所を3圏域に拡充するほか、生活習慣病の予防等に向けて、3圏域の地区保健福祉センターにおいて、特定健診及びがん検診を実施します。

【感染症対策】

新型コロナウイルス感染症対策につきましては、現在、国において、感染症法上の位置付けの変更に伴う関連施策の見直しが進められているところですが、その動向を注視しながら、引き続き、ワクチンの接種機会を確保するための準備を進めるとともに、休診となる医療機関が多い、日曜日、休日等の発熱外来体制の確保に努め、感染拡大防止に取り組みます。

 

第4に、「都市活力があふれる心豊かで快適なまち」についてであります。

 

【地域産業の基盤強化】

産業の活性化につきましては、多くの大学が立地する優位性をいかした産学連携による新たな事業展開を支援するとともに、彩都バイオインキュベーション施設への入居者支援等を継続し、市内成長産業の振興を図ります。

創業支援につきましては、茨木商工会議所や地元金融機関と連携し、創業相談やセミナー、補助制度等の支援を行います。

観光の推進につきましては、新たなまちの魅力をいかし、多様な主体と協働して、活動促進やにぎわい創出を図ります。

海外展開に向けた企業活動への支援につきましては、インターネットを活用した販路拡大を支援するため、セミナーの開催や海外貿易に関するコンサルタント費用等の補助を継続するとともに、ジェトロなどの関係機関との連携を図ります。

コロナ禍の影響を受けた事業者への支援につきましては、コロナ関連融資を利用し、国による3年間の利子補助を受けた事業者に対して、受給後の2年間の利子について支援します。

【物価高騰対策】

事業者への物価高騰対策につきましては、急激な円安や原油高などに起因した物価高騰により、事業活動に大きな影響が生じていることから、給付金の支給により事業継続を支援します。

【農林業振興】

農業振興につきましては、農業の持続的発展や農地の保全活用を進めるため、ため池などの農業生産基盤施設の整備・改修を進めます。また、猟友会等と連携した鳥獣被害対策を引き続き実施するほか、学校給食への食材提供などを通じた地産地消への取組を進めます。

遊休農地の解消につきましては、集落営農組織への機械化支援や、農業委員会等との連携により農業を担う方々とのマッチングを進めるほか、新たな担い手の確保と育成を強化するため、「いばらき農業はじめ隊」の拡充や、本市独自の担い手育成制度の構築をめざします。

林業振興につきましては、里山センターを核とした市民参加型の森林整備を推進するため、森林サポーター養成講座を継続するほか、森林環境譲与税を活用した森林整備ボランティア団体への助成を拡充します。また、里山が有する多面的機能の維持に向け、市内森林の調査等に着手します。

【魅力発信】

本市の魅力発信につきましては、主要プロジェクトを中心としたプロモーション展開を行うなど、まちへの誇りと愛着の醸成を図ります。また、各事業におけるデザイン力向上を図るため、本市ゆかりのクリエイターとの協働を試行するほか、広報誌とホームページの効果的な連携による情報発信力の強化に向けた取組を進めます。

【歴史遺産の保存・魅力発信】

歴史遺産の保存・魅力発信につきましては、郷土愛の醸成を図るため、国重要文化財の銅鐸鋳型発見50周年を記念し、文化財資料館において、テーマ展の開催、体験学習コーナーの新設、イベントの実施などを行います。

【文化振興】

文化振興につきましては、「おにクル」開館後の文化芸術施策のめざすべき方向性を明らかにするため、市民や芸術家・芸術団体の皆さまのご意見をお聴きしながら、「文化振興ビジョン」を改定します。

また、現代美術展の50周年を記念した特別企画展、大分県竹田市との歴史文化姉妹都市提携10周年を記念した川端康成文学館ギャラリー企画展など、様々な取組の実施により、文化芸術を感じ、つながることができる機会を創出します。

「おにクル」へ移転するプラネタリウムにつきましては、施設への愛着や期待感を高めるため、クラウドファンディングを活用し、電子観望システムを導入します。

 

第5に、「ともに備え命と暮らしを守るまち」についてであります。

 

【防災・減災対策】

防災への備えの充実につきましては、災害発生時に迅速に避難所を開設し、円滑に運営できるよう、引き続き、「地域版避難所運営マニュアル」の作成を支援するとともに、避難所運営の理解を深めるための「避難所開設・運営訓練」を実施することにより、マニュアルのさらなる改善を図ります。

災害時の一時避難地にしている公園の防災機能につきましては、いざというときに活用できるよう、引き続き、地域における認識を広めるよう努めます。

ハザードマップの普及啓発につきましては、小学校において、引き続き、ハザードマップを活用した防災教育の充実に取り組むほか、「地域版ハザードマップ」の作成・更新を行った山間部の土砂災害警戒区域等の地域を対象に、適切かつ迅速な避難判断・行動につながる取組を進めます。

公共施設の減災対策につきましては、地震発生時の安全性の確保に向け、南市民体育館の天井改修工事を行うほか、市民総合センター等4施設の天井改修方針の検討を進めます。

災害に強いインフラ整備につきましては、橋梁の定期的な点検及び計画的な修繕を実施するほか、上下水道施設の計画的な耐震化等を進めるとともに、集中豪雨等による浸水被害の軽減を図るため、水路機能の維持向上や雨水管の整備等、計画的な雨水対策を推進します。

【防犯対策】

防犯体制の充実につきましては、地域における防犯環境のさらなる向上を図るため、更新・増設した通学路の見守り用防犯カメラ等の運用に加え、設置箇所周辺の効果的な場所に防犯カメラ設置の告知板を追加設置することにより、さらなる犯罪抑止につなげます。

また、自治会等への防犯カメラ設置補助につきましても、引き続き、自治会等の負担軽減に必要な支援に努めます。

【消防・救急体制】

消防・救急体制の充実強化につきましては、消防車両・資機材の整備を計画的に行うとともに、地震などの大規模災害に対応するために、部隊の運用能力を高めるための図上訓練などを実施し、災害対応能力の向上を図ります。また、増加する救急需要に対応するため、救急隊員の知識、技術の向上を図るための研修や医療機関との連携を引き続き行い、救急業務の円滑化に努めます。

【消費者施策】

消費者トラブルの対策につきましては、市内高等学校・大学をはじめ、関係機関との連携強化を図り、若年層への消費者教育の推進や、被害の多い高齢者への効果的な啓発等に努めます。

また、消費生活センターを市役所南館1階に移転し、利便性の向上を図ります。

 

第6に、「対話重視で公平公正な市政運営」についてであります。

 

【対話重視のまちづくり】

対話を重視したまちづくりにつきましては、引き続き、市の課題や市民ニーズを把握するため、手法を工夫しながら、若者世代や多様な主体とのタウンミーティングを実施し、その声を市政にいかします。

【地域コミュニティ・市民活動の推進】

地域コミュニティの推進につきましては、地域の方々とともに「協議の場づくり」や「地域自治組織」の結成に向けた取組を進めるとともに、地域活動の幅広い展開や担い手の確保につなげるため、自治会がICTを活用した取組を進めるための支援を行います。

コミュニティセンターの管理運営につきましては、地域の特性や実情等を踏まえつつ、地域の特色ある取組を推進するほか、利用者の利便性の向上を図るため、沢池コミュニティセンターにスマートロックを導入します。

市民活動センターにつきましては、「おにクル」への移転に向け、基本方針である「みんなのえんがわ」に基づき、様々な人や活動をゆるやかにつなぐ役割を展開し、新たな担い手の確保や団体間の連携促進に努めます。

【人権・男女共同参画】

人権施策につきましては、犯罪被害にあったかたの被害直後の負担を軽減するための見舞金を支給するほか、「第2次人権施策推進計画(改定版)」等に基づき、より効果的に施策を推進します。

男女共同参画につきましては、「第3次男女共同参画計画」に基づき、総合的かつ計画的に施策を推進します。

また、性的マイノリティに関する取組として、性の多様性を尊重する取組を行う事業所の登録制度を開始するとともに、事業所の理解促進に向けた啓発を強化します。

多文化共生につきましては、引き続き、外国人住民等の居場所づくりや地域との交流の場を提供するとともに、イベント等を通じて関係団体との連携を図ります。

【行政経営】

効率的・効果的な行政運営につきましては、将来のまちづくりの指針となる「次期総合計画」の策定に向け、市民の皆さまからの意見聴取や基礎調査などの取組を進めます。

【公共施設等マネジメント】

公共施設等のマネジメントにつきましては、個別施設計画等に基づき総合的かつ計画的な取組を着実に進めるほか、施設予約システムの適切な運用や改善により、市民サービスの向上と施設の利用促進を図ります。

また、市有財産等の一層の有効活用を推進するため、民間提案制度の効果的な運用に努めるとともに、同制度で提案のあった、市庁舎における成果連動型民間委託契約方式を活用した維持管理経費の適正化に取り組むなど、同制度の趣旨採用案件の事業化に向けた検討を進めます。

【次なる茨木DX】

市役所のデジタル化につきましては、オンライン決済サービスの拡充など、さらなる行政手続のオンライン化を進めるほか、引き続き、スマホ相談窓口の設置や生涯学習センター等における講座の実施など、ICTを使いこなすことが困難なかたを支援する取組を実施します。

また、RPAなどのICTの活用を含む業務改善に取り組み、行政事務の効率化を進めるとともに、乳幼児健康診査における予約管理システムや電子契約システムの導入など、市民や事業者の皆さまに便利さを実感していただける取組を進めます。

自治体情報システムの標準化・ガバメントクラウド化につきましては、国が示す令和7年度までの移行に向け、順次取組を進めます。

【人事行政】

人事行政につきましては、全ての職員が高い意欲を持って職務に励むことができるよう、管理職制度の見直しや複線型人事制度の創設など、人事給与制度の見直しを順次進め、それらの制度の効果的な運用に努めます。また、管理職によるマネジメント能力の向上や、人事評価制度の見直し等を通じて、地域社会の発展に貢献できる人材の育成に取り組みます。

 

以上、市政運営にあたっての基本的な考え方、並びに本会議に提案いたしております予算の内容を踏まえ、施策の概要について、ご説明いたしました。

 

本市の財政見通しにつきましては、歳入面として、市税収入の増を見込むものの、歳出面では、高齢化の進展及び保育・障害福祉に係る給付費等の社会福祉経費の増加や、物価高騰の影響による経常経費の増加などにより、厳しい財政環境が見込まれることから、引き続き、まちづくりを支える財政の健全性の確保に取り組んでまいります。

 

本年1月1日をもって、本市は市制施行75周年を迎えました。この75年の間、皆さまとたゆまずまちづくりを進め、現在も人口は増加しております。

一方、国全体としては、平成20年に人口減少に転じてから15年が経過しており、本市も近い将来にはその波に飲み込まれる予測であります。昨今、国においては、「異次元の少子化対策」といったフレーズが出るなど、ようやくその重い腰を上げようとしております。

 

本市は、本市在学の大学生だけでも2万人を数え、若者との「共創」が年々進んでおります。若者とまちとの接点、市民の皆さまと出会う機会も増えております。

若者との対話を通して感じますのは、若者の多くが将来への不安が先に立ち、結婚や子育てを選択する自信がない、選択が視野に入らないということであります。

若者の将来への不安を払拭し、人生の選択肢を増やすためには、身近なロールモデルの存在、すなわち「この人たちのように自分も生きていけばよい、自分も同じように進んでいけそうだ、進んでいこう」と思える人との出会いが、その一助となると考えております。

市民の皆さまが若者にとってのロールモデルとなり、これからの人生を勇気づける存在となるよう、ひいては若者がこのまちに住みたいと思っていただけるよう、誰もが互いを認め合い、安全・安心に暮らせるまち、いつでも誰でも、自らの可能性や創造性を試し、成長ができ、ありたい自分になれるまちへと歩みを続けてまいります。

 

これから「おにクル」の開館に向けて、そこに関わる人や活動等を「糸」にたとえ、「つむぐ。おる。」をコンセプトに、様々なプレ事業を実施してまいります。

中島みゆきさんの「糸」という歌の中に「織りなす布は いつか誰かを 暖めうるかもしれない」とあります。

基礎自治体は社会的弱者の最後の砦であります。様々な生きづらさを抱えた方々に対し、関連する部局を横断した取組はもちろん、サポートいただく市民の皆さまや団体の皆さまと縦糸と横糸のように織りなし、一人ひとりに寄り添い、包み込み、暖めることが求められております。

市長として2期目任期の最終年度となります令和5年度につきましても、多くの「糸」をつむぎ、「豊かさ・幸せ」が実感できる「次なる茨木」を着実に織りなしていく決意であります。

 

どうか、議員の皆さまをはじめ、市民の皆さまにおかれましては、市政の推進に、より一層のご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

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電話:072-620-1605 
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